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ラジオ大賞4

えんぴつみたい 




 「おまえ、えんぴつみたいだな」




 新宿大久保公園でスマホを見ながら立ち続ける。



 お金に困ってるわけじゃない。



 他の子みたいにホストとかに貢いでる訳でもない。



 ただ、一人で眠れないんだ。




 少しずつ距離をあけて、スマホに照らされて俯いた顔が並んでる。




 「ねぇ、いくら」



 声がかかって顔をあげる。今日も私のベッドには誰かのぬくもりがある。





 「削って削って、最後にはなくなっちゃうんだろ」




 雨が降りだして、蛍たちは今日はすこしだけ少ない。



 傘を肩にかけて、スマホを見つめる。



 嫌われたくない。



 それだけのために貼り付けた笑顔は、無表情より無になってしまった。


 

 あんたの笑顔って、ムカつくんだよね。



 そう言われても笑ってた私から、いつしか誰もいなくなった。



 どうすれば良かったんだろう。ただ、誰にも嫌われたくなかった。




 「風邪引くぞ」 



 

 知ってる声に、勢いよく顔をあげてしまう。

 なんで、こんなとこに。



 「……ホッカイロ、使うか。送るから、さっさと帰るぞ」



 私は小さく首を振る。

 情けなんてかけて欲しくない。


 

 「私は……必要とされたいの」   



 

 俯いたままの私の前で、深いため息が漏れてくる。


 嫌われただろう。呆れられたかもしれない。でも、それでいいんだ。だって私はえんぴつだから。



 使い捨てられて消えていく、えんぴつだから。




 「私は……えんぴつだから」




 「えんぴつなら、書いたもんはずっと残るだろう。俺には残ってる。必要とされたいなら、俺を必要としてくれよ」



 

 滲んだ視界の向こうで、きみが頭を掻いている。



 「嫌なことは俺が消しゴムになってやるから」



 ずぶ濡れのきみが握り締めた手が熱い。




 「おまえ、えんぴつみたいだな」   




 そう、私はえんぴつ。



 でも、消しゴムがいるならダイジョブかな。




 

 大久保公園で立ち尽くしてる私の影を消して、きみは私を拐ってくれる。



 きみ一人だけだとしても、ううん、きみだからこそ、私はもう一人でも眠れる気がした。






感想お待ちしてますщ(´Д`щ)カモ-ン

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― 新着の感想 ―
[良い点] これ、朗読向きです。朗読アプリで聴いたら物凄く良かった(*´艸`*) 女の子の心情と、うますぎること言う男の人の掛け合いがとても良きでした(*´∀`*) 何よりえんぴつをお上手に料理し…
[良い点] アブラハム・マズロー氏の欲求5段階説の中においても、「社会的欲求と愛の欲求」は人間の欲求の中でも重要な役割として扱われていますね。 「誰かに必要とされたい」という実感を求めているヒロインの…
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