白と黒
「良かったわ、お爺さんがLUZIAの想った 通りの人で… でも、一つだけ否定させて欲しいの、LUZIAは、お爺さんに本を託した 芸術家が手紙に書いていた犧にされた子供達の魂の一つでは無いわ… LUZIAはIndigoが覚醒する迄の間、守護する為に地球に来たの… 正確には… 地球の持つエネルギーの欠片が一つの魂となったと言えばいいかしら … あっ、ちょ っと待ってね… 」
LUZIAは、レモネ~ドの残りを2人のグラスに注いだ。
「長い話しになると思うから、飲みながら聞いてね… 」
虹助も淡雪もLUZIAを見つめた。
「シオン議定書には自由・平等・平和… 実現する気のない曖昧なこの言葉で一般大衆の目を欺くと書いてあるわ… それと全く同じスローガンを掲げているのが、 秘密結社と言われる、フリイメイソンよ… 彼等が目指すのが、新世界秩序、簡単に言うと、シオン議定書に書いてある事を実践し非道な思想で地球のリーダーになる事よ … LUZIA、お爺さんの話しを聴いて、さっき話していた芸術家の人は、フリイメイソンの儀式を受け、一員になったんじゃないかなって思ったの … フリイメイソンの1人 だった故、アダム・ヴァイス ハウプトは臨終の際、我々の理想を歪め、世間に悪評をバラ撒き、世の中のあらゆる陰謀を擦り付けようとする黒魔術団がある、注意するのだ闇の者達に…と自分の弟子達に告げたそうよ… フリイメイソンの中にも白と黒があるのよ… けれど、どちらも新世界秩序を目指している… 同じ穴のムジナの小競り合い よね … 」
淡雪も虹助も喉が渇く話しらしく、レモネ~ドを飲みながらも真剣な眼差しでLUZIAを見つめていた。
LUZIAは話しを続けた。
「前に虹助には少し話したと思うけれど… 地球が出来た頃、地球外生命体と呼ばれる者達が何種族も地球に押し寄せた、その種族の中で交配に成功出来た種族は、地球に留まれたわ、遺伝子を残せたからハイブリ ットとして、現在もその子孫達がいるわ、勿論、知りもしない人間が殆どだろうけれど… 地球外生命体にも様々な種族がいたの 、人間を食べてしまう種族もいれば、科学を持つ者達も… 野蛮な者も遺伝子操作を行うアヌンナキと呼ばれる種族も… 沢山、沢山来たの… 地球が命を吹き込んだ古代地球人達を奴等は… 我が物にしようとして… 今でもそれは続いているわ、笑っちゃうような話しで、陰謀論者か頭の可笑しな奴の話しだと言いたいでしょ?でも違う、真実を追ったIndigo達は、気違い扱いされて社会から抹殺されるか、自殺するか場合によっては殺される迄追いやるの… 今もずっとよ … 新世界秩序を望む者達が魅せる幻影に従わなければ、又は 秘密を暴こうとしたなら 、奴等は社会から抹殺するシステムを創りあげているの… でもね… 真実を求めるIndigo達は死んではいけないの!Indigoの命が一つ消える度に地球は悲鳴を上げているの… 本当よ… 難しい話しをしち ゃったわね … 」
LUZIAはポロポロと床に涙を落としながら 、淡雪と虹助に話した。
「LUZIAはん… その難しい話ですけど… 俺 、なんとなく解りますわ、本当の事言うたら弾かれる世の中ですから、俺も実際、食 って行かれへんし…生きる為に間違ってる事に従わなならんなら、もういいか…命棄てよか… 思いましたもん… 45迄生きたしな って … 俺はIndigoとか解らしまへんけど… 今の世の中は違うと強く思ってます。けど … 正直、何したらええのか解りまへん…」
虹助は真剣な劇画顔でLUZIAに言った。
「虹助、一番大切な事を話すわ、Indigoは自分らしく生きる事でエネルギーを放出できるの… 虹助、あなたの夢や希望は何ですか?」
LUZIAは優しく虹助に聞いた。
タスケテ … 虹助 …
虹助 … 虹助 …
灰色の人形為が虹助の脳裏に浮かぶ…
そや … 約束したんや … 助けな …
