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転生①

気が付くと俺は無限に続く真っ白な空間にいた。そこは上を見ても青い空や太陽はなく、だが視界はとてもはっきりして見えた。そして俺の目の前には高さ50メートルはあろうかという金色の拍が付いた天秤とその隣には3メートル超の長机と机があった。だが俺はあることに気づく。俺はそこには「いた」というよりは「存在していた」のほうが正しかったことに。視点は動かせるがそこには自分の体は存在していなかった。普段日常生活を送るうえで感じてきた身体の重みはそこにはなく、まるで体の中身だけをとられたような体の喪失感と軽快さがあった。どうやら俺はさっきまでとは違う世界に来てしまったみたいだ。

普通のとこならもっと驚いたりするところかもしれないが、不思議と心は冷静だった。

「人生後悔だらけだったけど来世があるわけでもないしな。俺はさっさと地獄で罪を償って両親に謝りたいな」

そんな風に俺が暢気に一人で考えていると単に「音」と表現するには生ぬるい雷が降り注いでいるかのような轟音が鳴り響いた。

「ド・ド・ド・ド…」

その音は俺をめがけて近づいてきている。近づいてきているのは足音なのだろうか、一定のリズムを刻んでいる。俺が予想外の展開に右往左往しているとその音の正体が見えてきた。その姿は体長10メートルは軽く越した巨体を有しており見た目は真っ赤、顔は般若のように歪んでいていわゆる閻魔様の格好をしている。黒い肌着を身につけておきながら足は素足という不審な点もよくありそうでなさそうでよく目立って見えた。

瞬く間に俺との距離を詰めて得体のしれない生物。近づいてくるほどに俺の体の奥底から震えてくる。それはもう本能的に逃げを選択したくなるほどだ。

「ああ。俺もここで終わりか…」

俺は物思いに今までの自分の生活を振り返ってみる。FPSで負けてはVCをつけて相手の心がズタボロになるまで平日真昼間から暴言を吐きまくったこと。隠れて親の金を勝手に盗み出してパチンコに行ったこと。幼馴染のパンツをめくった情景をもとにプール一杯分は埋まるほどの白い液を竿から出したこと。



………本当に後悔しかない。そんなことをしていても俺の意識はずっと保たれたままで。

あれ?と思い正面を恐る恐る見てみると。その目がチカチカするほどの赤々しい巨人は俺の目の前で無言で。鮮やかなスライディング土下座を決めていてのだった。


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