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よりにもよって、物語が作り込まれた美少女RPGに転生してしまった  作者: 根田わさび
第一章 守りたかったもの、守りたいもの

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第十一話 コバンの守りたかったもの、守りたいもの

来て頂きありがとうございます。

 買ってきたものをガサツに置き、急いでオルカの部屋まで向かう。


「オルカ!!」

「お〜!ユーゴ!!おせぇじゃねえか!せっかく目ぇ覚ましてやったのによぉ〜!」


そこには、みんなに囲まれ、元気そうにリンゴをむしゃむしゃしているオルカの姿が。


「ごめんごめん。ちょっと買い出し行っててさ。目が覚めて良かったよ…!」

「ユーゴが買い出しなんて、また毒なんじゃねぇかー?」

「こ、今度は気をつけてるよ。」


...本当に元気そうで何よりだ。


「本当に目が覚めて良かったです。オルカさん、前衛に向いていないのに敵に背は向けないで下さい。」

「ひぃ〜っ!サンゴの小言が効くぜ〜!」

「サンゴちゃんは心配だったんだよぉ〜。仲良しだもんねぇ〜。」

「ちょっと...、はぁ...。」


確かに、2人はよく一緒に話していた気がする。オルカへのツッコミもサンゴがよくしていたし。


「あ、そうだマスタぁ〜、ユーゴが戻ってきたら話したいことある〜って言ってたけど〜どうしたの〜?」

「あ、うん…えっと…。」


こんな時だし重要な話だろう。

コバンは拳をぎゅうっと握り、深呼吸をしてこちらへ向き直った。


「ごめん、なさい…。」


深く頭を下げ、肩を震わせるコバン。


「コバンのせいじゃ…」

「わたしのせいだよっ…!私が無茶したから…!サンゴちゃんもユーゴさんもやめとこうって行ってくれてたのにっ...!!」


床にぽたぽたと涙が落ちていく。


「そもそも...私が間違ってたの...。お姉ちゃんの事は大好きだった。今も大好き。だから守りたかった。でも、もうそのお姉ちゃんはいないから...」


苦しそうな顔でこちらに向き直るコバン。


「水龍様を討伐したい。今私が守りたいものは、シーガーデンとこの街だから。」


それを聞いたみんなの表情は、驚きよりもコバンを憂いている様だった。


俺もどう声を掛けていいか分からなくて、懸命に言葉を探す。


「.....らねぇ。」


・・・?今なにか、オルカが言った気が...


「気に入らねぇ!!!!!!」

「!?」


突然叫び出したオルカ。


「水龍サマを討伐すんのは構わねえし、ミナミもそれを望んでると思ってる。けどな、それをコバンのせいにするのは気に入らねぇ!!」

「で、でも、私が迷ってたから...」

「迷ってたのなんてアタシらも同じだ!迷ってたからコバンの意思に甘えてた!それだけのことだ!全部コバンのせいになんてさせねぇ。作戦だって、アタシが行けるかもって言い出して、アタシが油断してアタシが怪我してんだ!!そんな身勝手なやつを治してやったんだって、胸くらい張ってくれよ!マスターだろ!?」


怒涛の勢いでまくし立てるオルカ。


「ほら〜、大先輩がそう言ってるんだからさぁ〜。コバンちゃんだけのせいじゃないって〜いい加減認めなよぉ〜。それもまたマスターとしての成長だよ〜?知らんけど〜。」


ここぞとばかりに言葉を続けるクララ。

もしかしたら、オルカがブチ切れるのを何となく予想していたのかもしれない…。


「オルカさんの言う通りです。マスター…いえ、コバンさんの責任ではありません。みんなで決めた事なのですから。」

「みんな…ごめ…じゃなくて、ありがとう…。わたし、マスターとして恥ずかしい事してたかも…。」


コバンに必要だったのは、優しい言葉では無くメンバーだからこそ言えるお叱りだったのだろう。


「まだ、上手く出来ないかもしれないけど…少しずつ、考えを変えられるように頑張る。みんなを頼る。」


うん、と力強く頷く。


「じゃあキョウに連絡を...」

「あの、ユーゴさん!私がキョウさんとお話しても良いですか!?」

「うん。問題ないと思うよ。」

「ありがとう...!!」

「じゃあさ〜拡声モードにしてみんなで聞こ〜?」


拡声モード...スピーカーの事だろうか?

そう思い、それっぽいボタンを押してからキョウへ通信を掛ける。

無事音声は大きくなった。


〔やぁ。待っていたよ。〕

「え、えっと...お久しぶりです!こ、こんにちは!!」

〔おや、ユーゴ。随分と可愛らしい声になったね?〕

「あ!私はコバンです...!シーガーデンのマスターの...。」

「キョウ、コバンが話したがってたからさ。勝手にだけど繋げちゃった。」

〔ふふふ。分かっているとも。要件は...水龍の件だね?〕


キョウも断られるか承諾されるか五分五分なのだろう。


「はい。キョウさん、水龍を討伐したいです。」


先程までのオドオドしていた感じとは違う、しっかりとした言葉。

キョウとミナミさんの話を聞いた後だからか、断られる気すらして緊張する。


〔ついに、か...。いいよ。協力しようじゃないか。〕

「あ、ありがとうございます...!」

〔ただし、やっぱり辞めたというのはナシだよ?知っている通り、私も生半可な覚悟では無いんだ。〕

「はい。分かっています。」


口ぶりからしてコバンもミナミさんとキョウが友人であったのは知っていたのか。


その後、実戦も交えながら作戦を立てようということで、海遊ビーチで待ち合わせることに。


〔それでは明日、楽しみにしているよ。〕

「は、はい...!!よろしくお願いします!!」


通信終了後、コバンは夢でも見ていたかのような顔でふぅーっとため息を吐いた。


「無事協力していただけるようで良かったですね。」

「うん...!!」


 みんなの覚悟を無駄にしない為にも、水龍討伐は成功させなければ。

この笑顔を守るため、俺も密かに覚悟を決めるのだった。















鋭凜(えいりん) オルカ シーガーデンの大先輩。今のメンバーの中で一番先輩。

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