「俺 … 何から始めるんか解らんけど… 人形 … そう、人形創ってみたいんですわ!」
虹助は瞳を輝かせた。
「それなら、私にも協力させて下さい!人形創りなら私に出来る事ですので!」
淡雪の目は情熱の炎でメラメラと燃えていた。
「手解き頂けますか?淡雪さん… 何も知りませんが宜しくお願いします!」
虹助は淡雪に深く頭を下げた。
淡雪は目に涙を溜めて、
「虹助君、私こそ、ありがとう… 私は今 、 心から感謝しています、君とLUZIAさんに出会えた事を … 私は今まで弟子を1人も持 った事がありません、全てお断りして来たのです、弟子入りを志願された方々は何方も優秀な方でしたが … 私の気持ちが駄目でしてね… 講師として人形創りを教えた事も1度もありません、理由は同じです… けれど嬉しいです、 淡雪 涼一、最初で最後の弟子が孫の虹助君で … 」
「えーっ!嘘っ!お爺さん、虹助のリアルお爺ち ゃんなの~? あっ、そっか… LUZIA 解っちゃった♪ 」
LUZIAは頬を引き上げニコニコと笑った。
「何が解ったんですか、LUZIAはん?そんなニコニコして … 」
虹助が不思議そうな顔をして聞くと、
「えへっ ♪ 地球の・仕・業・ ♪ 虹助を地球が応援しているのよ♪ この地球上で、出・会・い・だけは悪の力でも邪魔は出来ないわ~♪ うふふ~♪」
LUZIAは嬉しそうに、バレリーナのようにくるくると回った。
その後は、難しい話しは一段落した事だし 、一旦 、休もうという事になり、淡雪は虹助の勧めで虹助のベッドで躰を休め、虹助はリビングのソファーで休み、LUZIAは3階で休むと3人で話しをした。
虹助は、淡雪の革のスーツケースを持ちベ ッドへ案内をした。
淡雪が車椅子からベッドに無事に移れた事を確認すると、
「何かあったら直ぐ呼んで下さい… あっ、さっきLUZIAはんが、俺の携帯に電話くれたんで着信履歴から掛けて貰ってもいいです、何時も枕元にスマホ置いてますんで」
「ありがとう虹助君、あぁ、念のために… トイレは何処ですか?」
「トイレは部屋出て真っ直ぐ行ってリビングへ入るドアも過ぎて右側です、洗面所も風呂もそこにありますんで、風呂入りまっか?お湯入れますよ!」
淡雪はニコニコ笑い
「いぇ、今日はさっき家で入りましたから … ありがとう虹助君 」
「いや、そんな … 部屋いっぱい有るんで、明日布団セット買って来ますわ、必要なもんあったら言って下さい… 俺、金無いんですけどLUZIAさんに絶対借りますから! 」
虹助は言い切った。
「そんな… 大丈夫です、お金の心配はいりませんよ、ふぁっ、ふぁっ、虹助君は本当に正直ですね … あ、そうだ、すみませんが良ければ… 静音、否、家族のアルバムを見せて頂けませんか?」
「ええですけど、淡雪さん… ちゃんと休んで下さいね…」
虹助は、クローゼットからアルバムを5冊出すとベッド横のテーブルに室内灯のリモコンと一緒に置いた。
「すみません、では、お休みなさい、虹助君 」
「ほな、お休みなさい、淡雪さん…」
淡雪は微笑みながら虹助に手を振った。
虹助はリビングに戻りソファーに躰を長めると、ローテーブルの上に、elders of zionが置きっぱなしになっていた。
虹助はすっと手を伸ばし本を手にしたのはいいが、やはり抵抗がある…
内容知らんの… 俺だけやしな …
虹助は恐る恐る本の頁を捲った。
うわっ … 読まれへん …
言葉違うから… さっぱり解らへんわ…
日本語の探して読まんと …
虹助がペラペラと本を捲っていくと、所々に写真が挟んであった。
写真は白黒で全部で6枚挟まれていてた。
虹助は、写真が挟まれている頁にも何か意味があるのかも知れないと思い、写真は抜かずにそのまま見ていた。
可哀想にな …
儀式って何やってんだろな …
嘘みたいな話しやろけど、俺は信じる!
