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お風呂トーク

 夜 新邸 風呂場


 僕は湯船に肩までつかり頭を湯船の縁に乗せお風呂の天井を見上げ、昨日からの事を思い返してみる。


「夢じゃないんだよなぁ」


 僕の右手の中指には今も紅色の指輪がはめられている。

 湯船のお湯が蒸発し湯気となって揺らめく様をぼーっと眺めているとその指輪から声がした。


「未來、今、いいか?」

「えっ! な、なに⁉︎」


 紅緋はそう言うと本来の姿に戻り湯船の水面の少し上からダイブする。


「うわっ〜! な、何するんだよ!」


 紅緋がダイブしたおかげで水面が盛り上がり僕の顔に大量の水が掛かった。


「あははは、ごめんごめん」


 紅緋は楽しそうに笑っている。僕はそんな紅緋の姿を見て目のやり場に困った。紅緋はいつもの衣服を着ていなくて紅色のビキニを着ていたからだ。

 紅緋は肌が透き通るように真っ白で、細身ながら胸もこじんまりとはしているが出ているし、腰のラインは鍛えられているのかしっかりと絞られて、お尻も小さめだが可愛く膨らんでいる。


「えーと、本当は全裸で入らなきゃいけないんだよね。分かっているんだけど恥ずかしくって水着でごめんね」


 紅緋は下を向いて真っ赤な顔をして言った。


「いや、ごめんねじゃなくて、水着の女の子と一緒にお風呂に入るだけでも僕にとっては十分にドキドキするイベントだよ!」

「未來、あたしを見てドキドキしてくれるの?」

「う、うん。……っていうかどうして今出て来たの?」

「それは……精霊界の学校でこの世界の事を学んだ時に、お風呂っていうお湯のいっぱい溜めた中に着物を全て脱いで入る国があるって聞いて一度は入ってみたいって思っていたの」

「へーっ、精霊界にも学校があるんだ」


 僕と紅緋は湯船の中で向かい合って座り話しを続けた。


「そうだよ。あたしは同学年の中では結構優秀な方だったんだよ」

「そうなんだ」

「でもね、中々こちらの世界に来ることは許可されなかった」

「どうして?」

「先生たちが言うにはあたしは純粋過ぎるんだって」


 そう言いながら紅緋は手でお湯をすくって湯船の上で指の隙間からお湯の落ちる様子を楽しんでいる。


「あの生徒会長も言っていたけど、あたしたち精霊は幼少期の人に宿る。でも、どんなに幼少期に心が澄んでいても成長する度に心は汚れていく」

「それはしょうがない部分もあるんじゃないかな生きていく上で色々な経験もするだろうし」

「先生たちの言うにはそのしょうがない部分があたしを苦しめるだろうからこちらの世界に来ることを許可しなかったんだって」


 今度はタオルに空気を入れ湯船に沈ませぶくぶく気泡を出して遊んでいる。


「だから、あたしは他の同級生たちが先にこの世界に来て活躍している姿を精霊界で見ているだけの落ちこぼれだった」

「落ちこぼれって、優秀だったんだよね?」

「うん。優秀な落ちこぼれ」

 紅緋はくすくす笑いながら答える。

「でもいいんだ。こうして未來に会えたから」


 そして紅緋はひとしきり湯船で遊んだ。


「あー、面白かった! それじゃあ、そろそろ戻るね」


 そう言って指輪に戻っていった。


 優秀な落ちこぼれ……か。


 僕は指輪に戻っている紅緋を見ながら思う。

 僕と会えた事を喜んでくれる紅緋に僕は何を返してあげられるのかを………………。

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