表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
61/80

61話:ダンジョン攻略③

 ダンジョンの道をどんどん進んでいく一行。

 道中なんどかアンデッドが出たが、テティスとシーリーとひかりの前では敵ではなかった。イストは《サーチ》役なので、基本戦闘には参加していない。


 テティスは、やはり素手戦闘を得意としていた。

 現れたアンデッドモンスターを、拳で粉砕していく。

 武器も魔法も使わずに、よくやるものだなぁとひかりは思った。


 ついでに罠への反応も手慣れていた。

 落とし穴などの設置型の罠は事前に察知し、魔法の罠は踏んでも効果がない。


 モンスターも罠も何も脅威にならず、一同は順調に奥へ進んでいった。


「お! 《サーチ》に反応あり! 人間だ!」

「おお!」


 ダンジョンのかなり奥深くまでやってきた頃、イストがそう声を上げた。

 推定、生存者を見つけたらしい。


「3人いる?」

「いや、一人だけだな。はぐれたのか、もしくは悪い想像が当たってるのか……」

「とにかく、助けよう!」

「意気込みはいいんですけど、私の後ろにいてくださいね」


 方角は、左手側。

 そこそこの距離を、テティスを先頭に、罠に気を払いながら歩いていく。

 ややあって目的の部屋へと辿り着いた、のだが。


「鉄の扉だ……」

「あと、《サーチ》に引っかかってるの、人間だけじゃないな。中に、でかいアンデッドがいるっぽい」


 目的地は、鉄の扉に阻まれていた。

 さらに、中には人間だけではなく、アンデッドもいるらしい。さらにでかいと。

 アンデッドはともかく、鉄でできた扉は如何ともし難かった。


「ちょっと離れててください」


 と思ったのだが。

 テティスは三人を離れさせると、何度か深呼吸をして、集中、その後、一瞬で動いた。


「ふっ!」


 ドゴオオオン!!


 と、鉄の扉が吹き飛ぶ。

 テティスが一瞬で扉に近寄って掌底を放ち、鉄の扉をぶち抜いたのだった。


(み、見えなかった……)


 あくまで掌底を撃った後のポーズをしているのだからそう想像できるのであって、動きそのものは瞬きよりも早かった。

 そして当たり前のように、鉄の扉を破った。それも素手で。

 これが1級冒険者の力なのかと、ひかりは戦慄した。


「テテさん、すごーい!」

「鉄ぶち抜くってどんな力してんだ……」

「力じゃないです。気です」


 シーリーとイストの話に、ふぅと息をついて答えるテティス。

 改めて見ると、見た目は細い。よく見ればしなやかな筋肉があるにはあったが、それにしたって細腕だった。


「気?」

「正しくは練気と言います。特殊な呼吸法で身体能力を底上げしているのです」


 ひかりの質問に、テティスはそう答えた。

 彼女の使っているのは魔法ではなく、練気。話によれば、呼吸法で力を発揮するらしい。

 魔法抜きでそこまでできるのは素直にすごいと思ったが、テティスは話を打ち切った。


「それより、救助とアンデッド戦です。油断せぬように」


 鉄扉の向こうは、広大な部屋が広がっていた。

 暗く、じめじめとした、陰鬱な部屋。

 そこに、二つの影があった。


 一つは、冒険者らしい服を着た、少女の姿。すっかりやつれて、目の下には隈ができ、今にも倒れてしまいそうだ。

 その少女は、助けに来た一行を見て、信じられないように目を潤ませた。


 そしてもう一つは、嫌でも目立っている、アンデッドモンスター。

 それは人骨をいくつも繋ぎ合わせた、巨大な骸骨。

 上半身は人のようだが、胴体になる背骨が長く長く、腕が6本ついている。それぞれの腕には、歪んだ剣が6本握られていた。

 下半身はもはや骸骨のムカデ。背骨は長く長く、大量の脚の骨が地に立つ。

 そんな見るも恐ろしいアンデッドモンスターと、少女の二人きりだったようだ。


「気をつけて! そいつ! 動くと反応します!」


 少女が、枯れかけた声でそう叫んだ。

 実際、座り込んでいる少女を無視して、部屋に入ろうとしたテティスにアンデッドは顔を向けた。


「動くと反応する……動かなければ反応しない……だから一人だけ、生き延びれたみたいですね」


 見れば、骸骨の足元には、冒険者二人の亡骸があった。

 無惨に斬り殺され、腐敗しかかっている。

 生存者を含め、これで冒険者三人。

 入り口のテレポート罠は、この部屋に繋がっていたと考えれば、辻褄が合った。


「助けなきゃ!」

「私がアレを相手しますので、三人はあの子を助けにいってください」

「わかった!」


 開け放たれた部屋に、テティス、イスト、シーリー、最後にひかりが入る。

 対骸骨戦の火蓋が、切られようとしていた。

 のだが。


「え?」

「何これ!」


 全員で部屋に入った途端、部屋の床が虹色に輝き始めた。

 見れば、足元に部屋中を覆う魔法陣が描かれていた。


「なんだこりゃ! さっきまで何の反応も……!」


 イストが言い切る前に、部屋の床の魔法陣から眩いばかりの光が溢れ出し、部屋中を虹色で埋め尽くした。

 その激しい光は、すぐに収まる。



 テティスはなんともなかった。

 イストもなんともなかった。

 シーリーもなんともなかった。

 骸骨と少女も、何ごともなくそこに居た。


「あれ?」

「ヒカリは?」


 ひかりだけが、忽然と部屋から姿を消していた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