36話 先輩A 3
先輩Aが現れた。僕が逃げるを選択するが、回り込まれてしまって逃げれないわ。僕と何かを話しても何も変わらないのにどうしても話そうとするのかが分からないなぁ。どこか隙を見て逃げるしかないんだけども今はまだ無理か。チャイムが鳴る時間もまだ10分以上あるし。
「留学生と優等生に連れて行かれるのを見て後をつけたのは正解だったみたいだねぇ」
「どっちがどっちですか?」
「あの小さい子が留学生。ちなみにお金持ちだよぉ」
あの二人の関係性は相当深いようなものに感じたけど、留学生なのか。僕が仲の良い二人の関係性を壊したのかぁ。もし先生から何か言われても僕は絶対に動くことはしないようしておかないと。これに関しては僕が罪悪感が出始めてから動かないと信用なんて全て失うだろうな。
「聞きたいことを忘れてたぁ」
「聞かないとダメですか?」
「なんで盗聴きが仕掛けられているとわかったのかなぁ?」
これって疑われているのか。普通は仕掛けた犯人、知識がある人もしくは相談を受けた人しか分からないと思っているんじゃないのかな。案外分かるものだと思っているけど……なんて答えるのが正解なのかは分からない。よし、ここは勘とでも答えておけばいいだろう。
ちょっと待ってくれ。もし僕があのストーカーAの仲間だとはこの先輩Aは考えなかったのか? それとも自分には問題ないと考えているかだよな。これってどう転んでも厄介なことになるのは決まっているんじゃないのか。逃げてもダメ、嘘をついてもダメ、本当のことを喋ったら信じてくれるのか?
「あのストーカーAの仲間ではないですからね」
「それは抱きついた時にわかってるよぉ」
「さいですか」
「私のビルピョーンで抱きつかれても喜ばないんだからぁ」
ビルピョーンって何んだよ。もしかして体のプロポーションって言いたいのか。訂正してもいいがドヤ顔で胸を張ってしているけど……アホの極みしたいな感じにしかなっていないのではなかろうか。この人に対して一切の魅力を感じない僕にはストーカーAの心は分からないんだろう。佐藤が解決してくれるだろうからいいや。
ふと罪悪感がなぜか出てきてクーさんとチーさんのことをどうにかしないと気になってきてしまっている。流石にあの対応に関して反省をしているんだよな。佐藤の関係が悪くなったのは、僕の態度の問題もあるんじゃないかと思い始めてしまったからなぁ。
「あのクー先輩はどんな人ですか?」
「君はどーしてそんなことを聞くんだぁ」
「あとチー先輩のことも教えてください」
「疑問には答えてくれないんだねぇ」
その前に僕の質問に答えてはくれないんだから当たり前だろう。・・・そういえばこの人、佐藤とどういう関係なのかを知らないんだが? 周りに似た系統が居たのは記憶しているけど、先輩Aは居なかったはず。そんな人に情報を求めていいのかな。宇恵野でも分からないだろうから仕方ないんだよ。
「教えてもいいけど、条件ね」
「なんでしょうか?」
「私のことは西さんと呼んで欲しいなぁ」
「分かりました。西さん」
僕がそうゆうと嬉しそうに笑った。確かに人気が出るような笑顔をしていると思った。そんなことよりもあの二人のことを聞きたいし解決をしてあげたい。僕のせいでおそらくは悪化しているだろうからそれは申し訳なく思うから早めに動きたい。
西さんは「留学生は優等生のことを恋愛的な意味で好きなんだよぉ」と言いながらものすごくつまらなそうにしている。クーさんはチーさんのことが好きで、チーさんは佐藤のことが好きってことなのか? これって三角関係ってやつなのかは分からないけど、相当面倒なことは確かだわ。
「佐藤くんと君に助けられた優等生はねぇ」
「恋に堕ちた。と」
「どっちだと思うのかなぁ?」
「佐藤」
なぜか西さんが僕を見る目が気持ち悪い奴を見ている時みたいな目になったのは意味が分からない。今は僕は何も気持ち悪いことなんて言ってもないのに理解ができない。西さんはため息混じりで「正解だけど、即答とか。きっしょぉ」と言ってきた。正解なら別に気持ち悪くはないでしょうに。
まぁなんとなくわかったから僕の評価なんてどうでも良い。クーさんはチーさんの好きな人「佐藤」のことを見極めるべきだと思い近づいているって形なんだろう。そしてチーさんの方は好きな人には近づけなくて遠くから見守っている形ってわけ。すげぇめんどくさいと思ってしまったけど、関係性が悪化してしまったのは僕の責任なのでそれは対処するけどそれ以外は何もしない。
「西さん、ありが__っぶね!」
「あ〜あ惜しかったなぁ」
「今、何故キスをしようとしたんですか?」
「今朝女の子としたでしょ。羨ましく感じたからだけどぉ」
怒りそうになったがここで怒ったらこの人の思う壺だと思うのでそんなことはしないでおく。西さんは僕がキスをしたからと言って羨ましいと思うようなタイプだとは思えないんだよ。知り合って1日も経っていないから知らないだけだと思うけど、今の印象的にね。
ただ嘘だとは思えないのは……なんでなのかが分からない。なら何故そう思ったのかを考えればいい。まず西さんは僕が名前を言うと嬉しそうに笑った。次にクーさんとチーさんのことを話す時はつまらなそうだった。僕が佐藤の名前をすぐに出すと気持ち悪そうな目をした。そして今のキスを羨ましがった。
信頼関係は嫌いとかなのか? いやそれなら名前を言った時に笑顔になるはずなんてないし、ライバルがいいだなんて言う筈がない。なら恋愛感情が気に食わないとかなのか? それなら僕にキスをして雪菜さんとの関係を壊せば良いんだろうけど……スマホとかを隠していたりしてないだろうとは思う。
「答えは出たかい? まぁ君には無理だろうね」
「・・・先輩A」
「ん? どうしたんだい?」
「西さん」
「だからどうしたのぉ?」
多重人格の可能性があるのか。声のトーンや雰囲気はそのままで、口調や反応する呼び名が違うって難しすぎやしないか? これが正解とは限らないけど、ものすごく近いのはわかる。まぁハズレであれば先輩の演技が上手いってことになるだけだしな。
「あなたは二じゅ__」
“パッシャリ”
「__正解だ。ご褒美だ」
「どっから出したんですか。ジュース」
「んふふ♪ 目撃者もいるなぁ」
満足そうに僕に缶ジュースを手渡して去っていった。先輩Aこと西さんは最後にとんでもないことをしていってくれやがった。しかもクーさんとチーさんが目撃者とか……最悪すぎるわ。ボケが。




