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勇者になれなかった俺は第三勢力として魔王勇者狩りを始めました  作者: 終焉の焔
勇者になれなかった男の初めての異世界生活
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勇者召喚の日ー4 麻袋の中身と王宮の衝撃。

そう宣言した将は自分で自分を笑いながらそのまま、地面に座り込んだ。

さっきから笑いまくりである。明日、腹筋が筋肉痛になるのは必至だ。


しばらく何んともない空を見上げボケーっとしていた将だったが麻袋の存在を思い出した。

そして背に背負っていたそれを前に回し、その口を開いた。


麻袋の中には

ポーション(HP専用)×5

ポーション(MP専用)×5

生活キット1ヶ月分。

(かね)、1000スルト(金貨1000枚)


生活には困らない程度を超えた物品が入っており取り敢えず将は安堵の息を吐いた。

しかし、これだけの物品が揃っていても宿無しはきつい。そう思い将は生活の拠点を探す為歩き出した。





首都オーディン。

そこの中央にあるのは度重なる勝利に私腹を肥やした貴族達が巣食う王城だ。


その華美な空気に満ちた廊下を一人、選抜が終わり、ひと段落したリースはふいに足を止めた。


その彼女の華奢な身体を押し潰すかのような威圧を誇る強大な魔力を感じたからだ。

ドス黒く、それでいて正義や優しさなども感じられるカオスな魔力にリースは綺麗に整った顔を少し歪ました。


だが、直ぐに自分のやるべき事を思い出し王の元へと急いだ。



王政議会。

それは月一回開かれる定例会議だ。

今日も堕落しきった者達が集いダラダラといつもと同じようなことを儀礼的に永延と続けている。

その中で一人、この不真面目な貴族どもに苛立っていたリースは早く事が終わるのをただ望んでいる。


「えーと…次は…魔導師長」


そう王は締まりのない声で言うと一人の男が壇上に上がった。


その白銀の髪は銀世界の様に広く美しく、そして整った顔立ちは気高く、その瞳には鋭さが見受けられる。そんな世に言うイケメンで勝ち組な彼は魔導師長のクーペ・ファウンド・ヴァイスだ。

歴史あるヴァイス家の現当主で、少年の頃から非凡なる魔術の才能を発揮し没落していた家を一代で復興させた。そんな彼だが、実は重度のロリコンである。


「最上位魔法の発動確認について報告致します。今日の午前10刻ほど、フーガの森にて強力な魔力を感知しました。それは最上位魔法を発動した時に消費する魔力量と同程度で我々魔導師は最上位魔法であるとして調査を進めています。以上です」


そのクーペの報告にそこに列席していた者達にどよめきが広まった。口々に何かを言っているがそれはただの雑音にしか聞こえない。


「静まれ、皆の者」


そう王が静止するとどよめきは止んだ。


「つまり、クーペは300年ぶりに最上位魔法が発動されたというのか?」

「ええ、その通りで御座います、陛下」

「あの伝説の勇者…リーズライトが発動したと言われる最強の魔法…そんなレベル物を扱える者がいるのか?」

「さあ、(わたくし)でさえ特位魔法までしか発動できませんので…ああ、そうだ、リース。君、今日、勇者召喚の儀式を執り行ったそうだね。どうだったのだ?」

「え…いえ、別に勇者として選んだ者達(・・)は体術と剣術を戦闘スタイルにしておりますのでとてもその様な魔法が発動できる者など…」

「そうか…」


王は落胆の表情を見せた。

それもそのはずだ。この王はただ、自分の名誉と繁栄しか求めていない。その為には類稀なる強さを持った者が必要なのだ。ーー今の人類の劣勢を一瞬で覆してしまうそんな強さをーーそう将のような。


「陛下。私にこの件の調査をお任せください。さすれば必ず陛下の元に最強の魔導師をお連れしましょう」

「勿論だ。期待しておるぞ」

「はっ」


その時、恭しくひざまずくクーペの瞳には剣呑な煌めきが宿っていた。



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