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77話 デートのお誘い1

 はぁ……昨日は酷い目にあった。母さんが僕名義の通帳の存在を知らなくて、しかも口座に入っている金額が五百万でそれをたぬさんにあげようとしていたことに対しての説教をくらった。父さんからはあの行動はしないようにと怒られた。信頼出来るか分からない人には無償でしないようにって条件は出されたけど。まぁ仕方がないよね。


「サキ〜今日からお父さんが車で送っていくから」

「父さんが? 仕事早く行かなくていいの?」

「会社に話したら融通してくれたんだぁ」

「だったらお願い」

「任せたまえ。あと母さんが朝ごはんだって」


 僕は着替えてから行くと父さんに伝えて先にリビングに行ってもらうことにした。しかし父さんが出社を遅くしてまで僕を送ってくれるとは思っていなかったわ。少し早く出て歩いて行こうと思っていたから助かったのは助かったからいいけど。足を怪我しているので着替えるのに手間がかかるのは厄介だな。治るのに3ヶ月はかかると言われたけどもう少し早く治せないものか。面倒だな。


 手間取りながら着替えてリビングにいくとそこにはたぬさんの姿があった。しかも朝食を摂っていやがるし、母さんと父さんは普通に受け入れているけどおかしくない? 同級生が朝食を摂っているだなんて信じられないだろ。図々しくおかわりなんてしているのに母さんは嬉しそうに米をよそっている。僕が何も言えずにいるとたぬさんはこちらへと向き、「足が治ったらデートしなさい」と無感情な感じで言ってきた。


「せめて感情は込めろよ」

「無理に決まっているわ。雪ちゃんに言われただけだもの」

「じゃあ断れ_ないか。昨日の感じからして」

「えぇ無理よ。だからさっさと治しなさい」


 無理言うなよ。僕としても敵意を向けてくる奴とデートなんてさっさと終わらせたいから早めに治すけども今回に関しては僕は何も悪くないから責められることなんてないだろう。コイツとデートとかすげぇ不安でしかないけど、雪菜さんの喜ばないことはしないと思うから問題はないか。他の奴ならまだしもコイツとのデートは嫌に思わないのは何故だ? 不安って要素は攻撃をしてくるかもしれないからだ。


 敵意を向けられていることに慣れすぎているのかが分からないけど、懐かしいって思ってしまうのはどうしただろうか。思い出せない記憶の中に答えがあるってのは分かるが……それを僕は求めていないから探す気はない。ただ桜木家とは昔から関わりがあるってことらしいからそれだけは何とか思い出したい。雪菜さんが僕の初恋の人だといいとは思っているんだけど、実際はどうかが分からないからそれを探るためにはコイツのことを知らないとな。


「1ヶ月は待てるか?」

「治せるのかしら?」

「治してみせるさ」

「なら私は待つわよ」


 コイツ……本気なのか? 待ってくれるって言うなら別にいいんだけど、断ってくれる方が僕的にはありがたかったけどなぁ。雪菜さんがたぬさんに対して言ったらしいし仕方ないがさっさと治してデートを早く終わらせてするかぁ。コイツとのデートじゃなくて雪菜さんとしたいけど、今のコイツはそれを阻止してきそうな雰囲気があるからまずはコイツとデートをしてからだな。夜夢はあのジジィがうるさくなるのでしたくない。


 あとは竜二が何かしらやってくるだろうからそれを避けるためってのもあるけどな。アイツのことも竜樹かジジィのどちらかで話さないといけないな。おそらくだが、たぬさんの後ろには竜二のやつがいるだろうから何かアクションをとってくるだろうな。それを潰しつつ、二人と雪菜さん一家を守ればいいか。その中にたぬさんを含めておかないと悲しむだろうから……面倒だ。敵対って言ってもそこまで重要なことはなかったから何も問題はないか。


「・・・アンタに聞きたいことがあるんだけども」

「何?」

「竜二さんってどんな人なの?」

「クズ」

「やっぱりそうなのね。実はあのお見合いは私の保護者が勝手に決めたことなのよ」


 お見合いって確か……いつぞやの。いや、黒井先輩に来ていたから知っていたからね。それよりも気になることは“保護者”と“竜二”の関係性だ。あの時、偶然夜夢と出会ったから……不思議だったんだよ。アイツが全て仕込んでいたって話なら本格的に潰しにかかるようが良さそうだな。流石に見てみぬふりはできないところまできているからな。怪我や今ある問題を全部終わらせてからにはなるが別に何も問題はないだろう。


「雪ちゃんに危害は加えないとは思うけど、警か_ひっ!!」

「コラ!! サキ!!」

「血ってこわぁ……」


 たぬさんは何故か短く悲鳴をあげて母さんは怒っているし父さんは何か懐かしむような感じでいるし、何があったんだ? 僕は何もしていないから怒るのは違うと思うんだけどなぁ。一瞬だけ漏れた殺気も別にみんなに向けたものじゃないから怖がる必要はないんだけど、解せぬ。まぁとりあえずは「たぬさん、ごめん」とだけ言って席に座り朝食を摂る。



 朝食を摂った後はたぬさんと別れて学校に向かった。父さんに車で送ってもらったからあれだけど、なんだが新鮮な感じだな。結構早く学校に来るってのは本当に新鮮で新しい日常のスタートって感じがする。一番乗りってわけではないからちょっとだけ残念だけどもね。クラスメイトな筈なんだけど、マジで誰かも分からないから話かけなんてしなくていいか。何かの委員会の人間かもしれないしね。


「咲人くん、私とデートしよう」

「回れ右して帰れ」

「釣れないじゃないか?」

「うっさい帰れ」

「辛辣な君も好き……おや?」


 黒井先輩が教室に入って来るなり変なことを言ってきたので塩レベルMAXで対応していたら男子生徒に目をつけた。まぁ僕は面倒な気配がしたのでさっさと退散させてもらうとするか。

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