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13話 母と伯父2

 母さんには竜二が来たことを知られずに済んでよかった。流石に殴られたなんてことが知られたら絶対に怒るだろうからもっとアイツが拗らせることになるだろうからな。面倒な伯父なことだと思うから関わらない方がいいと思っていたんだがあっちから来られたらどうしようもないな。竜樹に連絡を入れておいてやらないとおかないと……夜夢が心配だな。嫌なことを思い出さないようにしてやらないと可哀想だからな。


「サキ……今おじいちゃんから連絡があったんだけど」


 母さんがジジィと連絡を取っているのは知っているけど、もしかして竜二のことで何かきたのか。それ以外は無いだろうな。申し訳なさそうな顔をしている母さんはあまり見たくはなかったが流石に仕方ないことだからな。まぁ実兄の秘密を知ってしまったから自分にも非があるのでも思っているんだろうな。仕方ないなぁ。


「母さん、僕は母さんの選択に任せるよ」

「なにもしてこないといいんだけどね」

「そうだね。何もない方がいいよね」


 もうされているんだよなぁ。母さんに言う必要がないことだし……父さんには話しておいた方がいいだろうけど。父さんには色々と相談をしておかないといけなくなってしまったな。一応対策を立てないと本当にヤバいからなぁ……面倒だけど。


「母さん、鍋沸騰してるよ」

「えっ? あわ」


 まずは晩飯作りをちゃんとしてもらわないといけないか。不味いご飯はできるだけ食べたくないししっかりと手伝おうと。それからは二人で晩ご飯を作ることに集中した。夕方の18時頃に父さんが帰ってきたので、そのまま一緒に摂ることにした。


「父さん、話があるんだけど」

「サキが……珍しい」


 母さんがお風呂に入っている隙に父さんにあったことを話した。竜二のことはあまりよく思っていないみたいだった。そりゃあそうだろうけど、父さんが敵認定しているのは意外だった。てっきり、藤咲家の人間だけだとばかり思っていたから。


「竜二……義理兄さんに関しては秘密にしておこう」

「やっぱりそうだよね」

「ただ、義父さんには言うべきだと思うよ」

「あのじいさんに?」

「嫌そうな顔」


 父さんはジジィに今日のことを言うメリットを教えてくれた。確かに権力があるから色々と根回しをしてくれはするんだろうけどもアイツはそれを予測してそうな気もするんだよな。まぁ話をしておく方がいいか。流石に夜夢のことも心配ではあるから共有しておくことに越したことはないか。


「父さんの方で連絡しておいて」

「それは……無理かな」

「苦手だもんね。じいさんのこと」


 ジジィは娘をとられたことを根に持っているみたいだし、父さんは昔からジジィの圧が苦手って言っていたなぁ。まぁそんなことはどうでもいいので連絡するのを押し付けて部屋に逃げた。父さんは「えぇ」と言っていたがそれは無視する。


 ベッドに寝っ転がり、ふと竜二が言っていたことを思い返してみると……おかしなことがあることに気が付いた。「近くにいるってことは記憶は戻ったのか」と「なるほど……相当なものなんだなぁ。まぁ精々頑張れ」だ。僕の記憶に関してのことなので流石に気にはなる。アイツは一体何を知っていて何を企んでいることやら。まぁまずは寝るか……明日も学校がある訳だしな。


◇◇◇◇◇◇


「お待たせしました。・・・竜二様、楽しいことでもあったのですか?」

「そんなものはないが今後の楽しみが増えただけだ」

「それは喜ばしいことですね」


 長年俺に仕えてくれている専用のメイドは刑務所に入れられている時でも主として帰りを待っていてくれたのだ。彼女の運転をしている車に乗り込んで今の住居へと移動する。車の中で昔を思い出すがあの化け物に関してはどうしようもないと思っていたことが懐かしい。


「お前から見て咲人はどう見える?」

「竜二様よりは劣っているかと思いますが……異常ではあるでしょう」

「そうか」


 あの化け物の怖さは異常であることだ。父に「咲人は異常だから気を付けておけ」と言われたがそこまでびっくりはしていなかった。その理由は目を見た瞬間、こっち側の人間だとすぐに勘違いしたからだ。アレはこっち側ではなかった。もっと別の何かでそれを間近で見てしまったら最後だ。


「あの桜木雪菜(少女)は哀れだな」

「どうされました?」

咲人(毒の味)を知ってしまった子が気の毒になっただけだ」

「???」


◇◇◇◇◇◇


 アラームを止めて着替えてリビングに行くと父さんがゲッソリとしていて母さんはルンルンで驚いた。一体僕が寝ている時に何があったのかが分からないけど、聞かない方がいいと思ったので「おはよう」と言って椅子に座って朝食を摂る。朝食にしては少し重いのが出てきたが気にせずに食べる。父さんが疲れているからそれを作っただけだろうしね。


「そうだ。母さん、日課また開始していい?」

「ダメ。また怪我するでしょ」

「しないから」

「ダメ」


 頑固モードになった母さんは中々に折れないからな。怪我をしてきた僕が悪いので仕方ないけど……意外とストレスが溜まったりするからどうしたものかな。流石に隠れてやる訳にはいけないしね。バレた時が怖いからな。


「裕太くんから朝練があるから今日からは一緒にはいけないって」

「わかった」


 なぜ、連絡をよこさないかは知らないけど朝練なら仕方ないか。中学の時もあったから別にいいけど、喋り相手がいないとなると音楽でも聴きながら行くことになるな。

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