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メイドの土産 〜ボンボン探偵✕毒舌メイドの事件簿〜  作者: 路明(ロア)
【7】タラスの風は、葉のうえにある水のように予測不能かもしれない

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大海原家執務室 3


「目的は分かんね。まただれかに狙撃の依頼でもされてたんじゃねえの?」


 八十島が玉露を口にする。

「ふーん」

 告は、テーブルに置かれた八十島のスマホを手にとった。

 てきとうにスクロールしてみる。

「まえは表向きサンファイブのアルバイトだったんじゃなかったっけ。今回はどこのアルバイト?」

 告は問うた。

「そこまだ分かんねえけど……何人かの会社員と接触してはいたみたいだな」

「会社員。どんな」

 八十島のスマホにあった資料は、どうやらまだ現場写真と氏名、国籍と生い立ちくらいらしい。

 鑑識が入っている状態なのだろうか。

 たしかに「被疑者がまだその辺にいるかもしれない」とさきほど言っていた。



大海原(わたのはら)の社員じゃないよね?」

「狙撃手さしむけられそうな心当たりあんのか」



 八十島がジェラートを食しながらそう返す。

「いまさら狙撃手を雇うくらいなら、とっくに誰かがやってるでしょ」

 告はそう返した。

 ジェラートをスプーンですくう。

 スッキリしていい味だ。

 海外のメーカー名を読み上げていたが、多香乃が選んだのだろうか。


「あー……多香乃さんで思い出した。やそっち」


 告は背もたれに背をあずけて天井をあおいだ。

「いちお探偵業務を収入につなげられないと、食事時に多香乃さんに(なじ)られるんだけど。今回は刑事課さんから出る?」


 八十島が宙をながめて玉露を飲んだ。

 ややして湯飲み茶碗をコトリとテーブルに置くと、両腕を交差させて大きくバツを作る。


「んな予算あるわけねえだろ。交番によっては入口の自動ドア壊れて、“手動で開けてください” って貼り紙してんだぞ」


「なにそれかわいい」

 告はジェラートの二口めを口にした。

「よかったら、うちから修理代の寄付しよっか」

「いきなり話の主旨変えんな。ありがたいけどよ」

 八十島がふたたび湯飲み茶碗を持つ。

「そんな安価で企業のイメージアップにつながるなんて喜んで」

「……何かいらね」

 八十島が顔をしかめた。





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