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78話 竜樹と理留 1

 早朝の学校は静かなもので……中庭でぽけーとしていても誰も通らないしなんの音も聞こえない。眠たくなるがここで寝てしまったら誰も起こす人なんていないから起きておかないといけないのはつらい。天気もいいし気温もちょうど良い感じだから余計眠気が出てくる。最近は色々とあり過ぎたせいで疲れが思ったよりも溜まっているから……ふとした瞬間に眠気が出てくるな。


「咲人様、おはようございます」

「んぁ? えっと……松川さん、おはようございます」

「眠たそうですね」

「ここ最近は忙しかったので」

「・・・骨折されていますね。大丈夫でしょうか?」

「ご心配ありがとうございます」


 まさか竜樹の婚約者の松川理留に会うとは思っていなかったからびっくりだわ。はぁ、できるだけ関わらないようにしている人と出会うだなんてついてないな。しかし一件以来、意図的に避けていたわけだから会うことはないと思っていたのだがこうして会ってしまったからには話をしておかないとな。未来の親戚になる人だしある程度は関わりをもたないといけないって竜樹に言われそうだ。


 まぁ話しかけられる間柄ではあるけど、この人からすればそこまで関わりはなくても問題ない筈だ。まぁ見かけたから話しかけてきたってだけだろうしこれ以上は何も言ってこないだろう。目を閉じようとしたら「竜樹様に……つきましてご相談が」と言ってきた。僕はこれから面倒なことに巻き込まれる気配を感じてため息を吐いた。とりあえずは聞いてみないと分からないので、どんな相談なのかを聞いてみることに。


「先日その……ど、同衾をいたしまして」

「・・・同衾ってあの?」

「は、はい。お恥ずかしながら男性の方とは初めてでして」

「はぁそれで?」

「授かったかもしれません。それでどう竜樹様にお伝えしようかと悩んでおりまして」

「へ?」


 いや、一緒の布団で寝たしたぐらいで授かるってのは……ないけど同衾はそうゆう意味でも使われるわけだから一応確認をしておこう。松川さんに保健体育で習う内容の子供の作り方を聞くことにした僕は「子供の作り方って知っていますか?」と言った。自信満々で「知っていますよ」と答えたが……確かこの人って共学になったのは高校の時からって聞いたような気がするけど本当に大丈夫なのか?


「キャベツ農家様がコウノトリに渡してからコウノトリが運んで来まして私のお腹の中に宿ると知っています」


 自信満々なのに間違った知識をもっているとこうなるのか。別に正しい知識を教えてもいいんだけど、竜樹になんて言われるか分からないしこのままの方が面白いから一旦話を合わせるか。現代で知らないって人は居ないと思っていたけどいた。竜樹はおそらく松川さんが勘違いしているだなんて知らないだろうから妊娠したということを素直に教える方がいいと言っておこう。大事なことだから真剣に話している風にしておけば騙されるだろう。


 僕は松川さんに「どうしたいかを竜樹に伝えた方が良いです」とアドバイスを言った。松川さんは相当真剣なんだろうけど、僕はふざけているから後でしっかりと謝罪しよう。だってこんな純粋な子だとは思っていなかったから意地悪をしたくなってしまったんだよね。・・・竜樹に殺される可能性は高いが人間は好奇心には勝てないってことを熱弁すれば大丈夫だろ。まぁ松川さんはしっかりと悩んで一時は何もしないだろうからその間は平和だな。


「今から竜樹様に伝えてまいります」

「えっ?」

「咲人様、ありがとうございました」

「もうちょっと悩むとかないんですか!?」


 爆速で松川さんは走って行った。いや、誰があんな猪みたいなタイプだとは思わないだろ。こうなっては仕方ないことだから此処から大人しく逃げておくか。竜樹が怒って僕を捜す事になるだろうから今から逃げておかないと簡単に捕まってしまうんだよな。とりあえずは授業開始前に教室に戻れば大丈夫な筈だし竜樹は生徒会だから真面目にしておかないといけないだろうからな。




「咲人ぉ!! 死ねぇ!!」


 甘い考えをしていた僕を殴り飛ばしたくなるような状況に現在置かれています。午前の休み時間は全て逃げることを選んでいた僕は昼休みに竜樹から全力で追いかけられていた。しかも相当ブチギレモードの竜樹なのでこっちが大怪我していようがお構いなしに追ってくる。旧校舎まで追い詰められたからどうしようかと思う。今のアイツは手段を選ばずに僕を捕まえてこようとするだろう。逃げれるわけあるかボケェ!!


 大人しく捕まっても色々と詰められるだけだからこうして逃げるって判断している訳だけど、応援を呼ばれる可能性も考えないといけないから何もせずに逃げるのはやめておくか。じゃあどうするかと聞かれるかもしれないけど、簡単なことをするだけ。竜樹の所まで行って気絶させてそのまま、放置をすれば何も問題ない。流石にボコボコにされるよりかはマシだから先手必勝って訳だからな。


「咲人、やっと見つけたぞ」

「疲れきってない?」

「お前……俺の婚約者に何を吹き込んだ? 返答によっ__」

「先手必勝……ってかお前がなんとかしろよ」


 竜樹を気絶させた僕はなんとなく旧校舎の廊下のど真ん中で椅子に縛り付けて放置して行った。生徒会のメンバーや教師が見回りの際に見つけてくれることを願いながら竜樹を置いて教室に戻ったが……後でものすごく黒井先輩から説教をくらうとは微塵もこの時は思っていませんでした。

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