虹助が心に思った瞬間、写真に写る人形の口が動いた。
「うわっ!何やっ!」
怖ガラナイデ … 僕ハアンディー …
蛇ダヨ … 虹助 … 僕達ハ蛇 …
蛇ヲ殺セ …
ソレガ、犧ヲ捧ゲル言葉ナンダ …
「蛇? 何で蛇なん…」
虹助は写真に話し掛けた。
邪悪ナ者・神聖ナ者、2ツノ意味ガアルンダヨ…
虹助、次ノ子ニモ会ッテアゲテ… 写真ヲ見レバイインダヨ…
「あっ、はい… 解った…」
虹助は素直に応え、2枚目の写真が挟まれた頁を捲った。
初メマチテ、虹助 …
ワタチハ、ジェシカヨ …
蛇ガグルグル、トグロ巻クノヨ…
彼等ノマークヨ…
虹助… 皆、話チタイミタイ…
「蛇のマークなんやな、ありがとな」
虹助は3枚目の写真へ頁を捲った。
モニカヨ …
虹助 … 助ケテ …
蛇ヲ殺スニモ忠誠心ガ必要ヨ…
奴等ハズット視テイルノ …
下手ナ動キハ出来ナイノ …
虹助 … 次ノ子ニ…
「忠誠心… ? 儀式に段階があるいう事なんかな?監視もしとるんか… 」
虹助は、4枚目の写真へ進んだ。
サリアヨ …
私ノヨウナ子供達ハ、儀式ノ度ニ拐ワレテクルノ…
「誰が拐うねん!名前言い!おじちゃんが助けたるから!」
虹助の心にボッと火がついた …
黒イ魔術師ノ手下 …
名前ハ知ラナイノ … ゴメンナサイ …
「違うて、サリアに怒ったんやないで…すまん… 」
アリガトウ… 虹助 …
次ノ子ニモ … 会ッテネ …
「はい、本当にサリア、ごめんな … 黒魔術 … 俺、魔術は使えんで …」
虹助は頁を捲った。
mor - bon - zi … 合言葉ダヨ…
マーカスダヨ… ヨロシクネ …
嘘バカリナンダ …
互イニ見張リアッテ …
誰モ信用出来ナインダ …
秘密ヲ漏ラス事ハ死ヲ意味スルヨ …
「なぁ、マーカス、どないしたら助けられる?」
僕達ノ魂ハ人形ノ中 …
虹助ハ人形ヲ創ッテ …
ソコカラ繋ガッテ行クハズダヨ…
僕達ノ魂ヲ解放シテ …
虹助 … 頑張ッテ、オ願イ…
次ガ呼ンデイルヨ …
「マーカス人形創れば繋がるんやな、ありがとな、ほな次行くわ…」
虹助は最後の写真の頁を捲った。
シャルロットヨ …
私達ノ魂ヲ逃ガシテクレタ人間ハ …
殺サレタノ …
逃ガシテ貰エナケレバ、私達ノ魂ハ咬ミ砕カレテイタ…
デモ、助ケテクレタ人間ハ…
皆、皆、殺サレタノ…
白ハクローン創リニ夢中ヨ…
クローント人間ガ入レ代ワルノ…
人間ノ方ハ死ヌノヨ …
黒ハ血ヲ求メルノ …
今モ、オ腹ガ空クト人間ヲ食べテイル…
魂ハ捧ゲモノ …
黒モ白モ… 地球ヲ支配スル事デ
手ヲ繋イデイルノ … 友愛 …
虹助 … 待ッテイルカラ …
「解った!人形さん沢山創る!だから待っときや!」
6枚目を見終わると人形写真の口元は、どれを見ても動かなくなった。
虹助は本を閉じてローテーブルの上に置いた。
何がどうなるんか解らへんけど…
俺、死ぬ気でやったるわ!
虹助が心の中で誓いを立てると、疲れがド ッと虹助の躰を襲い、気を失うように眠りについた。




