怒ってるぅぅ？
《登場人物紹介》
【楓】
天女見習い
10代の天才 くのいち天女 香徠忍者
普段は強気だが、いざ恋愛となると、『超うぶ』 に変貌してしまう。
幼なじみの秀を追って、偶然天女になった。
夢獣は、マンチカンの『きなこ』
【もねか】
version1
大きな垂れ耳がチャームポイントの雪うさぎの獣天女
いつも大好きな人参をくわえている
なまった方言で話す癒し系
かなり、おっとりとした性格
今を全力で生きる現在進行形少女
【だいこん役者＆提灯アンコール】
天上界ピュアアイドルフェスティバルの司会者コ ンビ
滑舌の良いだいこんと毒舌のちょうちんアンコウの絶妙コンビ
【黒奈】
version1
カラスの獣天幼女
カラスのフードを被っている漆黒の天幼女
【牛五郎】
version2
牛の獣天人
「パワーこそ正義」の筋肉モリモリマッスルマン
金ピカの花輪がお気に入り
【濡れ髪のイルス】
version2の黒髪の看護師天女
濡れ髪のセクシーな白衣の天使？ 大きな注射器を愛用している。実は、その注射器の中身は、仲間に役立つバフ剤とか·····？ 超優秀バフ係
才子(男)達は、彼女に夢中になっている。
【あっあ】
version3 討伐魔数ゼロの不殺生。
神秘の黄金ボディのウーパールーパー獣天女。
彼女に気に入って貰えた者には、幸運が舞い降りてくるらしい。
楓を凄く気に入っているみたい。
【堅田 滝】
超イケメンの超絶勘違い野郎天人
夢獣 コンチネンタル•クリップカットのプードルの『うみ』と共に、才女、天女を魅力する神通力 『魅力』の使い手
【秀】
忍者達の故郷 『香徠の里』で幼い頃から楓と共に、育った少年。
ドンくさくて、落ちこぼれの忍者だったが、人一倍、純な心の持ち主。
相棒のパピヨン犬『アゲハ』と共に、己の使命を探し求める。
そんな不器用な彼だったが、実は、楓が密かに想いを寄せている。
「は、早くぅ、観客席へ戻らなきゃ！ もねかに怒られちゃうよぉーーー」
「楓ちゃんって、色々忙しい子だねぇ～♪」
秀の無事が、確認出来たあたしは、イルスさんに秀の事を任せて、医務室の扉を勢いよく押し出し、飛び出そうとした。
「楓ちゃん！ これをお友達に持って行きなさいよ～♪」
と、イルスさんは、一束の人参をあたしに投げてきたの。
それをナイスキャッチしたあたしは、
「こ、これは？イルスさん」
「それは、天上界産の最上級人参『にんじく』さ♪ きっと、それでご機嫌ななめのお友達もひところさ」
「あ、ありがとう！イルスさん」
濡れた黒髪を揺らしながら、ウインクとグッドサインで色気ただよるイルスさんに、お礼を言って、あたしは、医務室を後にした。
「はぁはぁはぁはぁ、もねかぁぁぁぁー 怒ってるかなぁ～？」
あたしは、何度もつまづきながら雲の階段を駆け上がり、観客席入り口まで戻ってきた。
「はぁはぁはぁ～～！ あっ、いた！」
あたしは息を切らしながら、観客席の中から、もねかのチャームポイントの白い大きな耳の小柄な天女を探し出した。
恐る恐る、その背後へと迫るあたし。
その背中は、いつもみていたもねかのそれとは、違う雰囲気が漂っていたわ！
「ゴックン！」
息を飲み込んだあたしは、遂にその小柄な白い着物の背中までたどり着いたのだった。
ドキドキドキドキ·····
「も、もねか、ごめんなさい！あ、あたしね」
と、声をかけると、その白い大きな兎耳を舞い上がらせながらもねかは、振り向いた。
···············？
笑顔で人参を食べているもねかの表情が見えた。
「おかえりっち♪ かえちゃん」
···············？？？
予想外の展開に目が点になる楓。
「ごめんね、もねか！怒ってる？」
恐る恐るもねかに、あたしは尋ねたのだった。
すると、もねかは、人参を口から放し、こう語ったのだった。
「かえちゃんも、ていへんだったべさね！ あんなゲス男に言い寄られてんねぇー、わっちだたら、自慢のハイキックをお見舞いだけんよぉー キャハハハー♪」
その返答内容は、状況を把握出来ていたみたいだった。
「あれ？ もねかは、神通力『魅了』にかかんなかったの？」
「あ、あれかぁ～♪ わっちは、あの男に全く興味がなかねぇさ～から、『魅了』には、かかんなかったべぇさぁ～♪」
全く持って、興味有り無しの態度が違い過ぎる、もねからしい回答が返ってきたわ。
それに、ほっとしたあたしは、先程、イルスさんにお詫びの品に持たされた『にんじく』をもねかに差し出した。
「あっもねか、これ食べる？ 医務室のイルスさんからもらったの」
！！！
「はぁはぁはぁはぁ～♪ それは····· 天上界産最上級人参『にんじく』だべさ！！！」
その人参を見るやいなや、鼻息が荒くなり、我を忘れてしまった様な形相の、もねかがそこには、存在していた。
「こ、これって理性が飛んでないぃ？ きゃあぁぁぁー！」
あたしともねかが、観客席でじゃれあっている間に、本日、最後の出場者の名前が、司会者のだいこん役者によってコールされたのだった。
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