創作意欲…
無事、larc-en-cielのオープンを終え、Holly woodに戻ったLuKeから、楓の複製品を作りたいとの電話連絡が入り、虹助は了承、複製品を映画に使用する事により 、楓の躰を傷める事なく、虹助の元に戻る事が確約された。
LUZIA主演、SalomeのDVDは骨董品屋・古狸とlarc-en-cielの店頭に並ぶと、直ぐに電話での注文が殺到し売り切れ、予約を取り販売している状態の、超人気商品になっている、古谷親子は、骨董品買取り販売だけでは無く、商売の感が鋭いのかも知れない
虹助は店に立ちながら、2作品目の球体関節人形作成に燃えている、7色の瞳の中から、緑色の眼球を使い生み出した作品は、精霊、若菜と名付けられた …
銀色の髪は腰まで長く … 風に遊ぶように毛先が踊る
緑色の瞳の目元は涼しく … クルンと巻いた長いまつ毛がcharming&Sexy
手足は長く … バレリーナのようにしなやか
首には… 素焼きのオカリナのを飾り
シフォン生地とサテン生地を使ったドレスは、今にも森の中を風に乗り、駆け出しそうに見える、exoticな雰囲気が何とも不思議で、空気の壁に遮られるような、近寄り難さを感じさせた。
「わ、わっ、若菜 … 父ちゃんやで~!」
虹助は完成した若菜に話し掛けた。
オ父サン … 作成中モ話シテタワ… 大丈夫?
若菜は少々、COOLであった …
「まぁ、そやな … 若菜 … 父ちゃんな、お前をフランスの創作人形コンテストに、出場させよう思うんやけど、ええか?」
エエ … 眼球ダケノ時カラソノツモリヨ …
楓姉サント同ジヨ、7色マーブルト約束シタノ…
若菜はアッサリと応える …
「若菜 … 父ちゃんの事、嫌いなんか?もっと精霊らしく愛を持たなアカン!」
ソンナ甘イ事言ッテルカラ、自然界ガメチ ャクチャニサレルノヨ … 天災万歳 …
若菜は精霊と言うよりも、神に近いのかも知れない …
「言いたい事は解る!それでも若菜、心に愛やで~!」
… ドンダケ?… 地球カラ人間ガ消エタラ、自然界ハ直グニ再生出来ルノニ … 自然ノ恩恵ヲフルニ受ケテイルノハ人間達ナノニ …全然、感謝シナイノネ …
怖すぎるCOOL若菜に …
「ごめんやで… 若菜 … 」
眼を赤らめ虹助は侘びた。若菜はツンと横を向き …
別ニ … 解レバイインジャナイ?
自然の怒りを代弁するような、冷酷さで言い捨てた。
流石、俺の娘や!
俺の娘は優秀揃いやな~!
未々、弟、妹、増やしたるで~!
気合いの入った虹助は、益々意欲的に創作活動を続けた。
球体関節人形の3作品目は、男の子の人形
大きく切れ長の眼に深い青色の瞳は … 心の奥底まで覗かれている気持ちになる
髪の色は黒 … 陽の光に照されると濃紺色のように暗く青く輝き、サラサラと流れるウルフカット
顔の形は卵形 … 肌色は若干青白い…
鼻筋は確り通り、唇は適度な厚さ…
ハッキリ言って美形・イケメ~ン・ハンサム・ボーイだ。
洋服はこなれシャツにデニムのパンツ、靴はスニーカーとナチュラル仕上げながらも気高いプライドを感じる …
恋を知る年頃になると、必ず彼女に言われてしまう言葉は、何を考えているのかサッパリ解らない!だろうと安易に想像がつく雰囲気の持ち主である。
虹助は煌と名付けた。
「完成や … 煌 … 父ちゃんやで… 」
俺、コミュニケーショントカ嫌イ、ソンナノ心ヲ覗ケバ解ルカラ …
虹助は煌の態度にムッとした …
アッ、ホラ、今、怒ッタヨネ?
鼻につく煌の態度に、虹助は父親として喝を入れた。
「煌っ!お前に何が見えるんか、感じるんか、父ちゃんには解らん!けどな、例え何が見えても感じても、口に出したらアカン !それは、お前の特別な能力いうもんやろ ?だったら人を挑発したり見下すためやなく、助けになる事に使いっ!お前がそんな使い方するなら、父ちゃん、祈祷師か何か知らんが調べて、その能力が消えるよう願ったるっ!」
虹助の猛烈な怒りに、煌は俯き…
… ごめんよ、daddy …
心から反省し涙を流した。
「解ればいいんや … 」
虹助はふと不思議に思った、何故、煌が涙を流したように見えたのか…
煌を再び見ても、涙は流れていない …
そや、当たり前や …
俺と俺の生み出した人形達は、親子なんや … 通じ合う言うのは、こういう事や!
何や俺、1人で感動しとるわ …
虹助は改めて、自分が生み出した人形達との繋がりを感じ、男泣きしていた。
虹助が感動の涙に濡れていると、エレファントの配達員が店に訪れ、Holly woodのLuKeから届いた小荷物を虹助に手渡した。
「LuKeはんからや … 何やろ?開けてみよか… あっ!あああっ!」
2階のリビングで寛ぐ、LUZIAとCielにも虹助の驚く声がハッキリと聞こえ、LUZIAはCielを抱き階段を駆け降りた。
LUZIAは店の中をキョロキョロ覗き、来客が居ない事を確認すると…
「虹助、どうしたの?」
LUZIAの声に虹助は、ニッカリ笑顔で振り返り
「パンパカパーン!」
楓がデカデカと映る、ポスターを広げて見せると、LUZIAの顔色が青覚めた …
届いた小荷物の中には、楓出演のHolly wood映画 … Contributionのアメリカ版宣伝用チラシやパンフレット、ポスター等が入っていた。
「LUZIAはんっ!楓、頑張ってますっ!」
「… そう … みたいね~」
虹助の言葉にLUZIAは、冷ややかに応え、 チラッチラッと箱の中をチラ見しているのに、見ていない振りをしていた。
「Ciel !行きましょ!」
LUZIAは小荷物の中を、覗いているCielを無理矢理抱き上げ、階段を駆け上がって行った。
「あっ! LUZIAはん?」
3階の寝室まで駆け上がると、スマホを手に取り…
トゥルルッ! トゥルルルッ!
「はい、もしもしLUZIAさん?どうしました?」
淡雪に電話を掛け …
「うわぁ~んっ!お爺さ~ん~!LUZIAね っ 、だからねっ、嫌だって言ったのにぃ~う っうぅ… うわぁ~んっ!」
「どうしたんです?何が嫌なんですか?」
電話を掛け淡雪に泣きつき、何とか事情を理解した淡雪は、八重弁護士と店へとやって来た。




