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37話 クーさんとチーちゃん 2

「浮気だぁ」

「浮気していたんですね」


 その場にいたクーさんとチーさんは誤解をしていたのでしっかりと説明をした。僕は浮気をしているわけないとしっかりと分かってもらえるように教えた。二重人格の可能性があることは伏せてではあるけど。そこまで人柄を知らない人に色々と言う訳はないからな。


 そろそろ移動しておかないといけないからとりあえずは教室に戻るように二人に言った。それを聞いた二人は距離を少し開けてから歩き始めた。これはちゃんと解決してあげないといけないだろうなぁ。僕は正解したご褒美としてもらった缶ジュースを握り潰しはしない。勿体無いから名前も学年も一切知らないメガネをかけた生徒にあげた。





「そういえばアレ……マジでどこから出したんだ?」


 なんて考えながら教室に向かうが、雪菜さんと顔を合わせづらくなっているのでサボりたい。先輩Aが全て悪いんだよ。僕は何も悪くないのにあの悪魔のせいでこんなにも苦しむなんて。坂内に次の休憩で相談にのってもらおう。これを一人で抱え込むのは僕には無理だ。


「マジで最悪だな」

「ほんとだよ」

「二股とか最低」


 僕が教室に入るなり変なのことを言っている人間たちが多くなっているのは何故? スマホに通知が来たので確認してみると……そこには僕と西さんがキスをしているように見える写真があった。確かに写真を撮る音は聞こえたけど、この画角で撮っていたのは知らなかった。


 これを送ってきたのは僕のスマホに雪菜さんね。ということは弁明をしないと相当怒られるパターンだなぁこれは。実際は西さんの指越しのキスってことを言わないといけないんだよ。しっかりと一度目は避けたし、二度目のは問題を出されていたからそっちに気を取られていたからだしな。僕は悪くないと思いたいなぁ。


「面白いことになってるみたいだな」

「宇恵野か。そろそろチャイムなるぞ」

「えっ、ちょ」


 背後から話しかけてきた宇恵野を雑に扱って席へと着く。おそらくではあるけど、今回の写真で敵はさらに増えただろうなぁ。西さんは有名人みたいだしなぁ。面倒ではあるけどそれはある程度は放置しておけば別に良いと思ってるな。必死に何かを言うのでも全く何も言わないのでもなく適度に話すだけで済むだろう。


 ただクーさんとチーさんの問題は最近身近で似たようなことがあったから僕がしっかりと対処をしたいと思ってるんだよ。そのあとは関わりなんて持たないで済むだろうしね。昼休みか放課後にどっちかと話さないといけないな。もう一人は誰かに協力してもらって引き剥がすのが最適だろう。


「そこで何も聞いていない問題児はあとで反省文な」

「可哀想な人もいるな」

「てめぇだよ藤咲」

「横暴な」

「それなら今までの分も追加だ」


 今までの分って一体どのくらい書かないといけないんだ。いや僕よりも佐藤の方が問題を起こしているんだろうから少ない筈だな。反省文だし別に書き直しとかはないだろうな。父さんと母さんはその反省文は見ないのは知っているから適当に反省しましたって書けば良いか。


「しっかりと書かないと親御さんに連絡が行くからな」

「はい、ちゃんと書かせていただきます」


 ちゃんと反省文を書かされることになった僕はこの後の授業全てを真面目に取り組んだ。ようやく昼休みになったのでお弁当を持って佐藤グループに向かう。クーさんが来たのはしっかりと確認はしてある。チーさんに関しては雪菜さんと赤城に相談している。事情は聞いてくれるとのことなので任せてある。


「サキ何のようだ」

「お前に用はない。この先輩に用があるんだよ」

「なぜ?」

「少し聞きたいことがあるんで」


 佐藤達は嫌そうな顔をするが関係ない奴らのことなんて知ったことではない。クーさんは戸惑っているような表情を見せるので「アナタの大切な人についての話ですが興味はないですか?」と伝えると「それはある」と答えてくれた。佐藤が何かを言おうとするので脛を軽く蹴る。


 軽く蹴るだけでは痛くはない筈だけど驚きはする。その隙をついてクーさんを小脇に抱えてこの場から逃げる。留学生を堂々と拐うなんて反省文を倍に書くことになるだろうがそんなことは僕には関係ない。すでに反省文を書くことは決まっているんだ。2,3枚増えたところで痛くも痒くもない。




 クーさんを小脇に抱えてまま逃げるのは相当な疲労がある。とりあえずは追手を振り切って旧校舎の屋上までやって来た。さてと何から話すべきなのかはわからないけど、お昼を食べたいのでクーさんを下ろしてから僕は座りお弁当を開けて食べ始める。


「チーちゃんに彼を近づけさせたくない」

「それは好きだからですか?」

「うん。大好き」


 クーさんは頬を赤らめていたのでマジもんで好きってことなんだな。演技なら分からないがそんな感じには捉えられないからどうしたものか。以前の僕なら「告白すれば」と言って終わるんだろうが今はそんなことは言えない。そうなるとどうして対策をしようか。


「クーの想いは間違い?」

「いいえ、生物として正しいです」

「ありがと。けどそれはない」

「別に良いじゃないですか」


 実際にその想いは生物として正しいだろうからなぁ。僕の考えなので他の人はどうかは知らないのでわからないけどね。誰かを好きになる愛するって想いは個人的に美しいとは思うから、否定することはないかな。だけども同性を好きになる人は差別されるようなものだからな。


 昔の日の本ならそんなことはなかったが色々と変わってしまったし……おっと話がずれてしまう。クーさんはチーさんのことを“大好き”とのことだが、問題はチーさんの方だな。恋愛対象としての好きではなければ好きになってもらえばいい。ただなぁ好きな人がいて告白も近づくことも出来ないとなると


「詰んでいるな」

「む、無理なの。うっ……」

「違います。チーさんの恋を諦めさせるための話です」

「ほんと?」

「はい」


 僕の心の声が漏れてしまったのを聞いたクーさんが泣きそうになってしまったので、チーさんの恋が詰みだということを伝えた。とりあえずは泣かせずに済んだのでよかったけど、気をつけないといけないことが出来てしまった。


「チーさんを佐藤に近づけましょう」

「いや。彼はクズ」

「アイツは善人よりです」

「違う。今は曇ってる」


 よく見てらっしゃる。確かに今は曇ってるからクズに見えてい___待てよ。もし僕が佐藤を通して彼を見ているだけなら見え方が違う。そんなことはあとでいくらでも考えればいい。今はクーさんのことをしっかりと考えないと。


 クーさんはチーさんを佐藤に近づけたくないから遠ざけようとしている。チーさんはそれを見て怒っているって感じなのか。それに僕は巻き込まれてしまってどうしても気になって自分でさらに突っ込んでいっているわけね。


 これからのことは雪菜さん達の話を聞かないとどうしようもないか。ちゃんと接触は出来ているのかな?


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