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17.人は経験則に則って動いてる


安井「田中君明日は一緒に競馬行くかい」


田中「いいですよ。付き合いますよ。でも行く前にお風呂いってからで良いですか?」


安井「競馬場いくのにお風呂?何かあるのかい?」


田中「前に朝風呂行って禊したら勝負に勝ったんです。それからは勝負毎は禊、それも大きな銭湯の方が効果があると思うのでやってるんです」


安井「いいジンクスだね。本当に勝率は高いのかい」


田中「実は初めて勝ったのがそうなので、それからはあまり効果が分からないですけど、辞めるのも怖いので続けてしまうんですよね」


安井「気持ちは分かるよ。人は成功体感で判断してしまうからね」


田中「ですよね。それを基準にしてしまうというか」


安井「そおいえばクランボルツの社会学習理論というのがそれに近いね」


田中「クランボルツの社会学習理論?なんか難しそうに聞こえますけど」


安井「彼はこう言ってるんだ「人は過去の学習経験によって課題アプローチスキルが異なる」と言ってるんだ」


田中「学習経験?経験でことなるパブロフの犬みたいなものですか?」


安井「あれは条件反射だね。経験したことで自然に身体が反応するみたいな、クランボルツは社会学習理論で「人は自分の環境との相互作用の中で長期にわたって積み重ねられた経験を通して自分の好みを学習する」と考えてキャリア選択には四つの要因である「先天的な資質」「環境的諸条件と出来事」「学習経験」「課題アプローチスキル」が重要な役割を果たしているとしたんだ」


田中「四つの課題ですか、先天的とかは分かるんですが他はよく分からないです」


安井「個別に説明すると

1.先天的な資質 人種、性別、知的能力、特殊な才能

2.環境的諸条件と出来事 個人の成育した地理、気候、家族、その社会が持つ規範、政策、その時の労働市場、自然災害、事件、技術革新など

3.学習経験 観察学習、モデリング、強化学習などを通して獲得したキャリアスキルなど

4.課題アプローチスキル 実際に人々が意思決定や行動を改善するためのスキル「意思決定モデル」と言われ。具体的には7つありますが割愛」


田中「これらが意思決定のプロセスなんですか」


安井「説明すると先程の四つの要因のうち「先天的な資質は」は変えることはできない。次の「環境的な条件と出来事」も変えることは難しい。だからこれらは受け入れるしかない。だけど「学習経験」はある程度自分がコントロールすることはできる。「学習経験」をコントロールできれば最後の「課題アプローチ」に影響がすることができるから「学習課題」が大事だと考えられてるんだ。それを踏まえてクランボルツは社会学習理論の立場から意思決定と問題解決のためのプロセスを「意思決定プロセス」としているんだ」


田中「意思決定プロセスですか、それが人が決定するプロセスなんですね」


安井「そうだね。意識決定のプロセスはステップ7段階を経てるんだ 

ステップ1 問題の明確化

問題は何か、意思決定の必要はあるかなどについて明確化する

ステップ2.行動計画を立てる

どの様な問題解決を行うか、どの様に意思決定を行うか、おおよその行動計画を立てる

ステップ3.選択肢の検討

選択肢の方向、行動の方向について情報収集して選択肢を広げて選択肢を選び出す

ステップ4.評価する

所有するスキル、知識、経験などの評価を行い価値観を明確化する

ステップ5.予想結果の検討

選択によって生まれる利益、損失、リスクなどを検討し様々な角度から検討して評価、再評価する

ステップ6.選択肢の体系化と除外

さらに情報収集をしてメリット、デメリットを比較検討、選択肢を絞り込む

ステップ7.行動、実行

選択肢にもとづき、具体的な行動計画を立てて実行する

これら7ステップを踏むんだ」


田中「一つの実行までに選択肢の検討が様々行われてるんですね」


安井「そう、一つの行動に検討が計画されてるんだ。だがグランホルツは「計画された」偶然のうえに大半のキャリアは成り立っていると述べているんだ」


田中「ええ!こんなステップを踏んでいて大半は偶然なんですか!?」


安井「そうなんだ。彼は「キャリアは用意周到、綿密に計画し準備できるものとは思ってはいけない。むしろ偶発的にいつかやってくるかもしれない絶好のチャンスを見逃さない様に常にそれが起きた時のために準備し、心を広く開いておかねばならない。」と言ってるんだ」


田中「凄い用意周到なのか運命論者なのかわからない人です」


安井「キャリアは生涯にわたる学習の連続だから多くの選択肢の前の意思決定には偶然や偶発が多く絡み合っていると考たんだろう。

彼の有名な言葉で「まず、宝くじの券を買いたまえ」というのがある。当たるか当たらないかは確立、偶然や偶発であるから自分ではコントロールできないけど、買うことはコントロールできる。チャンスは行動の先にしかないということなんだろうね」


田中「深い言葉です。僕なんて前に宝くじ買いに行ったのは運が良さそうだからあたりそうという程度の軽い考えなのに」


安井「俺もそれに乗ったけど、ツキがきてたら宝くじにあたりそうというのは積み重ねられた経験からきてるのなら案外バカにできないということじゃないか」


田中「そういうと理論ぽいです」


安井「ハハハ。そうだね。理論ぽっいね。だけどグランホルツは偶然の出来事を「計画された偶然」に変えるには五つのスキルがあると言ってるんだ」


田中「ええ!偶然すら必然にするスキル!それができたらなんでも叶うじゃないですか!」


安井「まあ宝くじとかは無理だと思うけど

1.好奇心、新しい学びの機会を模索しよう!

2.持続性、失敗に負けずに努力し続けよう!

3.柔軟性、姿勢や状況を変えよ!

4.楽観性、新しい機会は必ず到来し自分のものにできると考えよ!

5.冒険心、結果がどうなるか見えない場合でも行動を起こせ!

彼はこれらをもとに方向性も決まってなくても何か行動を起こすことが大切で「計画された偶発性理論」

としてキャリア形成に役立つ意義を説いてるんだ」


田中「本当に計画して選択肢を絞り込む大事さも考えてるけど無鉄砲に動くのも大事と、とても相反すること言ってる人です」


安井「無茶苦茶言ってるけど現在ほど激しい変化で先が読めない時代だからこそグランホルツの計画された偶発性理論は困ってる相談者にアドバイスすべき理論として活用すべきだね」


田中「勉強になりました。これは憧れの人にデートを連れていくことを方向性として考えデートスポットや行く日にちの設定や理由、言葉を考えていたら、たまたま、2人になった時に自然に誘えてるみたいなことですよね。」


安井「あ、ああ多分、当たってる」


田中「先ずは宝くじをかえ!つまり当たって砕けろ!行ってきます!」

走り出す田中


安井「あれ、途中まで当たってるけど、それは偶然がない様な、田中く〜ん」


その日

田中は映画を憧れの上司である佐藤に誘ったら、佐藤の興味ある映画だったらしく仕事後に2人観に行ったのだった。


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