魔族~その①
うへぇ……最近大変でした……すみません(¯―¯٥)
かなり遅くなったので、少し長めにしましたよ〜(;´∀`)ゴメンナサァ~イ…
魔族ーそれは古より来たる災いである。それは我らが人類の敵である。それは我らが星の半分であり、破壊を求む者である。
ある有名な魔族に関する本の一節だ。
魔族は破壊のみを望んで人類を襲い、人類と対を成す生物だ。
だが元々この世界に魔族も魔術も存在なんてしなかった。
この世界がまだ、西暦と呼ばれるもので表されていた時代、突如現れた謎の赤き球体によって、人類はおろか、この星その物が壊れかけた時があった。
そんな絶望的なこの星を救ったのはーー
たった一冊の“本”だった。
フランスにある古ぼけた洋館に“その本”は存在した。その本の最初の一節がこうだ。
「我が主はこう私に説いた。『この世界は間違っている……人は争いを始め、動物は死に、あまつさえ世界を滅ぼしかねない“ある物”が存在する。こんな世界で希望を捨てずに生きていられる事が奇跡そのものだ。だがその希望も、いつかは途絶える。だからこそ……この間違った世界を正す力を、私達がこうして後世に残していく必要がある。“魔術”は……この世界の希望であり…また絶望でもある…。この力をどうするかは……人類が決める事だ…私に出来ることは…後の世代にこの技術を伝える事のみだからな……』と。私に弟子はいない。だが、私は我が師の意志を継ぎ、この文と技術を残す。これをどう使い、どんな結末を望むか。それをよく考えて欲しい。私は人類の為に生きた。それを忘れないで欲しいだけなんだ。」
コレを偶然発見した人物は、この本に記載されている力を使い、魔術の力でこの世界を救った。
だが、大きな力には当然代償も存在する。
魔術によって赤き星とこの星との接触は避けられた。だが、赤き星の軌道をずらす際に使われた莫大なエネルギーが逆暴走し、それぞれの星の核を繋げる為の線となり、2つの世界は1つになった。その後、合体した赤き星の調査に人類が向かった所、そこで発見されたのは
魔族に蹂躙され、朽ち果てたもう一つの地球だった。
それ以降数百年人類は“その本”改め°“魔術教書origin”を解析、教育に導入し、魔族に対抗する為に魔術を学び、その結果今から300年程前に起こったのが[人魔大戦争 光陰のラグナロク]だ。この時、「神様を見た」という証言が後を絶たなかったそうだが、本当かどうかは定かではない。ともかく、人類と魔族とはそういう関係なのである。
そして時は現在まで戻るーー
3分の1程壊された校舎の上に、一体の魔族が立っていた。その魔族は周囲を見回し、
「ぐぅぉぁぁあああ!人間どもぉ!皆殺しにしてやるぅ!!」
と叫び、追加で校舎を破壊し始めた。
「うわぁぁぁあ!!」
「にっ…逃げろぉ!!」
「いやだっ!死にたくないっ!!」
生徒の助けを求める声と断末魔、そして魔族の雄叫びが混ざりあったパニック状態を、俺とルルナはズカズカと魔族の方へ進んで行った。
「おい、ルルナ!早く逃げないとヤバイって!何でわざわざ向かって来んだよ!」
「……だから来なくていいって言ったのに……。勝手に付いてきたのはリヒトでしょ?早く逃げていいよ。」
はぃぃ?どういう事だそりゃ?
「俺は単純にルルナを心配してるんだよ!」
「大丈夫。長い間平穏だったから秘密にしてたけど、私に任せて。」
??
「学校の皆も、この場所も、私が守ってみせるから。」
そう言い終わったのと同時に、魔族が角から現れた。
「人間……まだ残っていたか。」
「あなたを倒さないと、皆が安心出来ないですからね。」
そう聞くと魔族はニヤァっとして、
「ほぅ……人間……我を倒すと言うのか?ハハッ!面白い奴だ!逃げ回るばかりで退屈していたからなぁ……相手になってやろう!」
そう言い終わると、魔族は地面を蹴って接近してきた。
「コチラから行く手間が省けて助かったわ。エレメントコール『アイス』、“フェルメ”!!」
ルルナがそう唱えた瞬間、彼女の手のひらから現れた氷が、魔族に向けて発射された。
今のが“魔術”である。
魔術とはつまり、空気中に人知れず存在する“魔素”と呼ばれる魔術粒子を集め、自分の魔力と共に物質へと変換するものだ。当然、変換に使う魔力の量が多ければ、それだけ威力と範囲が大きくなり、使う魔素の量が多ければ、より高精度·高密度の魔術を使うことができる。ただし、個々にそれぞれの魔力量があるように、空気中に存在する魔素の量にも限りがあるため、大規模な魔術を連発するような戦場では、自発的に魔素を発生させる魔石を用いることが多い。
今ルルナが放った魔術は『フェルメ』と呼ばれる氷魔術に属するものだ。
魔術発動にも手順があるのだが…………まぁこれは後に説明しよう。
「ぬぅ……!」
けたたましい音と共に氷魔術と魔族がぶつかりあった。
「……この威力……並の魔術師にはとうてん出来ん芸当だ……!お主……何者だ…?」
「ルルナ·ラバーズとだけ名乗っておくわ。さて…早く続けましょう?エレメントコール『ランド』“ゼネルヘルム”!」
途端、地面が変動し、魔族に地で出来た拳が幾数も降り注いだ。
「すっげぇ……!」
俺は感嘆の声を放つばかりである。真に情けないのだが。
「ふっ……くくく………くははははは!!」
「っ!!何が可笑しいの。」
「いや……なに…まさかこんな所でお主に会えるとは思わなかっただけだ。しばらく情報が掴めないと思ったら、こんな所にいたとは……。うちの姫君が心配していたぞ?」
魔族の姫君?過去に何か……とルルナを見ると
「………っ!!」
目を見開き、驚きの表情に変わっていた。
「あなた………まさか魔帝騎士団の……!」
「そうだ。元ナンバー36 “獣間のヒャルガ”だ。」
魔帝騎士団……?また聞き慣れない単語が……
「もうおしゃべりはここまでよ!エレメントコー」
「やらせるかっ!」
ルルナのコールよりも速く、ヒャルガの爪がルルナを切り裂いた。
「………!!」
声にならない痛みをくらい、ルルナは校舎の壁に激突した。
「さて………そろそろパーティーもお開きといこうか。すまないな、私はもう魔帝騎士団ではない。だからどう動いても咎められることはない。さらばだ……勇敢なる者よ…!」
そして無情にも、鋭い爪が壁に倒れているルルナに向かって振り降ろされた。
次回もいつになるのやら……(;一_一)ドウシヨッカ……




