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紅緋

 部屋は前に居た部屋と同じで水晶のような透明な素材で造られ部屋全体がキラキラと輝きを放っている。そんな部屋の中央に紅緋がいる鏡が置かれていた。


「……紅緋」


 僕は鏡の中の紅緋に声をかける。紅緋は後ろ向きに座っていたが僕の声を聞いて驚いた顔で振り返った。


「未來!」

「うん」


 ありったけの笑顔で僕は紅緋に応える。

「どうしてここにいるの?」

「ジョーカーさんに連れてきてもらった」

「そう」

 僕の方を見て話す紅緋はいつもの元気も笑顔も無く哀しげな顔でぽつりぽつりと声を発している。

「紅緋、そこから出て来て一緒に帰ろう!」

「出来ないよ」

「どうして?」

「あたしのせいで色々な人に迷惑をかけたし、ここから出てもたぶんまた迷惑をかける。あたし……自分の気持ちを知ってしまったから……」


 紅緋は自分がいることで他の人に迷惑をかける。それならこのまま鏡の中にいる方が良いんだと思ってるみたいだ。


 だけど!


 紅緋だけが苦しんでいるなんて絶対にいいわけがない! 

 僕はこんな紅緋が見たくて一緒にいたわけでは無いんだから……。


「迷惑かけたなら僕が謝って許して貰ってくる。これからも迷惑かけるなら僕と紅緋が一緒に謝りに行けばいいじゃないか!」

「でも……」

「これは僕の勝手なお願いかもしれないけど、紅緋にはずっと僕のそばで笑顔で居て欲しいと思っているんだ」


 鏡の中の紅緋は目を大きく見開いて、それからゆっくりと柔らかな笑顔に変わり鏡の外へと足を踏み出した。

 鏡から完全に出た紅緋の大きな瞳には大粒の涙が溢れ頬をつたって流れ落ちる。そんな涙を拭いもせずに紅緋は僕の胸に思いっきり飛び込んできた。

「ごめんなさい……あたし……また未來に心配かけた」

「いや、いいんだ。紅緋が元気に戻ってきてくれただけで僕は十分だよ」


 僕の胸で泣いている紅緋をそっと両手で包み込んだ。


「ありがとう」

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