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45話 タヌキと死神? 2

 雪菜さんに原さんを押し付けた為、僕は逃げたクーさんの親を止めないといけない。こんなことになるくらいなら今日は普通にしておけばよかった。誰だよ思い立ったら吉日とか言ったやつは。だから来週でいいんじゃないかと言っただろうに。


「くっ、速いな君」

「まぁおじさんには負けないので」

「誰がおじさんだ!! 私は女だぞ!!」

「それは失礼しました。じゃチー先輩の父親が浮気したのか」

「そんなことは、ない。今のを避けるのか」


 考えが口に出てしまったのか。クーさんの母親が……長いな。呼ぶならクー母でいいだろう。名前なんて聞いてないし、覚えれなくてしないだろうから。さて逃げることをやめてくれはしたけども普通に攻撃仕掛けて来られるのは面倒だな。


 もうすでに殴ってしまっているからアレだけど女性だから殴って無力化するのは……あまりよくはないだろうな。殴る蹴るくらいの攻撃なら簡単に捌くことはできるが……問題はそこじゃないんだよなぁ。捌き続けるのは面倒だなぁ。


「見つけたぞ、あのガキだ」

「君は恨まれているのか?」

「さぁ? 死神って言われることもありましたけど」

「・・・君は一体何をしたんだ」


 いや僕から何かをしたわけじゃないですし、相手から仕掛けて来て、軽く二、三本は骨を折っただけだし警察に捕まっていないから問題はない。まぁあのじいさんが全部もみ消してくれたおかげで今があるからしっかりと依頼はこなしているからいいでしょう。


 そんなことはどうでもいいが邪魔な奴らがやって来たな。あのじいさんの依頼リストにはなかった顔があるけど、数名はいるな。クー母の攻撃がなくなったから簡単に対処は出来るんだろうけど逃げられたら雪菜さんに怒られそうだな。手伝ってもらうのが一番いいだろう。


「すいませんが手伝ってもらっても?」

「法律が……」

「問題ないですね。守友家が守ってくれるようにします」

「あの家の関係者か。名前は?」

「武器を持っているかもしれないので気をつけてください」


 困惑しているクー母を無視してこちらにやってくる奴らに向かって突進する。流石に相手さんもびっくりはしているがそんなことは無視だ。そもそもあのじいさんが送ってくる依頼リストは裁かない奴らを対象にしていることが多いから僕一人では危ないとのことでしっかりと護衛がいた状態が多い。


 今回は普通に誰一人としていないから傷は一つも負わないようにしないとみんなに心配をかける。流石に殺すのはダメだから無力化することしか出来ない。その時に別に死にかけるくらいは何も問題はないだろうさ。ここ最近は一切してなかったからすっかりと忘れていたけど、顔が出回っているとか言っていたのを忘れてた。化け狸にでもなりたいわぁー


◇◇◇

[クー母親視点]


 私の目の前で繰り広げられているのは一方的な殺戮だった。高校生くらいの子供が……見るからにヤバそうな奴らに突っ込んで行ったと思うとどこ吹く風のように攻撃を捌いていき、大人の顔を殴って体を一回転させている。それだけでも私からしたら怖いのにゴム弾をノールックで止めそれを投げて気絶させているのを見た時には夢かと思った。


 確かに受け止める奴は見たことはあったのだが……同じ速度くらいで投げて相手を気絶させるなんて芸当は見たこともない。守友家はこの国、最大の個人武力を持っている一族なのか? 配下がいてそれが超人だと言うことは聞いたことがある。関係者なら納得は出来るが……私の知っている情報では彼はいなかった。


「彼は一体……」

「藤咲咲人様になります」

「いつの間に!?」

「あの方は守友家の次期当主に近い方になります」


 全く気配を感じさせずに隣にいたメイド服を着た彼女は彼のことを説明し始めた。関係者じゃなくて血縁者だったのは予想外だけども現当主もアレくらいの強さがあると思うと勝てないねぇ。私の考えなんて簡単に読めたのであろうメイドは


「当主様は強くありません。あの方みたいなのは稀にございます」


 などと言っていたがあんなのがポンポンと出て来られてもこっちとしては困りまくりだよ。私の娘は彼と友人関係で大丈夫なのかと心配になるね。無表情なのがいるのはよくあることだけどあそこまでじゃないね。隣にいるメイドは表情を変えていないだけど、見惚れてるしね。


