10話 黒井先輩2
黒井先輩と食堂でお昼を摂っていると竜樹が自分の派閥の生徒会を引き連れて絡んできた。面倒なので僕は無視を決め込むのだが……黒井先輩は耳元で何かを言われて勢いよく席を立つがここが食堂だからか、そのまま何もせずに座り直した。それを見た僕は何も言わず何もせずにおかずを食べ進める
「咲人、お前はこっち側に来い」
「・・・」
「おい、聞いているのか?」
相変わらずうるさい奴だな。しかもこっちに来いって言ってるけどどっち側でもない訳だし何かを勘違いしているな。無視を続けている僕に竜樹がイラついたからなのかテーブルを思いっきり殴った。その音は以外にも大きくガヤガヤしていた食堂が一気に静かになった。厄介なことになってしまったと思うと同時に黒井先輩が黙っていることにムカついてしまった。
「まぁいい。その女装男について行くと破__」
「うるさいぞ」
「人がせっかく教えてやってるのになんだ?」
「はぁ、ならオレが教えてやるよ。その女装男にお前は負けたんだよ」
一度言ってみたかったセリフを言えてよかった。いや…………そんなことよりも黒井先輩だな。この小物を相手にするより__誰かが僕に向かって蹴りを入れてくるのが見えたので咄嗟にガードしたが蹴り飛ばされた。4mくらい蹴り飛ばされたが、この場所には誰も居なかった。よかったと思うが何故蹴り飛ばされないといけないんだ。
「うむ……中々骨のある奴じゃな」
「國、余計なことはするな」
「少しくらいは大目に見ろ。ワシとお主の仲じゃろ」
190㎝異常はある男子生徒で筋骨隆々で流石にコレに蹴り飛ばされてしまったのは仕方ないとは言えないんでよな。黒井先輩はこっちを見て心配そうな顔をしているし、あのクソゴリラは僕を見て「流石にひ弱じゃな」と言いながら嘲笑ってくるしさ、竜樹は嫉妬と憐れみが混ざった目を向けてくる。食堂に居る人間は色々とうるさいから…………終わらせるか。
「サキくん、ダメだよ」
「・・・雪菜さん?」
「ダメだよ。終わらせるのは」
突然現れた雪菜さんにそう言われて僕は切り替える為に深呼吸をしてゴリラに向かって勢いよく蹴りをくらわせる為に1度、軽くジャンプしてゴリラへと向かう。勢いをつけた蹴りを涼しい顔で受け止めたゴリラは「お主……何者じゃ」と言ってくる。流石に痛がる素振りを見せるなりをしてくれるとありがたいと思うが別にそんなことは良い。
僕はゴリラと竜樹を無視して黒井先輩に「らしくないですね」と言ってお弁当を持って雪菜さんと一緒に食堂を出た。雪菜さんは「よかったの? あの人って」と言ってくるので僕は「まだ2日目なので詳しいことは知らなくていいでしょ」と返した。それを聞いた雪菜さんは微笑みながら「そうだね。君らしくて良かった」と言って駆け足で先に教室に向かって行った。
やっぱり昔に会ったことがあるな。家は隣同士な訳だし、親同士が仲良しだから何も不思議なことはないけど亜紀さんや涼香さんも初対面みたいだったんだがな。しかも僕の考えていることが分かったのもおかしいな。付き合いが長いユウなら分かるけど……なんで雪菜さんが分かった? まぁ今考えるだけ無駄だろうな。
ユウは何かを知っているかもしれないから聞きたいけどもアイツは教えてくれないだろうな。自分で探してみろって言うだけだしな。はぁ……どうしたもんか。
「お兄さん、取材いいですか?」
「誰だ?」
「・・・流石にクラスメイトの顔くらいは見覚えあれよ」
知らんな。雪菜さん以外のクラスメイトなんてほとんど興味はないけど……確かに顔くらいは覚えておく必要はあるかもしれないし少しはあるかもしれないな。明日はそうしようと決心したので「じゃあ、また教室で」と言って速攻で教室に戻ろうとして首根っこを掴まれた。
「なんだよ」
「桜木雪菜さんのこと気になっているでしょ」
「気になっているって」
「恋愛感情的に好きってこと」
流石にそれはないだろう。まだ会ってそんなに時間は経って……いや昔に会っているのであれば可能性はあるが記憶がない部分があるからな。自分の感情もちゃんと把握をしているわけではないから流石に分かる訳ではないからな。そろそろ戻っておきたいんだよなぁ、首根っこを掴まれているから動きずらいんだよな。
無理やり動いてもいいけどコイツが怪我をするかもしれないからどうしたものか……気にしなくてもいいんだろうけども朝の件もある訳だしココは大人しくしておかないと先生や雪菜さんに怒られる。そしてジジィの耳まで届くと厄介すぎる。ということで大人しくクラスメイトの質問責めを受けることにした




