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精霊界の守護者

 精霊界 ブランシュ宮殿


「人間界はどうですか? 紅緋?」

「はい。妖魔が現れて大変ですけど仲間も出来ましたし、あたしの宿主の未來も優しいので楽しいです」

「そうですか。それは良かったですね」

「はい!」

 紅緋は現状報告の為に精霊界にいったん戻りブランシュ宮殿のアリシアに謁見していた。きっちりと正装をした白髪の老紳士がアリシアの隣から紅緋に尋ねる。

「それで紅緋! その未來という少年は本当に我々にとって味方になるのか? まさか妖魔の側に堕ちるという事はあるまいな!」

「そんなことは絶対にありません! ルルド主席補佐官。あたしがついている限り、未來はあたしが守ります!」

 訝しげな表情で問うルルドに紅緋は必死な面持ちで答えた。

 ルルドはその答えに不満げな様子で再び紅緋に問う。

「それではもしもだ。少年が妖魔側に堕ちた場合にお前は少年を始末することが出来るのか?」


「それは…………」


「ルルド、意地悪な話もそれくらいにしてあげたらどうですか? 紅緋も困った顔してますよ」

 紅緋が答えることが出来ずに困惑しているところをアリシアが助けてくれた。

「ははははっー、これは少し言い過ぎましたかな。歳をとると何かと心配性になりましての」

「いいえ。ルルドがこうして精霊界を守ってくれているので精霊たちも安心して生活していけるのですよ。感謝しています」

「まことに有難きお言葉。それでは私は仕事に戻らさせて頂きます」

 ルルドは答えると深々と一礼して憮然とした表情で退室していった。

 そんなルルドの姿を見送った後、アリシアは紅緋に優しい笑顔を見せた。

「紅緋」

「はい」

「ルルドの言ったことは気にしなくても良いんですよ」

「え、でも…………」

「確かにルルドの言ったことは精霊界を守るという意味では重要な事だと思います。しかし、妖魔界側が人間界に再び侵攻を始めた今、精霊界だけが守られればいいという訳にはいかなくなったのです」

 紅緋はアリシアの真剣な眼差しを見つめる。

「…………だから」

 そう言ってアリシアはいつもの優しい笑みを浮かべた。

「紅緋は自分の思った正義を貫きなさい。そしてそれが精霊界、人間界、妖魔界の人々の幸せに繋がるのならルルドが考える道と少々進む道が違ってもいいのではないかと思います」




 精霊界 ブランシュ宮殿 主席補佐官室


「それでどうでしたか?」

 全身黒ずくめでフードを被っている漆黒が苛立った様子で扉から入ってきたルルドに聞く。

「どうもこうも、わしにはアリシア様のお考えがさっぱりわからん!」

 白髪の老紳士は執務用の机の椅子を引きどっかと腰を落として溜息をつく。

「何故に紅緋をあの少年のところに行かせたのか? あの少年は何者なのか?」

 厳しい顔を見せるルルドに漆黒はしっかりとした声で告げる。

「ルルド様! 私は紅緋をこのまま人間界に置いておくのはどうかと思います。あの未來という少年により一層惹かれていくことは明白です」

 漆黒はきっぱりと言い切った。ルルドはそんな漆黒の言葉に気を良くしたのか口角を上げる。

「漆黒、お前も子供の頃から苦労したものな。二人に三界のルールを破るような事がある場合には…………」

「……わかっています」

 漆黒は氷のような冷たい声で返す。

「精霊界、人間界、妖魔界、相互不可侵は古くからのルールです。それを守るのが精霊界の守護者としての私の務めですから」

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