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28話 お弁当1

 昼休みになったが噂は学校中に広まってしまった。しかも今日から普通に授業も部活もあるとのことだったので最悪なタイミングで復帰したのだ。それは別にいいんだけど信じている奴が多いのは何故なんだ? 生徒会も教師勢も昼休みが始まってすぐに放送で噂を否定したはずなのに信じている奴が増えていく一方なのだが、どういうことだ。廊下を歩くたびに色々と陰口を言われる始末で「彼と関わっている子達って脅されているんじゃない?」とかも言われるんだぞ。なので僕はそそくさと屋上へと逃げた。


 何かカラクリがあるんだろうが……今日だけで広まった噂ではないような気がする。そういえば宇恵野は今教室に広がっている噂としか言っていなかったから今日だけではないのは確実か。噂は一旦は置いておいて、ユウの周りには助けた連中が露骨に集まってきている。何人かは僕もいた時の奴だったがそれでもユウに味方しているのは何故だろうか。僕を邪魔だと思っていた連中が集まってきているって仮説を立てるとして……どうして噂なんて流しているんだ?


「ここにいたんだ」

「雪菜さん? どしたの?」

「教室に居ても雰囲気が悪かったから」


 屋上で一人で居た所に雪菜さんがやってきた。教室の雰囲気が何故悪いのかはあえて聞かないでおくが……普通に誰もいない屋上に来るほどのことなのか? 赤城と一緒に居ればいいと思うんだけどなぁ。今じゃなければめっちゃ嬉しいけど、僕といると何があるか分からないから近づけたくはない。ただのエゴだから雪菜さんに強制する気はないからいいんだけど。


「はい、コレお弁当」

「えっ……ありがとう」

「私の手作りだからね」


 何故に手作り弁当を持ってきてくれたのだ。確かにお昼はまだだけどさ、雪菜さんが持って来るなんて微塵も予想していなかったよ。お弁当を開けると僕が好きな食べ物は……入っている訳はないか。そもそも好きなおかずとかはないし嫌いなものもないから別にいいか。評価をする気は一切ないから純粋に楽しもう。


 卵焼きがめっちゃ美味しいなぁ。だし巻き卵ではなくて甘い卵焼きってのが物凄くいい。全台的に好みの味付けになっているのがびっくりなんだけど。母さんから教わったんだろうから帰ったら感謝を伝えないといけないな。母さんのお弁当を食べられなくて残念だったと思っていた所にまさかのサプライズでテンションが上がるな。


「サキくんはどうするの?」

「ご飯美味しいよ」

「違うよ。佐藤裕太くんのこと」

「どうしようか悩んではいるよ」


 問題はアイツが一切僕の話を聞かないし、周りの連中が近づかさせないようにしているところなんだよ。特に原っていう名前の女子は話が通じないどころか、言葉を理解していない節があるからな。被害妄想をするのは勝手だし好きにしろって思っていたが実際にやられると相当面倒だな。はぁ、アレが雪菜さんなら相手___しなくないねぇわ。生物で相手できる奴いるのかも疑問になるわ。


 脱線してしまったから戻さないと。今回のことは生徒会は関わっている人間はいるだろうが、竜樹や黒井先輩はありえない。ユウは元々群れるのが一番好きな生き物だからその辺は別に色々言う気はないが女子比率が高いのはどうかと思う。別に嫉妬ではなく純粋な疑問だ。あそこに雪菜さんがいるのであれば嫉妬は向けるがそうじゃないので近づかなければ何も問題はない。僕の方からアイツらに何かをするのはもうやめておこうと思っているしね。


「私は直接、裕太くんに文句を言いに行こうと思っているよ」

「それはやめておいた方がいい」

「怒っているんですけど?」

「一人じゃダメ。最低は二人」


 ユウの周りの喋り動く物体が危なすぎるから僕がいる時以外は絶対に近づくのは禁止にしたいんだけどぉ、流石に付き合ってもいない男女の距離感ではなんのでおさせておかないとね。まぁ近づかなければなんら害は今のところはないから無視が一番だとは思うんだけどね。僕以外は怒りを爆発させる可能性があるからその辺をどうにかしないといけない。まず落ち着かせるのは雪菜さんか。


「お願いだからまだ何も言わないで」

「我慢するけどサキくんが来ていない時だって大声で言っていたんだからね」


 雪菜さんからいい情報をもらったけどもあまり使い道があまりない。アイツらが流した噂で間違いないんだろうがそれだけだと反省文を書いてすればお終いになる。内部から崩壊させることを考えて動くべきだろうとは考えているんだけども流石に話を聞かない奴を相手にはしたくはないな。新井先生に助けを求めても意味があるだろうけど、その時だけだろうな収まるのは。


 必死に否定して周っても加減しないと逆に本当のことだと思われるし、否定しなさすぎても事実として広まって行くだけだから何か落ち着かせるのは方法はないものか。とりあえず今は様子見として無視することに決めているけど、雪菜さんがいつまで我慢出来るかが心配なんだけど。僕もやられているだけではイヤだから仕返しはする。ただユウに関しては何もせずに放置しておく。


「雪菜さん、お弁当ありがとう。美味しかった」

「お粗末さまでした。貸して」

「洗って返すけど……」

「貸して」

「・・・はい」


 雪菜さん物凄く圧が強いのは何故でしょうか? 笑顔なのに目の奥が一切光を灯していないのも気になるんだけど、何か言ってはダメな気がしたから何も言わなかった。僕の弁当箱と一緒だったからてっきり母さんから受け取ったと思っていたけど、割り箸だったし同じ物だったんだろう。僕のはちゃんと箸を買ってあるので次は間違えないようにしないといけない。


「サキくん、今日から登下校は一緒にしよ」

「いやなんで?」

「ほら誰かと一緒に居るだけでも噂の払拭になるかなぁって」


 噂の払拭ねぇ〜そんな簡単に出来るのであればするけど、僕が脅しているって思っている生徒もいる訳だしそれは悪手になるかもしれないんだよな。雪菜さんの申し出はありがたいけどもそう思っている生徒がいる以上はやらない方がいい。ただ僕以外で危ないのは雪菜さんと赤城だからどうしたものか。雪菜さんは一緒に登下校をすればある程度は守れるだろうけど、赤城は別で部活にも入っている。


 今までユウの近くにいたことで赤城は女子の嫉みで色々されるな。新しくあまりに群がっている奴らの大抵は話が通じない奴だと思っているから何をされるかが分からない。雪菜さんはその辺は大丈夫だとは思うが一応警戒しておこうとは思っている。そういえば雪菜さんとユウは仲良く話していたけど、実際はあまり仲良くはないのか?


「そろそろ返事が欲しいかな?」

「えっとじゃあお願いしようかな」

(これで裕太くんと距離があくしサキくんと距離を縮めれる)

「何か言った?」

「明日のお弁当どうしようかなって」


 もう明日のお弁当のことを考えていたとは……母さんでもしないぞ。

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