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メイドの土産 〜ボンボン探偵✕毒舌メイドの事件簿〜  作者: 路明(ロア)
【7】タラスの風は、葉のうえにある水のように予測不能かもしれない

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大海原家執務室 6

 多香乃がにらむようにタブレット画面を見つめる。

 彼女に期待しているのはおもに色彩の違いによる気づかない手がかりに気づいてくれることだが、クイズ的なものは得意ではないわりに好きらしく、ダイイングメッセージを見せると毎回本気になって見ている。

 

「エア、ディ……」


 多香乃が目をほそめる。

「タラス空港でもタラスの空でもないよ」

 告は執務机の上で手を組んでそう横やりを入れた。

 多香乃が、ふぅ、とため息をついて顔を上げる。


「これでは意味が分かるはずありません」

「うん」


 告はそううなずいた。

「ちなみに見つけたのはどんなかたです」

「植え込みのお掃除をしていたボランティアのおじいさん……と、やそっち提供の資料にはある」

 告は手をのばしてタブレット画面をスクロールさせた。

 八十島が急いでまとめてくれたメモのような文章のページが表示される。



「文章のところどころの土の色がちがいます。見つけられるまで枯れ葉かなにかがかかっていたのでは?」



 多香乃が言う。

「来た」

 告はもういちど手をのばしてタブレットを手にとった。

 土の上に棒切れか何かで書かれたダイイングメッセージをあらためて見つめる。

「来たとは、なにがです」

「どこが色が違う? もうすこし詳しく。多香乃さん」

 「こんなあたりまえのことを」と言いたそうに多香乃がため息をつく。


「まず、文章のはじめです」


 多香乃が身を乗りだし、ダイイングメッセージの冒頭のまえのあたりを丸で囲うように指を動かす。

「うん」

 告はうなずいた。

「枯れ葉が落ちていた場所を掃除すると、そこだけ土が湿っていてこんなふうに色が少し濃くなるんです。掃除したときに文章の一部を消してしまったのでは?」

「うん」

 告はうなずいた。

 こんなふうにと言われても、自身の目にはまったく色の違いが分からないレベなのだが。


「もしかしたらこのあたりにべつの単語があって、抜けているんじゃないかと」

「うんうん」


 告は再度うなずいた。

「このディとタラスのあいだも濃いです」

 多香乃が文章の途中の部分をまた指先で囲う。

「そもそもここ、単語と単語のあいだがけっこう空いてるんだよね。――腕がちゃんと動かなかったせいってやそっちたちはみたのかもしれないけど」 


「あいだが抜けているのでは、英語にうとい人間ではすこし」





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