情報伝達魔術板~通称 テレビ~
機械文明の忘れ物がありました。第19話です
作業を始めてから約1時間と少し、俺達は夕飯を食べていた。向かい合うように座り、お互いにルルナの作ったカレーを食べていた。
作業は案外早く終わり、どちらかというと穴を開けたあとの俺の部屋の模様替えに時間がかかった。
穴を開けた後の側面に板を貼って、切断面で怪我をしないようにし、一番上に棒を付けて布をかけた。
簡易的な出入り口だが、お互いの部屋を行き来するだけなら支障はない。
「………………………。」
「………………………。」
きまずい……!!
食べ始めてから一言の会話も無く、黙々とカレーを二人して食べている。
情報伝達魔術板といわれる額縁の様な板を時々見てはいるが、お互い新婚の様にモジモジしながらご飯を食べていた。
情報伝達魔術板、通称“テレビ”は額縁の様な板の上に、ホログラム(?)と呼ばれた唯一残る機械文明の残し物を魔術に変換したものを映し出している、情報伝達用の板だ。
雷属性魔術を利用した特殊な波動線を繋げており、日々様々な情報が飛び交う。
テレビには2つの種類があり、情報を吹き込んで波動線に流す“入力板”と、情報を受け取って映し出す“出力板”が存在する。
「先日、第一学区に魔種と思われる奇妙な生き物が目撃されました。体長は約30cm程、ゲル状の身体をしており、4本足で粘着性のある体液を出すようです。今の所人的被害は出ていませんが、今後、どんな被害が起こるか分かりません。なので、見つけた方は対魔戦線軍 魔種研究所までご連絡下さい。さて、次のニュースです…………」
「……………リヒト、カレー…どう?美味しくない………?」
と、不安そうな口調で尋ねてくる。
「いや……そんな事はないよ、凄い美味しい。」
すると、ルルナはムッとした顔で、
「じゃあなんでそんなに無言なの………?」
「あ、ごめん。ルルナって喋らないのかなぁ〜って思ってて……。」
こんな状況だけどごめん!その怒った顔も可愛いい!!
すると、はぁ〜………というため息の後にルルナは笑顔に戻った。
「美味しいなら良かった…………!人の為に作ったのなんて久々だったから……。」
「……………………なんていうか、ありがとな。これからもよろしくな。」
「急にどうしたの?」
ルルナが尋ねてくる。
「ルームメイトになるんだ。挨拶ぐらいいいだろ?」
最高級の笑顔と共にそう言った。
「うん…………!これからよろしくね。」
最高級の笑顔で返してくれた。
その顔…………!可愛いすぎ……!最高です!
日常ラブコメ-完-
となれば良いですけどね。これからまた一騒動ありそうです。