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6話 才……能?1

 桜木家との食事を終えて家に戻ってきてソファーに寝そべりながら今日のことを思う出す。今日は予想外だったことが多かったが分かったことがあるのは大きいな。写真に写っている所はここの近くにある公園で奏さんらしき人が少しだけ映っているんだよなぁ。父さん達に見せてどういう反応をするかを見るのでもいいんだが……何故か少女が映っている写真が一つもない。


 アルバムに不自然な空白があった訳だし僕に見せたくない……もしくは見てほしくないの二択だろう。顔が見せないのは精神的なものだろうなぁ。マジックペンで塗りつぶされているような感じで黒さではない。夢で見るような黒いモヤが出てくる感じである。アレに近いか……心霊番組とかである黒い影に似ているんだよ。


「サキ、それは・・・」

「ただの写真だよ。父さん、お風呂上がったんだね」

「いやそれよりなんで、それを」

「じゃあ明日もある訳だし入って寝るよ」


 母さんが奏さんとの話を終わらせて来て帰ってくる前にさっさと逃げよう。父さんに見られたのはヤバイかもしれないんだけど、あの反応を見るに見てほしくない方だったか。父さんの顔は驚きと困惑、心配が出ていたから本当に見てほしくないんだなぁ。これは隠しておいた方がいいかもしれない。う~ん、風呂上りに呼ばれて問い詰められた用でダミーを作っておくかな? そういえば日課のことをしていなかったな。


「父さん、ちょっと公園に行ってくるよ」

「え? 遅くなると危ないから早く帰っておいで」

「分かった」


 父さんは時計を見て問題ないと思ったのか、許可をくれた。ジャージに着替えて家を出る。公園までの距離はそんなにないので7分くらいで着く。家を出てすぐに母さんと奏さんがいたので軽く挨拶と公園へ少し行くことを伝えて走っていく。僕がしている日課は誰も知らないし、知られないようにしていたけど特に理由はないから別にバレてもいい。


 公園に着いて真ん中まで行き目を閉じて集中する。頭の中が回っている感覚になって来たら目を開けて周りを確認する。周囲が白黒の世界になっていることを確認できた。次にすることは遊具……ジャングルジムがあるので触りその感触を確認する鉄なので柔らかいなんてことはないのだが、柔らかく感じる。


 地面に足が沈んで行っている感覚もあるし人の声も、姿もちゃんとしたものではない。コレは正常では無いんだろうが……才能を全て使う際に起こることで、幼い頃はコレが常にあった。両親と1人だけは例外だったみたいだけど。この状態だったらもしかしたらと思い写真を取り出すが……


「無理か」


 無意識のうちに思い出さないようにしているかもしれないな。まぁいいや、さっさと日課を終わらせて帰___「こんな時間に何してるの?」と声が後ろから聞こえたので驚いて振り返るとそこには雪菜さんが立っていた。しっかりとした姿で……ちゃんと声が聞こえた時点でそうじゃないかと思ってはいたけど。


「なんで?」

「お母さんが教えてくれて気になって」

「違う」


 なんで今の状態で見えているのかってことを雪菜さんに言っても意味が分からないだろうし、どう伝えようかと思ったら「っ!? えっと……ごめんなさい。邪魔しちゃったんだね」と言って帰って行った。なんで帰って行ったが気になるけど、今日じゃなくても明日聞けばいい訳だし終わらせて帰るか。


 時間が経つと平衡感覚もなくなって、世界が回っているような感じがするようになる。ジャングルジムから大体20ⅿくらい離れて準備運動をする。準備運動が出来てなくて怪我をしたことがあるのでそれはちゃんとしないと今からやることは危なすぎる。ここにあるジャングルジムの高さは13,14ⅿくらいかな。ここから飛んでジャングルジムの一番てっぺんに乗るが少し怖い。


「昔、やろうとして隙間に落っこちたしね」


 筋トレをしっかりとしている訳だし出来ると思うから再度挑戦してみたくなった。僕が毎日している日課にしているのは僕自身の才能のテストだ。今はオンオフが出来るようになったし、ある程度は使いこなせるようになったけど……流石にどこまであるのかは把握できていない。だから何が出来て何が出来ないかを調べるのを日課にしている。


「足に、力を集中させて、爆発させる」


 イメージをして固まったら飛ぶ。視覚だけ感覚を戻してジャングルジムの位置を確認するが流石に体感速度が速すぎて目が追いつかないからやめた。ただ分かったことは飛び越していたってことだ。飛んでいる最中にバランスを崩していたみたいでただ宙を舞っただけじゃん。落ちるまで時間があるのがムカつくな。受け身をと___ゴツッン!! と鈍い音がなった。


「痛っ」


 ブランコの上にある棒に背中を思いっきりぶつけた。背中が物凄く痛いしコレ……折れているって可能性ない? まぁ動けるから問題はないんだろうけども、っと。起き上がってふぅ~と息を吐きオフモードにする。オフにした時に一瞬、視界がチカチカと光るだけってのが良いな。オンにする時は時間掛かるのをどうにかしないとな。


 痛い背中を擦りながら踏み込んだであろう場所まで歩いて地面がどうなっているのかを確認すると力がこもっているのはつま先から土踏まずってところか。土なのでえぐれている所の深さは大体5㎝くらいかな? なるほどね……これは使えねぇなぁ。一部分に力を込めるのはあまりしない方が良いな。足裏から何本か筋肉が千切れる音が聞こえたしね。


 今の状態であれば、足→全体→足腰→腕→全体の順番で力の込め方を変えれはするがあの状態では何も出来ないし振り回されているからなぁ。ある程度使いこなしているとは言え……振り回されるんだよ。よくもまぁ幼い時は使いこなせていたものだ。幼い時は本能のままで生きていたってことが大きいのか? それについては後で考えるか。そろそろ帰らないとなぁ父さんと母さんが心配する。


 帰路につきながら空を見上げると綺麗な星空があった。あの時にあのまま死ね(消え)たら……どうなっていたんだろう。なんて考えながら起きた時ことを考えていた___あの事故で1週間目を覚まさなかった僕が目を覚ましたら「怪我で生き残っているのは奇跡」と言われて、医師には感動されたのだが。僕にはどうでも良かった。父さんと母さんが泣きながら喜んでいた。


 父さん達もあの時いたので少しの傷でよかったと思うがもう一人いた少女の安否が気になった。気を失う前にその子を左脇腹に何かが刺さっていて流血していたのが気になった。なので聞いたら、医師と二人は言いづらそうな顔をして父さんから「サキと同じで大怪我をしていてね。目も覚ましているけど……」と僕から目を逸らしながら言う。


 次に母さんが「事故のショックで記憶を・・・ね」と優しい声で言った。安心したが僕はある疑問が出てきた。あの子ってどんな感じだったのかということだ。会いたいのに会えなくて……保育園が一緒なのは覚えているがその他が分からない。まぁそのうち分かるかと当時思っていた。


 明日もあるしお風呂入って寝よっと。

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