生きている!
朝 私立翡翠高等学園 屋上
僕はゆっくりと目を開けた。
目の前に白くて大きな虎がいて、周りは破壊された屋上の瓦礫が散乱し、その先に神凪生徒会長たちが、そしてその隣で和哉が自力で立てない程の大怪我をして横たわっている。
いったい何が起こったんだ?
そうだ!
紅緋が漆黒にバラバラにされてそれから記憶が無くて……紅緋!
紅緋はどうなったんだ!
そう言えば、さっきこの白い大きな虎が紅緋は生きているって言わなかったけ。
「い、今、紅緋は生きているって言いましたか!」
「そうだ未來。やっと目を覚ましたか」
白虎は僕をひと飲みに出来るくらいの大きな顔を近づけてニヤリと笑った。
「って、え、月白さん?」
「今は白虎ですけどね」
「白虎さん! 僕、記憶の無い
間に起きたこれらの事って……」
未來は瓦礫の山や傷だらけの和哉を見る。
「未來、お前が行ったことだ」
「やっぱりそうですか……和哉! ごめん! 僕は何て詫びればいいか……」
僕は和哉の方を向いて頭を下げた。浅葱に膝枕して貰っている和哉は僕の言葉を聞いて片手を挙げて手をひらひらさせた。そして大きな声を出せない和哉に代わって浅葱が僕に伝える。
「俺は平気だ! 全然気にする必要は無い! と和哉さまはおっしゃています」
僕は和哉の気遣いのおかげでほんの少しだけ安堵出来た。そして今は紅緋の安否が気にかかる。
「紅緋は本当に生きているんですか?」
「そうだ。紅緋の生命の炎はまだ消えてはいない」
「でも、僕の目の前で砕け散ってしまったのに……」
頭の中にあの時の光景がフラッシュバックする。自分の脈拍がどんどん速くなっていく、もう二度と思い出したく無い光景だ。
「落ち着くのだ。未來、あの鏡の中には紅緋は居なかった。だから壊れたのは紅緋の居ないただの鏡だ」
「それじゃあ、紅緋は何処に!」
「それは私にも分からない」
僕の問いに白虎は首を振って答える。紅緋が生きているという喜びと、居場所が分からないという不安が同時に僕の心に溢れてくる。




