女性
「はぁ〜何を考えているんだか、アルバートは」とリリスがため息を吐いた
「彼は、やっぱり前と変わらないですね」と後ろにいる女性がクスクスと笑っていた
女性は紫色の髪で片目が隠れている。大人びているが歳は16〜18と言ったところだ
「そうだな。確かにあの事件の時のアルバートだな」
「あの事件の時は本当に12歳とは思えないほど大人びていましたね」
「実力もしっかりとあったしな」
「彼はあの歳でもう大人に勝てる実力がありましたからね」
「君もそうだろうが騎士姫。アルバートがこのままで居てくれればいいのだが」と女性を見てからアルバートのいるフィールドを見た
「騎士姫と言う呼び名はあまり好きではありません」
「どうしてだ。この国の国民が認めた証拠なんだぞ」とリリスが女性の方を向き訊いた
「彼は魔導狩りで最恐で最弱の魔導騎士と呼ばれ国民に忌み嫌われているのに私は騎士姫で最強で慈愛の魔導騎士と呼ばれて好かれているなんて納得出来ませんしだから騎士姫と言う呼び名は好きではありません」と子供っぽく頰を膨らめてそっぽを向いた
「君は子供か?君は国を代表する魔導騎士なんだしさぁ、指名手配中のアルバートと一緒にしろって方が無理な話だ」とリリスが呆れていた
「そうではありません。彼を私と同じ階級に上げてくださいって言っているんです。彼は間違った事はしていません」とリリスに近づく
「君は、馬鹿か?」とリリスが頭を叩く
「痛い、なんで叩くんですか」と涙目になりながら女性がリリスを見た
「アルバートが正しいとか間違っているとかは私たちが決める事ではないだろう。今の君や私ではどうしょうもないからな」とリリスが悔しそうに顔を歪めた
「方法はありますよ。彼を私と同じ部隊に入れればいいのですよ」と女性が含み笑いをした
「なるほど、隊長である君の指示なら文句を言う奴はいないだろうしそれに部隊ってのはあの時のままのメンバーか?」とリリスが訊いた
「えぇ、彼の実力を知っていて尊敬している者たちです」と女性が返した
「それなら私からは文句はない。アルバートがどう返事をするかによるけどな」とリリスはフィールドを見る
「そろそろ終わりそうだな」と女性にこっちに来いと指示すると女性が見に来た
フィールドでは「どうした。その程度か」とアルバートが疲れて剣を地面に刺して膝をついているクレアを見た
「なんで、攻撃が当たらないの」とアルバートを見た
「君の武器は大剣だから攻撃は確かに威力が高いがそれは当たればの話で君は攻撃が遅いし動きに無駄が多いから避けやすいし体力の消耗が早い」と指摘した
「国家警備隊には、楽に勝てるのになんで」と悔しそうにしている
「経験の差だよ」
「そうですか」と落ち込んでいる
「大剣ではなく、そうだな君は両手剣で戦うのが良さそうだから少し軽い剣に変えて動きに無駄をなくせば今より確実に強くなれるよ」
「本当ですか?」とアルバートを見た
「間違えない。クレア、君は強くなれる」と真剣に答えた
「私の負けです。貴方の授業を受けます。それとお願いがありますよろしいでしょうか?」
「なんだ?」
「授業は座学だけでなく実技もしてください。どうしても今までの先生は座学だけで実技をやってくれなかったので」とクレアは訊いた
「マジかよ!クレアそれは本当か?」と大声を出した
「はい、本当ですよ」と驚きながら答えた
「そうですよ〜」とサクヤがフィールドに降りて答えた
「マジか。学園長どうなってるんだよ」とリリスのいる方に叫んだ
「そうだったのか。それはすまない人選ミスだ。謝ろう、そうだな、代わりにアルバート座学の授業はやらなくていい実技だけにしてやれ」とリリスが答えた
「それでいいなら遠慮なくやるが最低限のマナーは覚えてもらういいな」と12組のメンバーに訊いた
「いいですよ。文句はありません。」クレアが即答した
「相変わらずクレアは実技が好きだね〜にゃはは」とエヴァが笑う
