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22話

 インターホンを押して1分も経たずに奏さんが「どうしたの?」と無事な姿で出て来てくれたのでほっとして一応事情を説明した。説明をしている最中に奏さんは段々と顔を青くしていったので嫌な予感がしたが流石にそれはないと祈りながら説明し終えた。真っ青な顔した奏さんが「雪菜にお使いを頼んじゃったの」と震えながら言った。監視されていることは伝えない方がいいだろう。


「大丈夫です。僕が探しに行きますので」

「危なくはないの?」

「ここに転がっている人たちを見てくれたらわかると思いますよ」


 僕がそういうと転がっているクズどもを見て腰を抜かした。流石にこのままの奏さんを放置するわけにはいけないので母さんに連絡を入れて介護してもらうことにした。速攻でやって来た母さんは「白馬の王子様にでもなって来なさい」と言って背中を思いっきり叩いた。クズどもは一時は目を覚まさないと思うから警察と救急に電話をかけて後は母さんに任せた。


 走り始めて数分が経った。電話が鳴ったので足を止めて画面を見るとユウと表示が出たのでもしやと思い出ると『残念……ワシでした。流石に制圧はしたみたいだな』と今最もムカつく奴の声が聞こえてきた。赤城にユウのスマホが使われていると言うことは捕まっているということだから本気で対策を考えないといけなくなるな。雪菜さんも捕まっている可能性が大きい訳だしどうしたものか。


『あとお主の想い人も預かっているからの』

「どこに行けばいい?」

『今から住所を送ってやる。1時間以内で来い』


 ゴリ先輩はそういうと電話を切る。切られてすぐに住所は送られてきたが1時間以内では行けない所だったのでどうしたものか。誰かを呼んで送ってもらっても1時間では着かない距離であるのでマジで困る。このまま悩んでいる場合ではないことも分かっているんだよな。よし……ここは大人に頼るとしようかな。あえてサイコさんの電話に掛ける。


『咲人か。今どこにいる?』

「目印は大丸薬局って所。人質は3人……以上はいるかも」

『分かった5分で行く』


 これで僕が何かがあった時の保険は出来た。サイコさんは警官なので住所を紙に書いておけば何とかしてくれるだろう。申し訳ないが薬局に事情を説明してその紙を渡してサイコさんと言う警官が来たら渡すようにお願いした。ご老人で快く受けてくれたので良かった。これで後処理はなんとかしてくれるだろうが問題は付けられているってことだからな。おそらくは2人はいるだろうな。竜二と別れてから連れられていて僕の行動を報告しているって感じだろうな。


 僕が奏さんの無事かを確認する際に気が付いたってことは相当な技術を持っていることは確定なんだよ。そしてこの場所に行ける最短ルートを知っているんだろうなぁ地図にも載っていないようなとこを。僕は捕まえて吐かせることにしたので振り返ったと同時に二人が隠れている場所まで距離を一瞬で縮めた。二人は顔をギョッとさせたがプロなのですぐに表情を戻して僕へ襲い掛かる。


 捕まえて吐かせるよりも簡単なことを思いついたので二人の攻撃を受け気絶したフリをした。「これってどうすればいいのかな」と一人が言って「連れて行けばいいでしょ。あの気持ち悪い雇い主からおさらばできるし」と言ってくれたのでこのまま運んでくれるだろう。力を抜いて気絶をしているフリをしているので簡単に担がれて連れて行かれた。手足を縛られて身動きが取れなくされてしまった。


 車のトランクの中に入れられて運ばられること……10分程度、停車した。もしかして別の所に連れて来られたのでは? と疑問に思ったがトランクが開けられたので気絶したフリを継続しないといけない。適当に気絶されたフリをしたので気付かれると思ったが意外と気付かれないものなのだな。流石に気付いているかもしれないけど。てかここはどこよ?


「ボスぅ~コレターゲットしょ」

「何故捕らえて来とるのだ」

「いやぁ~襲ってきたんで」


 ゴリ先輩はものすごく驚いているが今からもっと驚くことがあるからなぁ。ゴリ先輩が「まぁお主たちに言っても仕方がないかの」と言いながら近づいてくるので勢いよく起き上がり不意打ちで蹴りをかますが化け物かよって言いたくなるレベルで防がれた。流石にこの不意打ちを防がられるとは思っていなかったな。3度目は通じないタイプだったとは恐れ入ったな。そんなことよりもここは廃墟なのかね。


「姑息じゃな」

「そうでもしないと普通に負けるのでね」

「そうであろうな。勝てるのはあの守友竜樹くらいであろう」


 ゴリ先輩は「お主はワシには正面からでは勝てぬよ」と言われ足を掴んで思いっきりぶん投げられた。壁に背中を打ったが痛いだけで問題はないが……3人が居ないのが1番の問題だな。人質に取られている訳だし何かされている可能性があるから少し焦ってしまったな。反省しないといけないことが多すぎるなぁ。ここでゴリ先輩を捕まえても意味がないってことを先に考えておくんだった。


