花見の話をしよう
「日本人の桜好きは異常」
「宗像課長、お酒は飲めませんので、ノンアルコールで雰囲気だけでも」
「あぁ、わざわざありがとう。えっとちょっと待ってね。」
「お金なんていいですよ。私が勝手にやってるだけですから
遥は近くのコンビニで買ってきた缶を渡すと、鉄平は財布を取り出す。
「そういうわけにはいかないよ。部下の女の子に奢ってもらったなんて、」
「そんなの私全然気にしませんから、」
「僕が気にするの、でもま、こんなものじゃないと出せないけどね。」
遥はいやいやながら、徹平から千円を受け取る。
「あれ?無視?」
「綺麗ですね。」
「そうだね、皆と一緒に行けなかったけど、この公園の桜で十分だね。夜桜、ね。近所にこんなところがあったなんてよく知ってたね。」
「私いつもこっちから帰ってますから。あ、よかったら、どうぞ」
遥はお菓子の口を大きく開け鉄平の方へ向ける。
「おれ、うすしおがいい、」
「、、、うるさい、あんたはちゃっちゃと仕事終わらせなさい!だいたい誰のせいでこんなことになっていると思ってんの!」
「クライアントのせい、ちゃんと人の話聞いてなかったし、俺の警告メールも無視したから、」
「言い訳しないの確認しなかったあんたが悪いでしょうが、」
「ちゃんとメールしたって言ってるでしょ」
「重要なことは直接電話するのが当たり前でしょうが、自分のミスを言い訳しない。」
「そもそも、そんな重要なことでもないし、あっちが勝手に騒ぎ立ててるでけで、そもそも、ミスじゃないからね。感性の問題。俺の作ったほうが今は主流だからな。」
「あー、もー、イライラする。」
「銀、ちゃんと意思の疎通ができているか確認をしなかった俺も悪かったが、今回はお前がちゃんと確認をしていれば済んだ話だ、ここまで大きくなることもなかった。
問題はお前のその態度だ。今回は完全にお前が悪い。反省すべきは反省しろ。
じゃないと俺も面倒見きれんぞ。プライドや自分のやり方の前に当たり前のことをできなかった事、謝る前に言い訳をしたこと、それを反省しろ。」
「だから俺は悪くないでしょ。」
「バカが、いい加減にしなさい。あなたが悪くないっていくら行ったとろこでなんにもならないでしょうが、別に課長も、あなたのプログラムが間違ってたとは言ってないでしょ。
確認作業が甘かったそう言ってるだけでしょうが、
次からちゃんとやりなさしそれだけの話、わかった?」
「わからないけど、分かった。で、いいすよ」
「はぁ、全くあんたは、」
「だいたい別に古賀さんは花見に言っても良かったでしょうが、」
「それはその、、」
「お前のことが心配で残ってくれてたんだそんな態度はないんじゃないか?それにほら、ちゃんとお前の分も、」
そう言ってコンビニの袋から焼きプリンを取り出す。
「さすが姉さん。その男気に惚れますわ。」
「男じゃない!」
別に残ったのは銀のためではなく、鉄平が行かないなら、行く意味はないし、それ以前他の人と会話をできる自信がない。
「とりあえず、仕事終わってからよ。」
「ふふふ、俺を誰だと思ってるんですか、既に完了していますよ、それこそ、この公園に着いた時点でほぼ完了ですよ。あとは明日の向こうの返答待ちです」
「だったら、花見行けたんじゃん」
「だって面倒じゃん、酒臭いの嫌だし、何より、俺見たいテレビあるし、」
「計画的なわけ、、」
「俺を誰だと思ってるんですか!」
「銀、頭出せ、」
珍しく鉄平が本気で頭をどつく。
「ったいな、殴られた不条理だ、暴力反対!」
「サボる口実に残業を利用するな。全く、気分を変えるために外がいいとか言い出すから何かと思えば、」
「ふぉんと、最低ですね、」
「あ、俺のプリン!」
「別にあなたのだなんて言ってないでしょ、私たちを騙したバツよ。あんたはそれでも食ってなさい。」
遥は銀に柿ピーを渡す。
「俺、柿ピーの意味がわからない人ですよ。ピーだけでいいじゃないですか」
「知ってるわよ。だからそれよ、」
「ひでぇ、この外道が、、、」
「うるさい、本気でひっぱたくわよ」
目が本気のため、急に銀はおとなしくなった。
「でも、終わっているならどうする?今からでも行くか?」
