和哉の能力
「ねぇ、紅緋」
僕はみんなに聞こえない様な小声で指輪になっている紅緋に話しかけた。
「ん? なに、未來?」
「和哉のことなんだけど」
「うん」
「鞄の中に銃を持っていたり、変な呪文みたいなのを言ってみたり、何かおかしくない?」
僕は机に肘をついて頬づえにして溜息をついた。そんな僕の様子を見て紅緋は笑いながら話す。
「んーと、未來は和哉の何に対しておかしいと思うんだ?」
「それは……」
「不思議な能力を使う事? それとも自分が知らない和哉が存在する事?」
紅緋の問いに僕は答えを探した。
僕がおかしいと思うのは和哉が不思議な能力を使うを使うからなのか?
いや違う!
どんな能力を使おうが和哉は和哉だ。それじゃあ自分の知らない和哉が存在したからなのか?
……たぶんそうなんだと思う。
和哉とは中学の入学式に仲良くなってからずっと親友としてつき合っている。そんな和哉に精霊が宿っていて、あんな特殊能力まで使えるなんて僕は全然知らなかった。あれほど一緒にいたのに気づきもしなかった自分にも腹立たしい。
そして何より僕がおかしいと言った言葉は和哉に対してではなく、そんな和哉とこの後どう接したらいいか迷っている馬鹿な自分に対して発せられたものだと気づいた。
「それで未來はどうするんだ?」
「そんなの決まっているよ。和哉は僕の親友だ。和哉自身の事に関してもいつか話してくれると思う」
僕は迷いを吹っ切る為にハッキリと言葉に出して紅緋に答えた。
「うん! それでこそ未來だ! 悩むことは大切だけど未來には似合わないからね」
紅緋はいっそう大きく笑いながら話す。
「うぅっ、なんか紅緋、偉そうだぁ〜」
「そうかな?」
「そうだよ!」
「えへへ〜、あっ、そうだ! えーと、えーと、未來にお願いがあるんだけど……」
「なに?」
「今日も学校が終わったら一緒に歩いて帰っていいかな?」
「うん。いいよ」
「やった!」
紅緋の嬉しそうな声が僕には心地よく響いた。




