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砕け落ちる
その言葉に合わせて人物と紅緋の間に全身が映し出すことの出来るくらいの大きな鏡が出現した。
「紅緋、その鏡に映しだされた姿が今の本当のあなたの姿よ」
僕から見えたのはとても怯えている目の前の紅緋と、鏡の奥にいる天使のように可愛くてでも何故か目に涙を溜めて幸せそうに笑っている紅緋の姿だった。
次の瞬間……。
紅緋が僕の目の前から消え去り……。
「審判」
漆黒の言葉と同時に僕の目の前にある大きな鏡に亀裂が走り始める。
「えっ、な、何? べ、紅緋……?」
そして瞬く間に粉々に砕け地面に無数の破片を散らばらせた。
僕は慌ててその破片を拾い集める。でもその中の何処にも紅緋の姿は無かった。
僕は破片を思いっきり握り締め大声で叫んだ。
「紅緋!」
しかし何の声が返ってくるわけも無く、そのまま僕の意識と心は闇の中に消えていった。




