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13話 母と伯父1

 僕と雪菜さんは靴を履き替えて無言のまま帰宅した。進展があったのか無かったのかが分からないんだよな。マジで父さんに相談しないといけないんだろうけども流石にまだ帰って来ていないだろうからな。部屋でゆっくりするか母さんの手伝いをどうしようか。


「サキ、玄関前で何をしてるの?」

「あっ母さん」

「何かあった?」

「いや、なんでもないよ」


 母さんに考えていることをバレたら……特に何もないけど、奏さんに話がいくのだけは避けたいからなぁ。雪菜さんに何故か惹かれることを知られたらおそらく応援されるし、めっちゃ喜ぶだろうね。両方の親から応援されることはすっごく嬉しいけど、なんだかなぁ。なんて考えながら母さんとリビングに入って買って来たものを直すのを手伝っていると


「咲人悩んでいることがあったらいつでも相談してね」

「そうさせてもらうよ。ただこれは母さんには話しずらいことで……」

「もしかして………恋しているの?」

「ヘァ⁇」


 母さんは即言い当てるから僕は変な声を出してしまった。母さんは嬉しそうに抱きついてくるが泣いているのか、鼻を啜るような音が聞こえる。母さんが泣く理由はあまり分からないけど、苦労していたんだろうから大人しくしておく。


 十数分は経過しただろうが母さんは一向に抱きつくのをやめようとはしない。涙は収まったみたいだけども。母さんは「サキが好きな子はユキちゃん? それとも別の子?」と言われて答えようとするが言わずに黙るしかなかった確信が持てないからだ。


 バレているので僕は仕方なく母さんに話した。流石に記憶も全部思い出してもいないのに好きだと言うのは失礼じゃないかと思っていることを。それを聞いた母さんは抱きつくのをやめて、僕の目をみながらダバァーとかいう効果音がつきそうな感じで泣いてしまった。


「ちょっ、母さん!!」

「ご め んねぇ」

「なんで泣いているのさ」


 なんでとは言っても大体は予想はつくがそれをあえて言わずにいる。あの事故の件を謝っているんだろうが、母さんのせいではない。それに母さんは本当に苦労しているんだから(ここ)にいる時くらいは楽にしておいてほしいんだけど無理か。母さんは僕の母親なんだから子を心配する訳だしね。仕方ないか……


「母さん、僕はどうすればいいと思う?」

「好きならアタックしなさい。分からないなら長く一緒に居なさい」


 そこは悩みなさいじゃないところ母さんらしくて僕は好きだな。はぁ結局母さんに喋っちゃったから父さんに喋ることが無くなってしまったわけではないか。気になっている子への対処法とかは父さんにしておくことにしよう。腕に抱き着かれた時に感じたあのヤバイ感じをどうしたら無くせるのかは父さんにしか話せない。流石にコレに関しては母さんには相談できないからね。


「さてと晩ご飯作るからね」

「僕も手伝うよ」

「ありがとう」


 何気に母さんと一緒に料理するのってめっちゃ久しぶりなような気はするな。これから暇な時は色々と手伝っていこう。将来的に役立つだろうし母さんから学んでいこう。母さんのご飯は美味しいから一人暮らしするまでにはこの味を再現するのが目標である。再現するのが中々難しい。その理由は母さんは完璧感覚派だから盗めるところがない。


 母さんと楽しく料理をしていたらインターホンが鳴った。母さんは手が離せないので僕が変わりに受話器を取ると「久しぶり俺だ。竜二(りゅうじ)だ」と名乗ってきたので切った。なんで釈放されていると思ったが簡単な話、終身刑とかではないので刑務所を出て来れる。守友家は接近禁止命令があるが藤咲家には出されていないからアイツはここに来たんだろう。


「誰だったの」

「友達だよ、少し出てくるね」

「分かったわ」


 母さんに近づけさせないようにしないといけないので僕一人で対応する。玄関を開け外にいるであろう奴を家から遠ざけさせようと一歩外に出たらいなかった。庭から母さんに近づかれたらヤバイと思い扉を閉めると裏にソイツはいた。思わず「はぁあ?」と言ってしまった。僕が困惑していると竜二は「会いたかったぞ。甥っ子よ」と言ってみぞうちに拳を叩きこんできた。困惑してしまっていたので反応が出来ずにもろに入ってしまった。めちゃくちゃに痛いが我慢して睨みながら、


「何しに来た?」

「お前に復讐をと思ってな。俺は人生を滅茶苦茶にされた」

「自業自得だろう。夜夢にあんなことをしたのは誰だ」

「それは愛ゆえだ。愛しの妹はお前の父が奪った訳だしな」


 コイツの言う愛は相当歪んでいる。夜夢は幼い頃、母さんと容姿が似ていたから実の父親から”愛”という名の暴力を振われていた。ただそれだけならよかったがそれよりも最悪なことをコイツはしていた。あの子が一生消えない傷を背負わないといけなくしたのに……何も罪悪感を感じていないし快楽と言うくらいイカレている奴だ。


「・・・弱くなったな」

「普通になっただけだ」

「近くにいるってことは記憶は戻ったのか」

「なんのだ?」

「なるほど……相当なものなんだなぁ。まぁ精々頑張れ」


 竜二はそれだけを言って近くに止まっていた車に乗り込んで行った。アイツ今度会ったら殴り返してやると心に決めて家に入った。家に入り振り返ってみるとおかしいということに気がついた。アイツがただ僕に会いに来たってことだけが不思議だ。しかも復讐って言っていたがこれだけとは考えれないからな。


 守友竜二は守友家の長男にして超絶シスコンだ。妹として可愛がるのはまだ分かるが結婚する為に全てを排除しようとは思わんだろう。流石にドン引きだわ。まぁ愛は人それぞれとは言うが……せめて法律を変えるとかさすればいいのに。竜二は何を考えているのかよく分からないな。




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