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~ INDIGO ~   作者: MiYA
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骨董品屋・古狸


人形を置き終えた虹助は、何かを探しているのか、ガサゴソ段ボール箱の中をあさり 、2階へと上がって行った。


この様子を、窓の外から見ていた4つの目は、



「虹助、何か探しているみたい …」



LUZIAが呟き …



「そうですね … おぉっと~!2階へ向かったようです… 何を手にして戻るのでしょうか … おぉっと~!メジャーです!右手にメジャーを持つ男の登場だぁ~っ! 」



八重弁護士がプロレスの生中継のように話し淡雪に伝えた。



「メジャーですか … ふ~む… あっ、八重さん続けて頂けますか?」



淡雪は八重弁護士に、中継を継続するよう話した。



「はい、では… おぉっと~!メジャーを … 人形の頭に周した~ 何をする気だ槐 虹助、メジャーは凶器か? 凶器なのか~? 」



八重弁護士は息を飲む …



「え? メジャーで何をしてるのです?早く言って下さいよ!八重さんっ!」



淡雪に急かされた八重弁護士は、目を店の中に向けたまま頷き…



「メジャーを人形達の頭に次々と周し…おぉっと~!メモった~!今、メモを取った模様です!」


「ふぁっ!あぁ…笑ってはいけませんね、 皆さん作戦変更です!虹助君に時間をあげましょう、彼をもう少し1人にしてあげましょうね、その間に私達は虹色のライトと、柱時計を探しに行きましょうか… 八重さん、済みませんが… 車へお願い出来ますか?」



淡雪は嬉しそうに微笑み、八重弁護士を見つめた



「はっ? はい…」



八重弁護士は返事をしたが、LUZIAは少し淋しそうに …



「お爺さん…虹助、放置… ?」



「えぇ、そうです、今は放置です… 」



淡雪の膝の上で、悲しそうに俯くLUZIAの頭を優しく撫でるとニッコリ微笑んだ。


八重弁護士は、音を立てないように車椅子を窓から離し、車を置いた家の横にある駐車スペース迄車椅子を押し、後部座席のドアを開けるとLUZIAはピョ~ンと車に飛び移り、淡雪は自力で後部座席へと乗り移った。


八重弁護士は淡雪の車椅子をたたみ、トランクルームに入れ、運転席へ乗り車を走らせた。



「淡雪さん、何処へ向かいますか?」



八重弁護士は淡雪に行き先を聞いた。



「えぇっと…骨董品屋・古狸(フルダヌキ ) 解りますか?」



「ナビで検索しますね…」


ピッ…ピッ…



八重弁護士はカーナビを使い、骨董品屋・古狸を検索した。


「はい見つかりました、 向かいます 」



八重弁護士は、虹助の家から20分程度の距離にある骨董品屋・古狸へ向かい車を走らせた。


LUZIAは淋しそうに、窓の外を見ていた。



「LUZIAさん… 」



淡雪がLUZIAに声を掛けると …



「お爺さんは、虹助に厳し過ぎない?虹助だって一生懸命に、解りもしない事を必死に始めようとしているのよ!今迄 … 夢も見つけられずに生きて来たのよ!今、やっと … やっとよ … このお買い物だって、虹助も一緒に行きたかったかも知れないのに… お爺さんは解っているから先を見て行動するけど、虹助は何も知らないのに… 言ってしまえば、お爺さんはプロで虹助は全てド素人よっ!それなのに …」



「LUZIAさん … 仰りたい事は良く解りますよ… LUZIAさん… ですがね、虹助君はプロを目指しているのでしょ?」



「そうよ … そうなりたいのよ虹助は…」



LUZIAはコクンと頷いて、淡雪に応えた。



「でしたら、向き不向きを探している段階では無いのですよ、彼は芸術で食べて行かなければいけないのですよ… それも独学でです、厳しいでしょうか?私は此から先 、虹助君の名が世に知れ渡る事になったとしても … 世間に私の弟子ですと公表する気は全く無いのです… 誰かの弟子になると言う事は師匠となる者がいる限り頭角を発揮出来ないのですよ、いつでも師匠の名が先に立つ… 私はね、こんな屈辱的な事は無いと思っているのですよ、師匠より優れた作品を創れても師匠以上には決してなれない … それと、弟子になると忍耐が必要になります、指導と言う名の虐めですよ… 才能ある人間には繊細な人が多い … そんな人は虐めに堪えきれず潰れてしまいやすい… それに性格も歪んでしまう、そうなるとね物を見る眼も歪む… 悪循環ですよ… 私はね、虹助君を歪ませたくは無いですし、私が死んだ後にもね、誰かの弟子に入る等と言う事は 、化けて出ても阻止するつもりです!ですから 、私が死ぬ前に彼が… 芸術で食べて行けるようになって欲しいのですよ … 弟子入りの虐めに比べたらと思うのですが…?厳しいでしょうか?」



