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~ INDIGO ~   作者: MiYA
35/49

人皮装丁本…


「けどMichaelさっきは、LUZIAはんが居る家へ行くのは嫌やて泣いてたやないか?そんなんで闘えんやろ… 違うか?」



「だから貴方に力を貸して欲しいんだ!この家に、人間の皮膚で出来たカバーの付いた本がある筈なんだ…人皮装丁本… 絶対あるんだ! 魔女はあの本を他人の物のように見せかけて、最後は自分の元に戻るようにするんだ… 貴方に教えて欲しいんだ、あの本は何処?魔女を封じ込めるには必要なんだ… お願い協力してよ … 質問には何でも答えるから… お願いだよ~僕を信じてよ~あ~ん!あ~ん!」



「Michael … その人皮装丁本 … どうやって使うねん … 」



虹助は厳しい顔をしてMichaelに聞いた…



「魔女の魂をこのスカルに封じ込めたら、その上に本を開いて被せるんだ、それから火をつけて燃やす、そうすると魔女は封印されるんだよ!」



Michaelはニコニコして、虹助に教えた。



「何で知っとんねん … 誰かから聴いたんか? Michael … 」



「うん、僕の魂を助けてくれたGuede(ゲーデ)が教えてくれたんだ… 僕の魂を砕きに戻った魔女から、僕を守ってくれたんだよ!魔女は僕が死んだ事を確認して、僕の遺体を取りに来たんだ… その事を察して助けてくれたんだ」



虹助は少し考えて …



「なぁ、Michael… そのゲーデいうんは…人間なんか? 何処におるん?」



「Guedeは人間だよ!何処に住んでいるかは教えられないんだ… 彼はとても人嫌いで… けど、傷ついた魂は放っておけない優しい人なんだ … 」



Michaelは堂々と、胸を張って虹助に話をする…



「おいちゃん… 思うんやけどな… 話し合いは出来んもんかな… ? 互いに誤解があるなんて話は沢山あるやろ? 先ずは話し合いやないか?」



「僕には… 貴方の気持ちが良く解るよ… 僕も生きていた頃は… 多分貴方のように、魔女を信用していたから… 話し合いは出来ない! 魔女は僕の魂を砕こうと、十字架のペンダントに引きづり込むから!」



十字架のペンダントに引きづり込む?


パソ友はピョンピョン喜んで入ったで…


可笑しいな …




虹助はパソ友弘也との、最後の別れを想い出していた …



「Michael … 本はない … おいちゃんが、ある場所に棄てた… 気味悪くてな …だから無い…」



虹助はMichaelに、嘘をついた



「ある場所? それは何処 … 」



虹助は何も言わず、じっとMichaelを見つめた… Michaelの目つきが鋭く変わる…



「言わないって事なの? 僕は何でも話すって言ったのに? 貴方は言わないの? 僕の言う事なんて、端から信じる気が無いんだ!へぇ~だったら… 喋らせんじゃねぇーよ!」




Pado-gizaro-do-gizare-gede…


bare-agitera-basaq-do-




虹助は、地の底から聴こえるようなおぞましい声に動揺する事なく、床に胡座(アグラ)をかいてドカッと座り、唯、じっと悲しそうにMichaelを見つめていた。



「ハハッ!ねぇ、聴こえるだろ?Guedeの声だよ … 迎えに来てくれた … ホホホ~ホ~ホ~ッ!ホホホ~ホ~ホ~ッ!君も僕を信じるよ、Guedeが来たんだから!ホホホ~ホ~ホ~ッ!ホホホ~ホ~ホ~ッ!」



Mr Right… 否 … Michaelは狂ったように笑った …



その頃 … 淡雪の家では …



「ヘロディには言えぬが … サロメのあの腰!それにあの美しさ … ムフッムフッ…」



八重弁護士は亡き父の影響なのか、やたらと演技が上手かった。


ヘロデ王にすっかりなりきり、LUZIAを舐め回るように見つめる … 思わずロリコンですか?と聞きたくなる程の演技力だ。



「16の誕生日を過ぎた頃から…義父ヘロデ王の私を見る眼が変わったわ … まるで気色悪いレプティのように私を視るわ … お母様は気づいている … 今もヘロデ王の隣から死神みないに冷やかな視線を向けているわ… もう … うんざりよ …」



LUZIAは、八重弁護士扮するヘロデ王の視線から逃れるように、淡雪の家のリビングのソファーの後ろから、大きな窓へと向かう …



「はぁ … 」



LUZIAはため息を漏らす …



「悔い改めよ!ヘロデ王~!不倫の果てに実の兄であるピリッポス王を亡き者にし、ヘロディア等と契りを交わす悪行三昧!ポンポンポンッ!助さん格さんやってしまって頂戴ね、飛び猿登場 !由美入浴絶対見逃せない!悔い改めよ!ヘロデ王~!否、アンティパ~スッ!」



