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15話 誘い1

 ユウが一緒に登校が出来ないとのことなので一人で行こうと思い家を出るとそこにはインターホンを押そうとしている雪菜さんの姿があった。どうして居るのか分からなくて固まってしまった。雪菜さんは「きょ、今日一緒に……行き、ませんか?」と言ってきた。


「よろしく」


 雪菜さんの誘いを断る意味が分からなかったので、よろしくとは言ったものの……タイミングが良すぎない? ユウの差し金だろうから後で問い詰めるからいいか。それよりもアイツらに見つかったりすると面倒だけど、それよりも自分の欲を優先したいってのがあるからなぁ。悩ましいことだな。


「サキくん」

「ん、どうしたの? 雪菜さん」

「黒井先輩のこと好きなの?」

「全く」

「即答!?」


 好きかどうかで聞かれたら好きではないから全くって答えたのに驚かれるとは思っていたかった。けど確かにあそこまでしたところを見られたら好きだと勘違いされても仕方ないか。気になっている人が隣にいるのにここで好きとは言えないな。今雪菜さんに好きと言っても信じてもらえないだろうから少しずつ好きになってもらおう。その間に思う出せない記憶を思い出せればいいだろう。


「雪菜さんは好きな人いるの?」

「えっ」


 僕が誰かにこんなことを聞くなんてユウ以外には初めてだし、そこまで親しくないだろうから答えはしないだろうな。「いるよ。好きな人」と雪菜さんが言ってきたので驚きすぎて固まってしまった。えぇこんなの答えないと思っていたのに……予想外で止まってしまった。僕が止まったので雪菜さんも止まってこっちをジッと見てきている。


「私が好きな人は……少し前までは離れ離れで今はすごく近くにいる人だよ」


 そう言って微笑む雪菜さんを見ているとまるで「これはヒントだよ」と言っているような気がした。まぁ普通にヒントだとは思うから少し考えてみるが……思い当たる人物は一人しかいない。おそらくユウだろうな。アイツと雪菜さんは知り合いみたいだし、惚れていてもおかしくはないか。あんなことがあったのに周りを助けるような奴に惚れない人はいないよなぁ。


「ちなみに裕太くんじゃないからね」

「えっ!」

「サキくんは裕太くんを勘違いしてるよ」


 僕がアイツに対して何を勘違いしていると? 流石に勘違いしていないと思いたいが……しているのかもしれないなぁ。それにユウじゃないとすると一体誰だ? 悩んでいると雪菜さんから「ほら、ずっと悩んでいないで速く行くよ」と手を引っ張られた。別に急ぐような時間ではないが何故か急かされた。


 引っ張られている手を見ながら……僕は思う。何故ここまでこの女の子に惹かれるのかと。記憶を無くしてからずっと、僕は何かを落としてきたがそれが何かを分からずにいた。ここ最近でそれが何かを分かったがそれをどうすればいいかは分からずじまいだ。誰かを思い出さないといけないんだけど……雪菜さんと一緒にいると心地よさが、邪魔をする。


「お前ら、朝から仲良いな」

「竜樹……文句あるか?」

「・・・お前ら、俺の下につけ」

「断る」


 正門の所で挨拶をしていた生徒会の副会長の竜二に捕まってしまった。しかもコイツに勧誘されたが速攻で断った。それでも諦めていないみたく「どこかの誰かさんのせいで俺の部下が減ってな」僕を睨みながら言う。竜二にはバレるとは思っていたけどもこんなに速くバレるとは。誰かに教えてもらったしか考えられないな。


「すいません、守友先輩」

「どうした桜木」

「お前らってことは私を含めてと言うことですか?」

「そうに決まってるだろう。恋仲の二人を引き剥がす気はないからな」


 ん? 恋仲って誰と誰が? 雪菜さんの方を見ると首を傾げていると言うことは知らないということだな。その二人がいないのに急に恋仲とか言ってくるとか竜二もいよいよ頭が悪くなってきたのか。可哀想な奴だなぁ。


 竜二は信じれないものを見たかのような顔をする。頭を抱えて「はぁ、咲人が悪いだけだと思っていたが」と何故か僕が悪いみたいに言われているんだけど、別に誰も悪いことはないんじゃないのかな? ってそんなことは別いいんだけど……なんで勧誘をするのかが分からないなぁ。僕を入れてもなんのメリットがないはずなのに。


「・・・お前らを勧誘しているメリットはあるぞ」

「へぇ〜」

「あの会長にダメージを与えられるからな」

「私は関係ないような気がするんですが」

「咲人のストッパーだな」


 ナチュラルに今心読んでなかったか? まぁそれは時々あるから別にいいか。黒井先輩にダメージを与えられるイメージが湧かないしそんなことで与えれるような人なら僕が苦労していない。黒井先輩は人の声を真面目に受けたり過ぎるところがあるのでじわじわと削っていけばいいが続ける方も大変だから、そんな手段はとりたくはない。


 竜樹の部下は偶々なのかはわからないがそれを実行していたからあそこまで弱らせれただけだがそれももう効かなくなってしまったから近くの人から離れさせる方法を取ろうとしているんだろう。そんなことをしていても勝手に増えて行くだけだから面倒になるぞ。まぁ警告はしてやる気はないから無視するけどな。


「守友……正門で勧誘とはいい度胸だな?」

「すいません、新井先生」

「選挙中じゃないからな? 次はない」

「分かりました」


 竜樹を止めれる教師がいるのは驚きだなあ。好き放題しているイメージの方が強いが案外教師の言うことは守るタイプなのかもしれないなぁ。などと考えていたら「二人とも教室に行っていいぞ」と新井先生が助けてくれた。相当仕事が出来る人なのだろう。

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