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社畜がVtuberをする話  作者: 不死裂@秦乖
9/9

絶対絶命

「……く………咲?起きてー。ご飯だよー」


「ん……うーん……?ご飯……?今何時……?」


「夜の7時。」


「…………は?7時?」


「うん。7時。言われた通り鮭雑炊作ったからだべてね〜」


「え、あ、うん…」


外を見ると寝る前まであった太陽は姿を消し、月光が部屋を照らしている。

嘘……何時間寝たの私!?てゆうか、佐藤にこの部屋見られてないよね!?バレたらVtuber 人生終わっちゃう……

ヒヤヒヤしながら私は台所へ向かう。が、その心配はなさそうだ。

佐藤は椅子に座りながらバクバクとお粥をたべていた。


「美琴……私お粥少しでいいよ」


「わかったお椀半分でいい?」


私は美琴の質問に頷くと、佐藤の隣に座る。


「おー山本。美琴さんのお粥うまいな!これいくらでも食えるわ。あ、そういえば体調どう?俺はバッチリ回復したぞ!」


「美琴のご飯が美味しいのはわかる。でもお前は食いすぎ。何杯目なん?それ。」


「えーっと……四杯目……ですね……」


「はぁ……佐藤の辞書には遠慮って言う文字はないのかよ……」


「ない」


「即答しないで」


そんな会話をしていると、私の目の前に少量のお粥が運ばれてきた。

鮭のいい匂いが鼻から通り抜ける。

スプーンをつかって口に運ぶと、優しい味が口いっぱいに広がった。


「んん〜〜〜」


美味しい。美味しすぎる。やっぱり美琴が作るご飯は美味しい。

ほんとは佐藤には食べさせるのはもったいないんだけどなぁ……そんなこと言ったら美琴に大目玉食らうけど。

半分ほど食べた後、チラリと佐藤の方を見る。結構食べたのだろうか、とても幸せそうな顔をしている。

ゆっくりと美琴の美味しいご飯を食べていると、佐藤が私に質問をしてきた。


「なぁ、山本。お前さ、Vtuberやってんの?美波って言う名前の。」


「ごっふっ!ゲホッ、ゲホッ!」


「おい!?山本!?大丈夫か!?」


想定外すぎる質問で思わずむせてしまう。

慌てて佐藤が背中をさすってくる。何気に男の人に背中をさすってもらったのは初めてかもしれない。

いやいや!今はそんなことはどうでもいいんだ!なんでバレた!?部屋は見せてないはずだし、公式グッズもまだ発売してないし………


「なんでわかった!?!?」


「肯定したなw いや、台所にアレがあったからな。もしかしてと思って。」


ふっと台所を見ると”まだ発売していない美波のアクリルキーホルダー”が飾ってあった。

今度新しく発売する美波アクキーの試作品としてもらったものを記念に飾っていたのだ。

どうせ誰も来ないだろうと思って油断したのが仇になった……


「ッスーーー」


「どんなドジなんだよw 山本、この件は誰にも言わないから安心しろ。」


「いや、何にも安心できないんだが?」


「俺の口が硬いのは知ってるだろ?絶対に言わないから。」


「ま、まぁお前の口が硬いのは知ってるけれども……」


チラリと美琴の方を見ると、口を開けたまま静止していた。

佐藤はそんな美琴に一礼すると椅子から立ち上がり、自分の荷物をまとめ始めた。


「ん?今日は泊まるんじゃないっけ?てか、治ってないのになんで荷物まとめてんの?」


「いやーご飯食べたらなんか元気になったわ。美琴さん、山本、お世話になりました。」


そう言うと、佐藤はトコトコと玄関へ行って家を出て行った。

扉のバタンという音で私たちは我に帰ることができた。


「ねぇ……美琴……これ……ヤバいよね?」


「うん……Vtuberやってて一番バレちゃいけないことバレたよ?美波ちゃんも引退かぁ……」


「まだやめるって決めてないよ!?」


そう、Vtuberが引退する理由は色々あるが、1番多いのは”身バレ”なのだ。中の人が割れてしまってもまだVtuberを続ける人はほとんどいない。というか、見たこともない。なので、身バレ=引退はVtuber界の掟なのだ。だが、美波はもしかしたらまだ引退しなくてもいいかもしれない。通常、身バレはネット中に顔画像が拡散されて引退するというルートがほとんどだ。だが、今回の場合はまだ知り合い一人にバレただけ。佐藤が周りに拡散しない限り、美波の中身が私だとはバレない筈だ。

だとしたら私が出来ることはただ一つ。助けてやった恩で言わせないようにする!


「もうあとは佐藤くんを信用するしかないねぇ。」


美琴がぽつりと呟く。


「まぁ、万が一バレたらアバターを作ってくれた人には申し訳ないけどVtuberを引退するしかないのは覚悟しとくべきだね。」


Trytterでエゴサをしても、まだ身バレ情報は出ていない。

佐藤が周りに拡散しなければ、何事もなく終わるんだけどなぁ……

アバターを作ってくれた「S.T」さんにも申し訳ないし……

そんなことを思っていると、また熱が上がったのか、視界がぼやけてきた。

結局そのまま机の上に突っ伏して私は寝てしまった。


遅なりました〜


言い訳させていただくと、前書いてたデータがぶっ飛びました。ごめんなさい。

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