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勇者になれなかった俺は第三勢力として魔王勇者狩りを始めました  作者: 終焉の焔
勇者になれなかった男の初めての異世界生活
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勇者召喚の日ー3 試験不合格とスライムとの戦闘。

「では…試験開始だ」

そうリースが言うと将の前に水弾が発生した。


数、大きさ共に歌織の時と同じだ。

そして動きまでそっくりそのままに近づいてくる。


いける!

見える、見えるぞ、敵の動きが!

そうどっかの大佐のような事を心の中で叫びながら将は身構えた。


まずは右上。

これは左によければいいはず!


そう身体を逸らしたが圧倒的に遅い。

そうしてなにもできないまま水弾が直撃した。

その反射神経皆無な動きにギャラリーも目が点である。


ーそう将は主人公としてはあるまじき運動神経の悪さだったのだ。


一発が当たるとそこから体勢を整えることは神業に等しい。

そんな芸当を将がなんかができる筈もなく残りの全ての水弾が直撃した。


最後の水弾をその身で受け止め終わると将は床に倒れこんだ。

その雄姿の無さに弥生、歌織を除く一同は笑いを禁じることができなかった。


勇者候補達の笑い声がひしめき将の心が潰れかけていた頃、リースは口を開いた。


「お前は試験不合格だ。さっさとこれを持って立ち去れ」


そう一つの麻袋を投げつけられた。

将はそれを受け取ると羞恥心と憤慨を振り切る為さっさとこの場を立ち去ろうとよろよろと立ち上がる。


「龍王谷くん、大丈夫?」


そう弥生が近付いても将の頭には何も返す言葉が浮かばなかった。


「うん、後は頑張って。俺の分も」


そうやっと紡げた言葉を弥生にかけながら将は歩き出す。


「歌織もな」


そう将は振り返らず手を力無く振ると祭壇の間を後にした。

その後、弥生や歌織に戦意が失われたのは言うまでもなかった。



羞恥心なんてものはもうとっくに消え去り憤慨だけが残った将は森を歩いていた。

この森は祭壇の間へと続く洞穴からでた所にあり、街を探すためには絶対に通らなければならないわけだ。


「はあ、あいつら…本当に腹たつな…馬鹿にしやがって…」


そう将は独り愚痴りながら森の外縁を進んでいた。


平和な世界の縮図のようなその森は異世界とは思えないほど長閑で鳥の囀りさえも聞こえている。

その森の新緑は陽の光を受けとめ各々が存在を主張しているかのようにキラリキラリと光輝いている。

その翠の中に、ポツンと一つだけの青を発見して将は歩みを止めた。


スライムが現れた。

敵は明らかにこちらに敵意を向けている。


これならば勝てる。そう将は意気込んだ。


みていろ、こんぐらいの敵だったら俺にだって…


そう今にも飛びかかろうとした所で目の前に空間ウィンドウが開いた。


異世界の癖に近代的だな…

そう心で突っ込みながらも将はそこに表示された文字を目で追った。


ー戦闘を開始しますか? YES or NOー


そんなのYESに決まってんだろー

そう心の中で叫ぶと勝手にYESが選択された。


その瞬間森一帯を囲んだフィールドが形成される。

このぐらいの敵に大層な物だとも思いながら、将はスライムに飛び掛った。


ーーが、後一歩という所でかわされてしまう。そして反抗に転じられる。


スライムの攻撃 体当たり。

それは見事、将に命中したが効果はない。


っく、さすが、こうゆう系のキャラって雑魚い。

そう調子に乗りながらも再び攻撃に出る…が、当たらない。


それを数回繰り返した所で将の怒りのゲージはMAXまで溜まった。


ーーこいつ…おちょくりよって…もう許さん…魔法とかないのか⁉︎


ーー魔法の発動。 発動する魔法を選択して下さい。


そう再び空間ウィンドウが現れた。


あるではないかと将はそれをスクロールするが何が何かはさっぱりわからず…

致し方なく名前がカッコイイという理由で『反逆粛清の業火』(ザ・ブロークン・グローリー)という物を選んだ。


ーー魔法を発動しますか? YES or NOー


迷うことなくYESを選択した将の足元に紅いの魔法陣が展開される。


ーー俺を馬鹿にした事を後悔させてやる…消え去れ!

将はそうスライムに全神経を注いだ。


するとはるか上空に先程の水弾を遥かに超える巨大さ誇る炎弾が出現した。

そしてそれはスライム目掛け降り注ぐと、巨大な火球を現出させた。


強い爆風が将を急襲する。将はそれを腕で顔をブロックする様になんとか防ぎきった。

爆煙が立ち込めスライムの姿は見えない。

その爆煙は徐々に晴れていくと炎弾落下地点の全容が見えた。


スライムは確かに倒せた。

倒せたのだが……


そのスライムがいたと思しき所は森の半分程と共に大きくえぐられていた。

そしてその破壊力にポカンとしている将の前に一つの空間ウィンドウが開いた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

LEVEL UP

LEVEL 1 →99

HP 99999 →99999

攻撃力 99999 →99999

防御力 99999 →99999

魔法攻撃力 99999 →99999

魔法防御力 99999 →99999

MP 99999 →99999


*カンスト限界突破の為表示されているステータスは本来と異なります。

ーーーーーーーーーーー

スキル

経験値増加 LEVEL99 戦闘による経験値は100倍される。


HP・MP自動回復 LEVEL99 1分毎に HP・MPを10000自動回復。


運動音痴 LEVEL99 肉弾攻撃はすべてダメージ無効。


天才 LEVEL99 魔法攻撃、防御力は常時100倍される。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「何これ?」


そう将は空間ウィンドウを一瞥すると呟いた。


どーゆう事?これってまさか……ステータス!


そう長い時間をかけてようやく将は気付いた。


「ぱぱぱぱぱ…ぱねーっす!マジぱねーっす!なんだ、俺最強だったんじゃねいか?」


そう、全ての値がカンストを超えているなど常人にはいるはずもない。

ただ、運動音痴の塊である将にチート能力を付与したらどうなるかという神の戯れからなのだ。

因みにレベルが地味にとんでもなく上がっているのはこの森にたまたまスライムの群れが集まっておりそいつらがさっきの爆風に巻き込まれたからだ。


自分のステータスについて俯き考えた将はふいに顔を上げると嗤い始めた。

一人で笑っているわけでこれを村人が目撃していたら村で変な目で見られていたのは必至だっただろう。ただ、その前に、魔法で腰を抜かしているか死んでいただろうが…


「フッフッフハハハハハ…奴らめ…よくも俺を笑ってくれたな…勇者になった奴…は俺が殺す」


しかし、その復讐を考えていると、ふと自己険悪に陥った。もっと早く陥るべきである。


これでは俺はただ勇者を殺した悪役になってしまうじゃないか…

そんな事俺のプライドが許さない!そうだ、勇者の使命を俺が果たしたらいいんだ。

よし、魔王を倒そう。アクションは苦手だが魔法があれば勝てる!


そう将は心に一つの決心を焼き付けた。


「俺はここに宣言する!俺を嗤った虫けらに復讐をする為、人類の英雄となる為、勇者と魔王を狩る!」


そう虚しい荒野とかした森に一人の最強の男の声が響いた。



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