融合
「な、何⁉︎」
神凪生徒会長と茜は生徒会室を飛び出し音のする方へと走り出す。僕はその後に続いた。
「未來! 嫌な妖気が漂っている!」
今は指輪になっている紅緋が走っている僕に話しかける。
「えっ、あの音は妖魔の仕業なの?」
「どうもそうみたい。戦う準備をしておく方が良いかもしれない」
僕たちが音のした場所に着いて目にしたのは廊下中に張り巡らされた蜘蛛の巣と無数の蜘蛛の妖魔、そして蜘蛛の糸に絡められている沢山の生徒たちの姿だ。
「昨日いた蜘蛛の妖魔か!」
僕の目の前で幾人かの生徒が今にも蜘蛛の妖魔の餌食になろうとしていた。
「止めないと! 紅緋! お願い!」
みんなを助けたかった僕は神凪生徒会長と茜のことを気にも留めずに紅緋を呼び出した。
「未來! 任せて!」
紅緋はすぐさま右手に炎の短剣を持ち蜘蛛の妖魔の中に飛び込んでいく。張り巡らされた蜘蛛の糸の上で軽くステップを踏む様に右に左に飛び跳ねて蜘蛛の妖魔を炎の短剣で倒している。
そうやって蜘蛛の妖魔を倒しているのだけど元々の数が多いせいか減っている感じがしない。
そのうちに紅緋が足元を滑らせた。
「紅緋! 危ない!」
蜘蛛の妖魔に噛まれそうになっている紅緋を見て僕はとっさに近くにあったモップを手に取り蜘蛛の妖魔の頭部に一撃を与える。妖魔は頭部から緑の液体を撒き散らし裏返って動かなくなった。
「未來、ありがとう!」
そうして今度は僕と紅緋の二人で蜘蛛の妖魔を減らし始める。あらかたの妖魔を倒して先に進むと廊下の突き当たりに一際大きな蜘蛛の妖魔が蜘蛛の巣の真ん中で甲高い耳触りな声で鳴いていた。
「よし! こいつを倒せば終わりだ!」
そう言って僕がモップを上段に構え妖に向かって行こうとした僕を紅緋が止める。
「待って! あれを見て!」
紅緋は蜘蛛の妖魔の頭部の方を指差す。それは今までの蜘蛛の妖魔と違い頭部は女生徒の顔で口から三十センチくらいの牙が伸びている。
「えっ! 人……?」
僕はその気味の悪い姿に絶句した。そんな僕の前に紅緋は立ち、少しずつ僕を後ずさりさせる。
「人だけど妖魔と融合してしまっている!」
「どうすればいいの?」
「あたしの能力では彼女を助ける事は出来ない。倒す以外に方法がない」
「じゃあ、彼女はもう助からないの」
「ごめん。……未來」
紅緋は目を伏せ頭を僕の胸に当てる。その間にも女生徒の顔をした蜘蛛の妖魔は僕たちに迫って来ていた。
「ここは私の出番かな?」




