表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
~ INDIGO ~   作者: MiYA
17/49

俺は鳩?


虹助と八重弁護士は、荷物を積んだ車で虹助の家へと向かっていた。


「あの、虹助さん、先程はお恥ずかしい所をお見せ致しまして… 」



八重弁護士は、車を走らせながら困った顔をして虹助に話した。



「ハハハ、オモロかったで、ええもん見せて頂きましたわ、ハハハ!」



虹助は、笑いながら応えた。



八重弁護士もホッとした顔をし、少しだけ微笑みを浮かべ、車のハンドルを握っていた。



車が店舗の前に止まると、


「今、鍵開けますわ、店舗の鍵家ん中なんで、裏から開けますんで…」



虹助は助手席を降りると、店舗の裏側へ回り、自宅側のドアの鍵を開けた。



ガ チ ャッ



鍵を開けると、左手に見えるリビングへと続く階段を素通りし、店舗へ続くドアを開け、店舗の中を端から端迄歩き、道路に面した店舗のドアを内側から開けた。



カッチャン



「すんません、お待たせしました」



「いぇ、では、お店の中に運びましょう」



八重弁護士と虹助は、荷物を車から降ろし店舗の中へ運んだ。



「あの、八重弁護士はん、俺、テーブルとか組み立てても構いまへんか?」



虹助は、折角なら明日の手間を減らそうと思い、八重弁護士に話した。



「はい、構いませんよ、降ろす荷物も、後少しですから」



八重弁護士は微笑み応えてくれた。


荷物を全て運び終えると、



「虹助さん、私も手伝いますよ!」



虹助に声を掛けた。



「いや、そんな … 少しなんで俺やりますから、八重弁護士はん、すんませんけど… 先 戻っとって下さい… 淡雪はんとLUZIAはん 2人でっしゃろ? また、何かあったら困るんで …」



「は … はぁ … そうですか…解りました… それでしたら、私は先に戻りますね …」



八重弁護士は、先程と少し様子の違う虹助に戸惑ったが、虹助が真剣な顔をして話したので、残るとも言えずに淡雪の家へと戻って行った。




虹助は、店舗の中で1人黙々とテーブルを組み立てていた。



「人形… 俺の人形は… どんな顔しとるんや… ? 髪型… 肌の色…目の色 … 鼻の形 …口元は … ?男か女か?大きさは?着てるもんは? … 解らん事ばかりやな … 」



テーブルを組み立て終えると、虹助は目を瞑り深呼吸を繰り返した。



「さっきの店、思い出さな … 」



虹助の脳裏に柱時計が浮かび …



ボ~ォ~ン ボ~ォ~ン



時計の針は12時を回った …


ポッポ- クルルックッ


ポッポ-クルルックッ



時計の針の上、小さな扉が開き、その扉から鳩が飛び出した。


飛び出した鳩は、ポッポ-と鳴き、クルル ックッでクルンとその場で1回りした…



チクタク … チクタク …


チクタク … チクタク …



柱時計だけが、真っ暗な店舗の中にポツンと佇み、時を刻んでいた …



虹助は柱時計の鳩のように…



クルンと回りながら、店の中を見回す…



クルルックッ、クルルックッ …




「可笑しいやん、あんなに見えとったのに … お爺さんの時計以外何もない… 何で? 可笑しいて… 見せてぇや…俺の店… 俺の人形 … 俺の夢 … 」



クルルックッ、クルルックッ、クルルック ッ… クルルックッ、クルルックッ、クルル ックッ …



ぐるんぐるんと、鳩も虹助も目が回る程に 、何度も何度も店を見回すが…



柱時計と鳩以外は、何も映らない …




「俺 … また … ダメなんかな … 」



ふぅ~と虹助は頭を抱え、大きな溜め息を漏らした。




チクタク… チクタク…



ポッポ- ポッポ- ポッポ-



クルルックッ、クルルックッ、クルルック ッ… クルルックッ、 クルルックッ…クルルックッ、クルルックックルルックッ…



鳩は狂ったように、ぐるんぐるんと回り 、何度も鳴き叫ぶ …




「鳩は … 俺か… ?」




虹助の心に奇妙な思いが過った…




コツ … コツ… コツ… コツ …




闇の向こうから …


何かが虹助の方へと近づいてくると …




鳩の鳴き声がピタリと止まった





テテテンテンテン テテテンテンテン~♪



突然、暗闇にオルゴールの音が響く …



「わっ!何、急に …It's a sm~all world … ?」




虹助は驚き、思わずオルゴールの曲名を叫んだ …




コッコッ… コッコッ …



足音が … 速まる …



虹助の心臓もバクバクと音を立てる …




目を開けたら、終る …



俺の頭ん中の世界やからな …



けど … 今、目を開けたら …



今迄と何も変わらん気がする …



俺の頭ん中 、いや、心の声聞くんや!



絶対、何か見たる! 絶対やっ!




テ~テテテ テ~テテ~♪



オルゴールの音が… 止まった …



コッコツコッ… コ…ッ…ッ…




虹助の直ぐ近くで、足音が止まる …


虹助はビクッと躰を縮め…


心臓が口から飛び出てしまう程に緊張し 、恐怖を感じながらも闇に目を向けた…




… えっ!えぇ-っ!




Hi ! I'm … chucky…


D~o yo~u wanna pl~ay … ?


A~HA~ ?




「うっ、うわぁ~っ! チャッキーや!」



チャッキーは、右眉と口の右端を吊り上げ 、ニヤリと笑い、ギロリとした目で虹助を睨むと、後ろに隠れている右手をウワッと振り上げた…



「うわぁ~ チャッキー!NO-や-!グサ ッとダメ! … って … へ っ ? グサッと来んわ … 」




虹助が、チャッキーの手が当たっている胸元を見ると… チャッキーは、真っ赤な薔薇を1輪、虹助の心臓に押しあて …



I Love you … 虹助 …



まつ毛をバッサバサ揺らし… 告った …



♪~♪~♪♪~


アンチェインド・メロディーが 流れ …


辺りの景色が一変した…



虹助とチャッキーは、やたら楽しそうに両手を繋ぎ、七色の花畑の中で2人は見つめ合い、笑いながらクルクルと回る…



あはは! ha ha ha!



何やこれ …


恐怖と愛 … ? 人情沙汰や …


下手すりゃ惨劇やで …


待てよ …


解った! 見えたでっ!


俺の人形! テーマは恐怖と愛やっ!


キモ可愛人形やなっ!よしっ!




虹助はチャッキーのお陰で、自分の求める人形のIimageを探し出す事に成功した。



「チャッキー!有難う!見ててや、俺、頑張るでー!」



最後にチャッキーとハグを交わし、虹助はゆっくりと目を開けた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