「そうか。じゃあ今日は帰って明日からやろうか」
「分かりました」と全員が答えて帰って行った
「私も帰ります」と女性が言った
「会わなくていいのか?」とリリスが訊いた
「まだ心の準備が必要ですので」と女性が答えた
「そうか、じゃあまたな」とリリスが手を振った
「はい、また今度」と女性が手を振った
「先生ちょっと待ってくれませんか」とクレアに止められる
「どうした?」と訊いた
「この後時間ありますか?」とクレアがアルバートに訊いた
「あるぜ。クレア、聞きたい事でもあるのか?」
「いいえ、武器を探して欲しいんです」
「武器?ああ、いいぜ。さっき言っていたように今のより軽い両手剣を探すか」
「はい、武器は学校にあった物を使っているので武器の選び方を知らなくて、すいません」
「謝る事じゃあないぞ。それにアイツらに久しぶりに会いに行くかな。じゃあ俺の知り合いが経営している店に行くか。ついて来い」と指示をした
「はい」とクレアが付いてくる
その後学園を出て細い道を歩いて行く
「ここで合ってるんですか?」と不安そうにクレアが訊いた
「合ってるはずだぜ。お、着いたな。ここだ」とアルバートが指を指すそこには小さな店があった
「久しぶりだな。アルバート」と40代ぐらいの男が出てきた
「あぁ、久しぶりだな。リーバドス」とアルバートが返した
「この子の剣を買いたいんだが両手剣でできるだけ軽い奴あるか?」
「剣ならカレン、オススメな奴あるか?」と奥にいる人に聞いていた
「剣?どんな人が使うの?」と紫色の髪の若い女性が出てきた
「カレン、この子だよ。名前はクレア・ローレライ両手剣で軽い奴を探しているんだがあるか?」とアルバートが訊いた
「彼女に両手剣か。わかった任せて彼女に合う最高の剣を探してくるからちょっと待っていて」とカレンは奥に消えていった
「大丈夫なんですか?」
「心配ないアイツは優秀なサポーターだ」と自慢していた
「鎧はそれでいいのか?」とリーバドスが訊いてくる
「出来るだけ軽装の方がいいか?」
「はい」
「それなら注文は軽くて動きやすいでいいよな」
「それで頼む」と返した
「はいよ、カレン追加注文だ軽くて動きやすい服も用意してやってくれ」
「分かった。五分待っていてね」と奥から声がした
「わかった」
「それで、彼女との関係はなんだ?」とクレアに指を指す
「先生と生徒の関係だよ」
「なるほどなぁ」
「お前は武器は必要ないのか?」
「あぁ、今のこれで十分だからな」
「必要になったらいつでも言え。奴の管理は難しいからな」
「そうか、できればアイツを使う状況にならない事を願うけどな」
「そうだな」
その後五分間雑談をしながら待った
「お待たせ。これとこれってどう」とカレンが持ってきたのは部分的に鎧が付いていて動きを邪魔しないようにしてある服とリーチが長く少し細長い剣だった
「試しに着てみて」とクレアを奥に連れて行った
少し経ってから奥から出てきた
「アルバート、どうかな?」とカレンが訊いてきた
「似合ってると思うぞ。それより着心地はどうだ?」
「軽いので動きやすくていいです。それとこの剣は結構軽くてリーチが長いので扱いやすいです」
「そうか、それならこれにするか。リーバドスこれいくらだ」
「金貨10枚だ」
「金貨10枚って高いですね。どうしましょう」と落ち込んでいた
「心配するな。今回は俺が買うから、ほら金貨10枚だ」とアルバートが金貨を渡した
「確かに受け取った。毎度あり」
「じゃあな」とアルバートが言ったら「そうだ。カレンを学園に通わせるから」とリーバドスが言った
「カレンを?そうか、多分12組に入るな」
「明日から通う予定、よろしくねアルバート」
「あぁ、よろしくな」
「じゃあね。また来てね〜」とカレンが手を振っている
「はい」
「あぁ」と二人とも手を振った。
学園に戻ってクレアと別れてアルバートは家に帰った