Japanese … 侍魂 …
リビングでは虹助とLuKeが、楓の映画出演について話しをしていた。
「では~映画のstoryを話しま~す~」
LuKeは、真剣な顔をして話し始めた。
「Mr槐、映画はホラ~映画で~す、楓の元の姿は~可愛らし~い~あ~Salomeの人形のような清らかな~人形で~す、5才の娘に両親が~プレゼントをしました。でも~娘が流行り病で死にま~す、両親は~哀しみに暮れるのですが~前を向いて生きようと~家を売り住み慣れた土地を離れ~再出発を~しようと決めま~す、家の買い手も決ま~り、楽しい思い出の詰まった家で~過ごす~最後の夜を迎えます… 深夜2時15分 … 不審火で~家は燃える~夫婦はベッドで眠っている間に~焼死しま~す… 焼死した両親に守られるように~可愛らしい人形が無傷で~両親の手と手を重ねた下から~見つかりま~す… 火事なのに~臭いも無い… この人形は~両親に守られ愛を知る人形だとfire fighter達は話しま~す、その人形は~孤児院へ贈られる事になり~孤児院ですから~事情のある子供達ばかり、ですが~この人形は1人の少女に目を付けま~す、そして~その少女に付きまと~い!少女の心をcontrolしていきま~す… まるで、人形の邪悪な思いを演じるように…少女は変わ って行きま~す… 結末は~秘密ですが~jokeですMr槐、実はまだ決まっていないので~す、ハハッ、ですから~楓をこの姿で返せるかは~last次第で~す」
虹助は目を瞑り、考え込んだ …
楓 … 父ちゃんは … 情けない男やな …
娘1人、守られへん …
虹助の目に涙が滲む …
オ父チャン、 楓、嬉シイデ… オ父チャンニ大切ニシテ貰エテ、感謝シトル …
オ父チャン、大好キヤ!
ダカラ、オ父チャン、手放ス勇気ヤ …
ウチガ、オ父チャンノ側ニ居ッテモ、オ父チャンニ何ノ得モ無イ …
デモ、Holly woodニ行ケバ、人形師トシテ名前知ッテ貰エルッ!
ウチハ、ソノ方ガイイ…
楓の決心は固く、情けない親父の姿にも、心を揺らす事はなかった。
「LuKeさん … むっ、むっ、娘を… 宜しくお願いします… うっうっうっ…」
虹助は涙に濡れた …
LuKeは驚き、目が点になり …
「Mr槐、あ~何と言えばいいのですか~う~ん… あ~槐にとってもchanceではありませんか~?作品を知って貰えま~す!あ~offerもあると思いま~す!」
LuKeは、虹助を慰めようと必死だった …
「うっうっ… はい、すんません… 俺、大丈夫です…うっうっう~うっ」
大丈夫では無さそうな虹助にLuKeは…
「You are my best friend!感謝しま~す」
虹助とLuKeは、固く握手を交わした。
オ父チャン、ウチ、頑張ルデッ!
虹助の目には、斜に構え厳つい顔をしている筈の楓が、ニ ッカリ笑ったように見えた。
「虹助さ~ん、LuKeさ~ん、ちょっと待って下さ~い!ハァッ、ハァッ、階段て鍛えられますね…」
八重弁護士に背負われ、淡雪がリビングへ上がって来た。
「どっ、どうも済みません … ハァ~ハァ…」
八重弁護士は淡雪をソファーに降ろし、リビングの床に息を切らせ、大の字で寝そべ った。
「ふぉっふぉっふぉっ、お話しは終わりましたか、虹助君、LuKeさん?」
淡雪は忘れているのか?狙っているのか?銀皿を首に付けたまま、虹助とLuKeに話し掛けた。
「Mr淡雪、はい、今、話し終わりました」
LuKeは朗らかに応え、虹助は通夜の晩のような顔をして頷いた。
「LuKeさんこの人形は、楓さんと言う名前で虹助君が初めて創作した、球体関節人形です、再来月、パリで開催される創作人形コンテストに参加させて頂く予定でした … コンテストに参加したならば、必ず何かしらの賞を与えられるに違い無い作品です… LuKeさんの目に留まるのも、無理はありません … ですが … 虹助君にとっては、折角の機会を逃してしまう事になるかも知れません… LuKeさん、この機会が虹助君にとって 、最大に良い結果に終わる事を期待しています。どうか宜しくお願い致します。」
「Mr淡雪、安心して下さ~い、映画のcredit titleに勿論、名前を入れます~し、私は~出来る限りMr槐を宣伝しま~す!約束しま~す!彼は素晴らしい作品を創りまし~た!それで… あの~楓dollの値段ですが …」
虹助はニッカリ笑い …
「LuKeはん… 俺、値段つけれまへん… 友情出演でいいです… アホ思われるかも知れまへんけど … 俺には無理なんで … 」
「unbelievable… Mr槐 …Japanese… 侍 … 魂 … 」
どの部分が侍魂なのか?良く解らないが…LuKeはめっちゃっ感動し、涙を浮かべた。
「LuKeさん … 忘れないで下さい… これが、槐 虹助と言う人形師です… どうぞ末永いお付き合いをお願い致します… 老いぼれの遺言とでも思って下さい、ふぁっふぁっ! 」
淡雪は目にうっすらと涙を浮かべ、LuKeの手を握った。
目的を終えたLuKeは、この後、直ぐに空港へ行きHolly woodに戻ると、虹助と淡雪に告げた。
虹助は目を真っ赤に充血させ、楓の最終ボディメンテナンスを行い、LuKeは楓を連れ店の前からタクシーに乗り、空港へ向かって行った。
ツ~、トン、ツ~ …
楓 … 達者でな …
トン、ツ~、ツ~
オ父チャン、泣クンヤナイデ~ 男ヤロ~?
「かっ、かっ、楓 ーっ!」
虹助のテレパシーを感じた者は、皆、涙を流していた … 淡雪もLUZIAも八重弁護士もあくびかも知れないがCielも …
そして … 楓も … 心で泣いていた …




