序章
「……今何て言った?」
「……」
「ゆかり!!」
悠、怒ってる。
当然だよね。
「私、悠とは付き合えない」
「何でだよ!」
「理由はない」
私は、これ以上は何かを口走りそうだから逃げるように去って行った。
その時、その光景を見ている彼女がいた。
これでいいんだよね。
これで満足なんでしょ!?
でも私は辻本彩夏には負けないから。
覚悟してなさいよ。
これも全て悠奈のためだもん。
悠奈はどんな人よりも私には大切な友達だから、比べられない。
そして私たちが別れてから二ヶ月後。
辻本グループと仲川グループが手を組んだことが発表された。
そんなある日。
私のマンションに誰かがやってきた。
「おじさん?」
「ゆかりちゃん。夜遅くにすまないね」
やってきたのは、悠のお父さんだった。
「おじさん上がって下さい」
「では、お邪魔するよ」
「おじさん、急にどうしたの?」
「悠吾とのことだが……」
「そのことはいいんです。だって仕方ないんですから」
「すまない。私が……」
おじさんは私に頭下げてきた。
悠とのことは仕方ないのに。
「おじさんのせいじゃないよ。……おじさん、私言えなかった。悠が嫌いって……。悠とは付き合えないって言ったの。こんな言い方したら悠に未練が残るのわかっていたのに」
「それがゆかりちゃんだからな。ゆかりちゃん、少し待っててくれないかい?」
それから2年後。
私は大学を卒業し、悠が社長をする会社に就職した。