古井戸から響きわたる声に …



「あれは… 誰なの… ?」



LUZIAが古井戸を見張る兵士に問う …




… … … 人数不足にて無言… …




「まぁ!それは本当なの?あの声の主が… 神の御子の洗礼を受けた、聖ヨハナーン … お前達、直ぐにヨハナーン様を古井戸からお連れして!」



… … … 無 言… …



「初めまして、聖ヨハナーン… 貴女にお会い出来て光栄です … 私は …」



「知っています! 貴女はサロメ王女 … 忌まわしきヘロディアの娘 … 」



ミャンッミィヤ~ンッミャンッフーッ!



「Ciel?どうしたの… ?」



Cielが突然ソファーを飛び降り、LUZIAのドレスの裾に絡みついた、Cielの異常な鳴き声に、LUZIAはサロメ役を中断しcielを抱き上げた。



フーッ!ミャンッフゥーフーッ!



「Ciel… どうしたんだい? 何をそんなに怒っているんです?」




淡雪はLUZIAの腕の中に抱かれる、Cielを覗き込んだ …



「本当ですね、どうしたのでしょう?いつもは大人しいのに …」


八重弁護士もCielを覗き込む…



ミャォ~ンッ!


Cielは無理矢理、LUZIAの腕から逃れ玄関へと走った。



カリカリカリカリッ!



Cielは、玄関のドアを開けろと言っているのか爪を立て…



「ダメよ!Ciel … 」



LUZIAは直ぐにCielを追い、八重弁護士も淡雪も玄関へ向かう



カリカリカリカリッ!


カリカリカリカリッ!



「Ciel … 」



LUZIAの声も聴こえないのか、Cielは一心不乱にドアに爪を立てる…


LUZIAの胸元を飾る、十字架が熱を持ち…



「きゃ~っ!何~ ?」



十字架がグイグイと、LUZIAの首を引っ張り、勝手に玄関のドアへと足が進む…



「LUZIAさん! ああ … どうした事です…」



淡雪が悲鳴のような声を上げ …



「LUZIAさんっ!」



八重弁護士はLUZIAを抑えようと、手を伸ばした…



バンッ …



鍵を閉めていたドアが、勢いよく開き …



「うわっ!」



「きゃっ!」



八重弁護士とLUZIAは勢い剰り、玄関の外に転がった…



「ウニャ~ッォ~ォ~ォ~ンッ!」



「猫が… 遠吠えですか… ?」



Cielが狼のように鳴いた…



「痛いっ!痛いわっ!何すんのよっ!」



LUZIAは立ち上がり、熱を持つ十字架を掴み文句を言い、CielはLUZIAの足元に近づくと、スリスリと甘えて頬を寄せた …



「いっ痛いですね… 」



八重弁護士は立ち上がり、洋服に着いた土をパンパンと払った。



LUZIAのペンダントが、更に熱を持つ…



「解りました!」



LUZIAは十字架を握りしめ、目を閉じ深く大きな深呼吸を繰り返す …



ザッザッ ザーザーザーッ



LUZIAの頭の中に、砂嵐が流れ


何処からか呪文のような、声か聴こえる…



Pado … ? 何これ … 虹助っ!えっ? 人形…

ホホホ~ホホ~! … そんな …



LUZIAはバッと目を開き…



「弁護士さん!家へ!お願い!」



「LUZIAさん、落ち着いて下さい、何か見えたのですか?」



八重弁護士はLUZIAに聞いたが、空かさず淡雪が …



「八重さん!LUZIAさんの言う通りに!今は考えている時では無いようです!急いで下さい!LUZIAさんと早く行きなさい!」



「あ、いや、はっ、はい… 」



淡雪に急かされるまま、八重弁護士はLUZIAを車に乗せ、虹助の家へ向かった。



「Ciel … 」



隠れていたのか、家の陰からチョコンとCielが顔を出し …



タッタッタッーンッー



玄関の手前で車椅子に座る、淡雪の膝に飛び乗り …



ミャンッ ミィミィッ



甘えた声で鳴いた…



「一番の役者は… お前かも知れませんね… Ciel … 」



淡雪は優しく、膝の上に座るCielを撫でた



「あ、そうそう … Guedu-pada-zi-dara…」



バタンッ ! ガチャン …



淡雪の言葉で、玄関のドアが閉まり…ドアの鍵が勝手に掛かった …




「ふぉっふぉっふぉっ… 」




キィーキィーキィー ッ



淡雪は笑いながら車椅子を動かし、リビングへ向かった…



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