「反対!」
「お前には聞いてない、古賀さんどうする?」
「、、、課長はどっちが?」
「俺はどっちでもいいよ、行かないなら早く帰るし、行くなら行くで、」
「それじゃ、もう少しここで花見をしてから帰りましょうか?私、絡み酒苦手で」
「酒注ぐのとかも意味わかんないしな」
「あんた一回もしたことないでしょ」
「それはそうだけど、見てて不快なんだよ。飲みたきゃ自分で注げや、ドカスがって感じだし、なにあれ、マジ意味わかんない。」
「本当は俺がそういうところ教育しなくちゃいけないだろうけど、」
「は?絶対聞きませんからね!」
「まぁ、いいんじゃないですか、損するのは本人だし、そこらへんは私がフォローできますから。」
「悪いね、いつも苦労ばかりかけて」
「いいえ、課長にばかり負担をかけられませんから、」
勝手に親密感と頼りにされている感を感じる遥
結局このまま3人で花見をして帰ることに
「ところで、銀お前最初花見がどうとか言ってなかったっけ?」
「あ、そうだ忘れるところでした、日本人の花見好きは異常ということですよ!」
「お前嫌いなのか?」
「どうせあれでしょ、TVで見ればいいとかゲームの中でいいとか」
「なんかそれが悪いみたいな言い方っすね。いや、花見自体は好きですよ。俺も日本人ですからね、桜に対して特別な感情はあるわけですよ。この国に生まれた特権というか、こういう夜桜の綺麗さはさすがに生に限りますよ。」
「じゃあ、話はそれで終わりでいいか?」
「いやいや、そうじゃなくて、なんで花見って言ったら桜なのかっていうことですよ。別にほかにもあるでしょう、でも桜だけ別格でそれこそこうして会社のイベで発生するレベルですよ。それこそほかの花でもあってもいいんじゃないかってことですよ。」
「あるよな、別に」
「えぇ、ありますね。」
「え!あるの!」
「それこそ、ここだと、も少ししたら、藤棚だとかも綺麗だし、それに紅葉も、少し離れればチューリップだって」
「田んぼに生えてる蓮華とかも綺麗ですし、うちの地元だとツツジもいいですよ。」
「それはピクニックだろ!花見ですよ!花見!紅葉は、ちょっとありかと思ったけど、花じゃないから却下で!」
「それはあれだろ、やっぱりその桜っていうものに特別な思い入れがあるから」
「差別だ!」
「お前だって特別だっつってたじゃねぇか」
「それ以前にあれよ、どこでも見れるし、こうして一面花で埋め尽くされるのが桜なだけよ。それこそほかの花だって同じように咲いていれば違っているでしょうけど、昔からこの国の人が、桜を愛して、品種改良をして、こうして日本全国に誰でも見れるようにって守って育ててきたから、今はこうして会社の近くの公園だって、帰り道の川沿いでだって、いたるところで見れるわけよ。」
「あぁ、確かに、山で山頂付近だけピンク色になってたら、山を切り開いて強引に宗教施設作って、植えたんだって気がしますもんね。」
「なんか言い方に悪意があるな、でもま、神社や寺の桜はまた、特別ないいものがあるよな。」
「そうですね、石階段の両方を桜が埋め尽くしてると神秘性が増しますし、鳥居の朱色に桜の色は生えますものね、あれはかなりファンタジーな感じですね。」
「おぉ、少しデザイナーぽいことを、」
「ちなみに桜の花見じゃなかったら何がいいんだよ。」
「いや、何って言われても、、」
「なによ考えてないの、それ以前にあなたどれだけ花の名前を知ってるわけ?向日葵、朝顔程度でしょ。」
「ちゃんと知ってるわ。例えば、ポピーはケシ科の植物、百日紅とかいて、さるすべり」
「お前、絶対マンガかなんかの知識だろ、、」
「、、、、まぁ、花見は桜に限るということで、今度チャリで花見行きましょ、、」
「今度って、今週末が見頃だぞ、」
「じゃあ、今週行きましょ。」
「俺自転車持ってないぞ。それに今週は妻と花見に行く予定だ。」
「うわ、愛妻家、あ、だったら俺弁当つくりますよ。何がいいですか?」
「ついてくる気か?」
「冗談ですよ、もっとちゃんと嫌がってくれないとダメでしょ。」
妻と一緒に花見、そう聞いた遥は幸せそうな鉄平を見て嬉しく思いが、どこか寂しくも感じていた。