「これがアヤツらのいる場所の鍵じゃ」

「・・・?」

「他の連中はワシが気絶させておる」

「一体何が目的で?」

「全力でこい。したら自首してやる」


 意図が一切分からないが全力ではいく気は全くないしここに来る前に本気で走ったので物凄く疲れているんだよ。それにゴリ先輩の相手を全力でしろとか馬鹿なのかよ。どんなことが目的でなんの為に動こうとしているのかも分からない奴なのにさ……なんて考えていたからなのか、近づくことを許してしまった。ゴリ先輩は僕の懐に入った瞬間、的確に急所を狙ってきているから超面倒なこって。


 僕が避けや防御に集中しているとゴリ先輩は「お主は……竜樹殿のことをどう思っておる」と攻めの姿勢をやめて聞いてくる。どうもこうも小物としか思っていないし、特にコレと言って特別な感情はないな。僕からすればなんだけども何故そんなことを聞いてきたのかを聞きたいんだが……僕が先に答えないと教えてくれないだろうな。


「小物としか思ってませんね」

「そうか。では黒井については?」

「女装アホです」

「し、辛辣じゃな。お主は二人について認識が甘いのであるな」


 黒井先輩に関しては女装アホで自分を通そうとする癖に変に打たれ弱いからどうしようもないからな。竜樹に関しては自分が弱いことをしっかりと分かっているし、それを乗り越えようとしていることには好感が持ってはいる。なんて言えるわけないでしょうが恥ずかしくてね。まぁそんなことはどうでもいいがなんとなくこの人は二人のことを好きとは分かった。なんでこんなことをしているかは疑問だな。


「ワシは竜樹に出会って変われたと思ったのだがそうでもなかったみたいだ」


 雪菜さんの家の前にいた連中はゴロツキ感があったし、おそらくは昔やらかしていた時の仲間だろうな。竜樹に会って縁を切ったが……ここ最近になって接触をまたして来たって感じなのかな。そんなことなら返り討ちに出来そうだがそうしなかったのは弱みを握られていたからだろうな。よく小説や漫画で時々見る設定だな。勝手にゴリ先輩のことを決めて勝手に僕が本気で相手をしてやるよ。さてそう決めたなら準備運動をしないとな。


「お主……何をしておる」

「準備運動を」

「何故」

「何故って全力を出して欲しんですねよ?」

「お主は……面白いの」


 どこをどう見て面白いと思っているんだろうか。まぁいいか先輩もスイッチが入ったみたいだしここで僕が手加減したら竜樹に色々と言われそうな気がするな。そんなことは微塵もする気はないし僕は全力で本気でこの先輩を叩きのめす。準備運動を終え深呼吸を数回し瞑想する。瞑想する前に先輩には「別にいつでも来てくださいね」と言っておいた。


 真面目なのか先輩は僕の準備が終わるまでは一切攻撃をしてこない。色も空間把握も人間の形も……段々とおかしくなってきた。準備は出来たので先輩に「良いですよ」と言ったが伝わっているかも分からないが「不△!mに亜vb;会おうbヴぁj倍lfvjb;裏kvj」と全く何を言っているのかが分からないのがおそらくは「ワシも手加減はせんからな」とかだろう。僕からは一切動けないんだよね。距離感が分からないのではヤバイからね。


「御h部パvば宇rvp」

「・・・どうぞ」


 本当に何を言っているのかが分からないから適当に答えたが一気に距離を詰めてきたんだろうから「来ぬならワシの方から行くぞ」みたいなことを言ったんだろうな。ゴリ先輩は思いっきり僕の腹……みぞうちを殴ってきたんだが、痛くないんだよなぁ。本当にこの身体が嫌になりそうだけど、使わせていただきますよっと。殴って来られたことで位置は把握できたから殴ろうとしたら空振りしてしまった。


 先輩は困惑しているだろうな。うん、僕も物凄く困惑しているから一緒だね。さっきは右で殴りかかったから左にいるのかな? よし今度は左足で蹴りを出してみるが空振りをしてしまった。近くにいるように見えているが違うのか。本当に面倒な身体なんだよなぁ。後手に回っても攻撃は当たりもしないとかポンコツなのかよ。


「だだけ;アンldk羽越久言えv」

「なんて?」


 時間が経てば経つほど面倒になっていくのってさ相当なデメリットではないでしょうか? これで常だった時の僕ってどういう神経していたのかを聞きたいよ。再度深呼吸をして先輩の攻めを感覚でカウンターを決めれば、痛覚もバグってしまっているのか。今考えている最中に蹴り飛ばされてしまったんだな。多分転がっているんだろう。


 とりあえずは立ち上がってゴリ先輩と思わしき物体に思いっきり近づいて筋肉は切れている感覚はするが力強く左で腹辺りを殴ると同時に左腕に違和感が出てきた。状況確認の為、元に戻るが悲惨なことになっていたことにドン引きしてしまった。ゴリ先輩がぐったりしていたのが僕の左肩が何故か脱臼していた。そういえばここに連れて来てくれた二人組は「あばばばば」や「どどどど」と言いながら動揺していたので見なかったことにしよう。


 3人を助けに行きたいので先輩のポケットにある鍵を取ってから救出に向かう。一応は決着が着いたのだと思うのでサイコさんと竜樹に現在地を共有しておく。あと処理をしてくれるだろうから任せておこう。

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