LUZIAは少し考えて …



「うううん、LUZIAの誤解だったみたい…お爺さん、ごめんなさい … お爺さんが化けて出るなら虹助も安心ね♪」



LUZIAと淡雪は微笑み合った。


車を運転しながら、LUZIAと淡雪の会話を聞いていた八重弁護士は、芸術家の執念と言うのは恐ろしいが、その想いの強さが人の心を捉える作品に変わるのかも知れないな、でも、淡雪の幽霊が私の元へ現れるのだけは、ご勘弁頂きたいなと背中に寒気を感じながら思っていた。



骨董品屋・古狸の店の前の駐車場に車を止め、八重弁護士はトランクルールから淡雪の車椅子を出し、淡雪が車椅子に移りLUZIAが淡雪の膝の上へ飛び乗ると、八重弁護士は店のドアを開けた。



「ああ!淡雪さん!」



店の店主が親しげに淡雪に声を掛けた。



「お久し振りです、古狸… 古谷(フルヤ)さん…」



店主はニコニコ笑い…



「古狸? 相変わらず… 失礼な人だ、ワ ッハッハ!おや? おやおや?淡雪さん、そのアンティーク人形は … 」



店主の古谷は顔を近づけ、マジマジとLUZIAの隅々迄見ていた。



「古谷さん、この人形可愛いでしょ?LUZIAちゃんです…この人形が何か?」



淡雪は剰りに入念に、LUZIAを見つめる古谷に聞いた。



「淡雪さん… その人形… 呪いの人形だ … 間違いないよ!」



古谷は慌てて、店のレジ台の下から本を出し淡雪の前に開いた。



「ほら、これだ … 」



淡雪もLUZIAも八重弁護士も、本を覗き込んだ。


自称・世紀の大芸術家・人形師Augustin… 題名が書かれた下に、LUZIAにそっくりな人形と他に4体の人形の写真が載せられ説明書きが書かれていた。


Augustinは死の直前に、友人である画家のpeater・Bに電話を掛け、「この5体の人形達は何れも皆、生きている … 私が呪いを掛けた、私の死の後、人形達は動き出し、私以上の狂気の芸術家になるに違いない… 楽しみだよpeater… 」と不気味な言葉を残したと伝えられている。尚、この5体の人形達はAugustinの死後、何れも行方が不明のままである…



「ね? 間違いない… 」



淡雪は困惑しながら …



「古谷さん… 貴方の目は節穴ですか?あ、それとも… 老眼でしょうか? 此は私の人形ですよ!全く、相変わらず失礼な先輩ですね、私の食事だけパンが一つだったり、ス ープが半分だけだったり、貴方には芸術以外の面で洗礼を受けましたよ!全く失礼ですよ!」



古谷は気まずそうな顔をして …



「もう… 忘れなさいよ … 仕方ないじゃない … そう言う世界なんだから… 俺なんて鼠の死骸入れられた事もあるんだから… 頼むって許して下さいよ…」


古谷はフッと微笑んだ



「まぁね、昔の事ですから… あっ、そうそう、古狸、否、古谷さん、柱時計あります? 古い物で… 出来れば鳩か何か出る時計が良いのですが …」



淡雪は人形の話題から、話しを柱時計に変えた。



「あるけど … さっき入った柱時計… 相変わらず、凄い感だな… その人形と交換でいいですよ」



古谷はニヤッと笑た。



「えぇ、柱時計はおいくらですか?」



淡雪は聞こえない振りをして話しを進めた。



「曲線美のいい形しているけど、出所が怪しいから、人形付きで30万でいいよ…」



「人形無しでお願いします…」



淡雪は怒り気味に話した。



「人形無しでも30万 …」



「相変わらず歪んでますね… では、柱時計のみ30万で… それで商品は? 」



古谷は笑いながら …



「あれです… 」



店の奥を指差した。


サイドの曲線が、女性の躰のように緩やかな柱時計は、うっとりする程に美しく、淡雪の求めた柱時計に極めて近かった。


すっかり気に入った淡雪は、現金で支払いを済ませ1時間後に虹助の店に運んで貰うよう古谷に話した。



「解りました。暇だから運びますよ、淡雪さん…」



仲が良いのか悪いのか… けれど古谷と淡雪の間には、言葉に出さない信頼関係が確かにあるとLUZIAも八重弁護士も感じていた。








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