11.発達課題は試練?
田中「ラーメンはやっぱり豚骨ですよね」
安井「ラーメンは醤油こそが王道だよ。でも日本人は味噌も捨てがたいかな」
田中「どちらも美味しいけどラーメンじゃなくても成立するから豚骨、もしくは豚骨醤油の脂ましましを推します」
安井「食べたくなるけど、胃腸がついていかないんだよね。若いって羨ましい」
田中「そんな年寄りじゃないでしょう安井さん」
安井「40なると油がキツくなるんだよ」
田中「うわあ、なんかオッサンくさくなりましたね」
安井「もうラーメンは奢らん」
田中「嘘ですよ安井さん」
安井「さて歳によってお腹の調子も違うけどエリクソンの理論で人にはそれぞれの達成すべき「自我の発達課題」と「8つの発達段階」があると言ってるんだ」
田中「言い訳くさいですが興味がそそります。八つの試練みたいな感じですか?」
安井「言い方かえるとそうかもね。つまり大人になると言う事はその試練を越えないと本当はダメなのかもしれない的な」
田中「その言い方怪しいです」
安井「普通に話します。じゃあ八つの発達段階だけど
乳児期、幼児期、遊戯期、学童期、青年期、前成人期、成人期、老年期とエリクソンは分けてるんだ」
田中「ガリクソンさんはそれにどんな試練を課したんですか?」
安井「エリクソンね表にすると
課題 重要な対人関係
乳児期、基本的信頼対基本的不信 母親的人物
幼児期、自立性対恥、疑惑 親的人物
遊戯期、自主性対罪悪感 基本的家族
学童期、勤勉性対劣等感 近隣や家族
青年期、同一性対同一性拡散 仲間グループと外
前成人期、親密対孤立 友情、競争、性愛
成人期、生殖性対停滞性 労働と家庭
老年期、統合対絶望 人類、種族愛
と課題を出しているんだ」
田中「人生には知らない間にこんな対立が内面に起きてたんですか?」
安井「エリクソンのこの発達課題で大事なのは青年期における一般的に言う思春期だね。ここで課題を乗り越えて「アイデンティティの確立」を大事だと説いてるんだ」
田中「アイデンティティって良く聞きますけど、どおいう意味なんですか?」
安井「アイデンティティは「自我同一性」とも言うけど簡単に言うと【自分が何者か】という意味でこれを確立していなければアイデンティティ拡散の危機となるんだ」
田中「アイデンティティ拡散?なんかロボットモノに出てきそうな単語です」
安井「田中君の例えは分からないけど自分が何者かが分からない状態になるんだ。つまり自分が分からない、自信がない、何をしてるか分からない状態、つまり人の悪意に逆らえない意思がない人間になるんだ」
田中「ええ、怖すぎる!!」
安井「それだけ思春期と言うのはグループとの関わりが大事だとエリクソンは説いてるんだ。だから社会では思春期は学校生活などで社会的責任を問わない「モラトリアム」を取っているんだ
田中「アイデンティティの重さは分かりました。試練ならクリアした時の報酬はどおなってるんですか?」
安井「クリア報酬じゃないけど課題は対立構造だから
対立に勝った時と負けた時の精神状態が設定されてるんだ」
田中「是非教えてください」
安井「 勝ち 負け
乳児期、希望 引きこもり
幼児期、意思 脅迫
遊戯期、目的 制止
学童期、適格 不活性
青年期、忠誠 役割拒否
前成人期、愛 排他的
成人期、世話 拒否性
老年期、叡智 侮蔑
となっている。乳児期に負けると引きこもりはキツいね」
田中「結構辛い事書いてるんですね。ただ老年期まで試練を超えると叡智を得て賢者になるか負けて世を憎んだ悪者になる感じが刺さります」
安井「ゲーム感覚はどうかと思うけど高校時代か大学時代で勝てないと愛を得れない感じは俺の胸に刺さるどころか貫くけどな」
田中「アイデンティティは強そうですが」
安井「これも彼女のおかげかな歳は取っても愛があればきっと人生はやり直せるんだよ」
田中「うわあーん安井さんの惚気が一番刺さります!」
安井「申し訳ない」
田中「佐藤さ〜ん。安井さんがのろけるんです!」
走っていく田中
ドーン
遠くで吹っ飛ぶ音がする
安井「田中く〜ん