えんぴつみたい
「おまえ、えんぴつみたいだな」
新宿大久保公園でスマホを見ながら立ち続ける。
お金に困ってるわけじゃない。
他の子みたいにホストとかに貢いでる訳でもない。
ただ、一人で眠れないんだ。
少しずつ距離をあけて、スマホに照らされて俯いた顔が並んでる。
「ねぇ、いくら」
声がかかって顔をあげる。今日も私のベッドには誰かのぬくもりがある。
「削って削って、最後にはなくなっちゃうんだろ」
雨が降りだして、蛍たちは今日はすこしだけ少ない。
傘を肩にかけて、スマホを見つめる。
嫌われたくない。
それだけのために貼り付けた笑顔は、無表情より無になってしまった。
あんたの笑顔って、ムカつくんだよね。
そう言われても笑ってた私から、いつしか誰もいなくなった。
どうすれば良かったんだろう。ただ、誰にも嫌われたくなかった。
「風邪引くぞ」
知ってる声に、勢いよく顔をあげてしまう。
なんで、こんなとこに。
「……ホッカイロ、使うか。送るから、さっさと帰るぞ」
私は小さく首を振る。
情けなんてかけて欲しくない。
「私は……必要とされたいの」
俯いたままの私の前で、深いため息が漏れてくる。
嫌われただろう。呆れられたかもしれない。でも、それでいいんだ。だって私はえんぴつだから。
使い捨てられて消えていく、えんぴつだから。
「私は……えんぴつだから」
「えんぴつなら、書いたもんはずっと残るだろう。俺には残ってる。必要とされたいなら、俺を必要としてくれよ」
滲んだ視界の向こうで、きみが頭を掻いている。
「嫌なことは俺が消しゴムになってやるから」
ずぶ濡れのきみが握り締めた手が熱い。
「おまえ、えんぴつみたいだな」
そう、私はえんぴつ。
でも、消しゴムがいるならダイジョブかな。
大久保公園で立ち尽くしてる私の影を消して、きみは私を拐ってくれる。
きみ一人だけだとしても、ううん、きみだからこそ、私はもう一人でも眠れる気がした。
感想お待ちしてますщ(´Д`щ)カモ-ン