 本当に無駄がない所作だから見惚れるのはいいけど私はここから離れて娘の所へ行かないといけない。彼も目の前の連中に集中しているだろうし、野次馬も増えて来たからこの辺で退散さてもらおう。私はメイドに気をつけながら少し離れて走ろうとしたら足元にナイフが飛んで来た。


 野次馬から悲鳴が出て来たけど、私はそんなのを出せる暇がないくらいに恐怖している。投げて来たのが近くにいるメイドなら私は全力で逃げるけど……今、殺戮をしている彼から飛んで来たからここから離れることなんてことは出来ない。アレは死神なんて呼ばれるわけね。


「行かなくてよろしいのですか?」

「よくそんなことを聞けるわね」

「正しいご判断にございます。それとこちらをお塗りください」

「クリーム?」

「咲人様に殴られていたのをお見かけしたものでして」


 殴られた時は痛みで悶えてしまっていたけども今は問題はないと思うけど一応もらっておきましょう。相当なお金持ちの一族だからメイドがいるのは分かるけど頬に怪我をしているじゃない。綺麗な顔立ちをしているのに勿体な__明らかにゴム弾では無い音が響いた。彼を見ると何食わぬ顔で立っていた。撃ったではあろう人物は顔が青くなっていっているから気の毒だ。


「アレに主様は勝てませんね」

「主様ってのは?」

「私の主、竜二様のことになります。咲人様を倒したいと言っておりますが」


 そこまで言って彼の方を見るメイド。私もつられて見るがすでに殲滅し終わっているみたく立ち尽くしている。確か竜二ってのは守友家の元当主候補だった筈の人物で、何かをやらかして刑務所に入れられていたって聞いていたが……彼にやられたわけじゃないよね?


 藤咲咲人とは敵対したいとは思わないわね。優れた軍人や格闘家に勝てるかは分からないけど怪我だけじゃ済まないことになりそうね。


◇◇◇

[赤城沙耶視点]


 皆さんこんにちは、私は赤城沙耶です。友達の雪菜ちゃんを必死に止めようとしがみついたり引っ張ってみたりしていましたがどうにもなりませんでした。もう諦めて何もせずに大人しく着いて来ました。好きな人を馬鹿にされたから怒るのは当然だとは思うけどさぁ、怖い。


「原さん……」

「あ、貴女は桜木雪菜!? なんでここに」

「私は貴女が嫌い。私のサキくんは貴女の佐藤くんから助けてくれた」

「あはっあはっあはっあはっあはっあはっあはっあはっあはっあはっあはっあはっあはっあはっあはっあはっあはっあはっあはっあはっあはっあはっあはっあはっあはっあはっあはっ」


 原さんが壊れたと思ったので先輩達をこっちに呼んでとりあえずは距離を取るようにした。雪菜ちゃんはそんな原さんに怖がりもせずにじっと見つめている。私は佐藤くんから助けてくれたって言うのが気になったけど今は聞かないとおこう。きっと話してくれないだろうから。


「藤咲咲人に一生思い出してもらえない憐れな女が貴女だったのね」

「・・・今関係ある?」

「ないけど優越感があるから。貴女、守友当主と取引しているって話よね?」

「どうして……」

「調べさせてもらったもの!! あの方は親切にしてくれましたからね」


 私には内容が全く分からないけど“あの方”って人が裏で糸を引いているんだろうと予想は出来る。原さんが最初に入って来た時と違うような気がするのは私だけ? ここに宇恵野ちゃんがいたらある程度の情報を持っているから聞けるのに。


 藤咲くんが何かを言っていなかったかを思い出せ私。何気ないことでもいいから……「今朝、あのグループの一人に怪しい奴がいた。だからもう少し待った方がいい」って言っていたのは思い出せたけど、他には「いつも急なんだよ。オレは抜きでやれ監視されているだろうから」って言っていたなぁ。なんのヒントをないじゃん!!


「私は彼が手に入ればそれでいいの。一番邪魔なのは貴女と思っていたけど……やっぱりそこの女ね」

「えっ? 私?」

「赤城沙耶はユウくんにとってストッパーになる」


 私がストッパーに? それならよっぽど藤咲くんの方がなっていると思うんだけど、違うのかな? もし本当なら嬉しいけどなぁ。原さんが私を観ながら「・・・はぁ素人ね。まぁ今回は大人しく引いてあげましょう」と言って教室から出て行った。残された私たちは唖然としてしまった。


 原さんは一体何がしたかったのかが分からないけどとりあえずは一件落着? でいいのかな。もう疲れたし早く帰って寝たい。


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