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灯りのあるこの街で (短編集)

適応

作者: 新垣 電燈

「いってきます」

私が2階から降りたときには、父はそう言って家を出るところだった。

父は潜水艦を発車させ、会社に向かっていった。

昔は今より海面が200mほど低く、海底にあるコンクリートの線に沿って車で移動していたらしい。あんな田舎でしか使わない乗り物を都会で使うのが不思議だ。

私はそそくさと朝食を食べ、巡回潜水艦に乗り、学校に向かった。学校の前の駅で降りると、相沢が話しかけてきた。また潜水艦自慢だ。R社の高級潜水艦を持っているからっていつも自慢してくる。

「学校に来るまでに「troops 14」ができて楽しかったよ〜。お前は?あ、そうかお前の潜水艦VRゲームできないんだったな〜ごめんごめん」

私はいつものように無視して学校に入った。まだ話しかけてくる。


昼食の時間だ。このあと水泳の授業があると思うと大好物のアジも美味しく食べられない。アジなだけいい。もしニシンなんかが入っていたら午後から憂鬱になる。


なんとか授業は終わり、家に帰る。水球部が校舎の周りを泳いでいる。よくやるものだ。


家に帰ると、おばあちゃんが弟に昔の話をしていた。

「昔はね、プールっていう小さな水だめがあって、そこに泳ぎにいったのよ」

「え〜?じゃあ泳ぎたいときはそこまで行かなければいけないの?面倒だね〜」


そうこうしている内に夕食だ。やった!今日は大好きな鮭だ!

「お前聞いたぞ、化学のテスト53点だったそうじゃないか」

父さんが発した一言のせいで気分が落ち込む。

「あんなの社会で必要ないじゃん」

そういうことじゃないのは分かっているが、こういう反論しかできない。

「なに言ってるんだ。いまこの世界の空気に含まれている有毒物質が何か分からないようじゃ、VR訪問販売業者とかに騙されるぞ。勉強が嫌な泳げるようにしろ」

耳が痛いので、夕食を食べ終わったらすぐに2階へ上がった。

タブレットの画面を押し、ガスマスクのカタログを見る。今日みっちーがつけていたガスマスクは可愛かったな。あのブランドのは可愛いけど少し高い。もっとコンビニのバイトを頑張らないとな。

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