56話:再びの依頼
それからさらに数日後。
シーリーは無事に鎧と槍を買い替えられたらしく、ピカピカの装備を見せてもらった。
ひかりもマジックアイテムを身につけ、万全の体制だ。ピアスをつけるのには勇気が必要だったが。
「ヒカリちゃん、せっかくだから、また何か依頼受けない?」
そしてシーリーにそう誘われて、ひかりはイストとシーリーとまた何か仕事を受ける事にした。
「失敗しない依頼がいいですね……」
「確かに。もう転生者絡みの依頼はこりごりだ」
「ゴブリンもね!」
そう話がまとまって、5級から7級向けの冒険者依頼を探す三人。
やや悩んで、一枚の依頼書が選ばれた。
「これなんかどう? 西の森に出たスケルトンナイトの討伐!」
「ノースブランチの西森は比較的狭いからな。見つけるのも容易いだろう」
「アンデッドなんですよね? これならわたしの神聖魔法も役に立てるかも……」
スケルトンナイト。
骸骨のモンスターであるスケルトンの、騎士の姿。
鎧を纏い、剣か槍で武装した、スケルトンよりも少し大きく、しかし強さはかなりのものとのことだ。
「強さ的には6級から5級向け冒険者パーティ向けだろうし、ちょうどいいだろ」
「報酬が……1万シルバーとプラス追加報酬?」
「なんか条件があるみたいだな。受付で聞いてみようぜ」
掲示板に貼ってあった依頼書を剥がして、ひかりたちが受付へ質問に向かう。
受付嬢に確認すると、追加報酬についての説明を受けた。
「実はこの依頼、最初に受けてた3人パーティがいたんですが、帰って来ないんですよね」
「どのぐらい帰ってきてないんだ?」
「森への片道が1日なんですが、すでに5日帰ってきてないんです」
「最低でも3日は森で彷徨ってるわけか。確かに長いな」
「推定何かあったとして、スケルトンナイト討伐と、もしその3人を見つけてくれたら、無事なら1人あたり2000シルバー、無事でなかったら冒険者タグを持ってきてもらえれば一つあたり500シルバーを上乗せすることになりました」
「全員無事なら1万6000シルバー!?」
「……ぶっちゃけ5日も空いて無事とは考えにくいがなぁ」
なかなかシビアな世界のようだ。最悪3人の遺体を見る事になるかもしれない。ひかりは緊張した。
「3人は何級だった? あと職種」
「1人5級の剣士、2人は6級の魔術師と神官でしたね」
「あたしらと似たような編成かぁ。それでスケルトンナイトに負けるかな?」
「勝ったはいいが迷子になった、とかならいいんだが。万が一変異種とかだったらきついな」
「変異種?」
ひかりが尋ねると、イストが答えた。
「同じモンスターの中でも、稀に何らかの強さに特化した個体が生まれることがあるんだよ。馬鹿力だったり魔法が使えたりとかな」
「ゴブリンでいうゴブリンシャーマンとかだね」
「そういった普通とは違うモンスターを、変異種と呼ぶ。基本的に通常種より強いから、5級じゃちょっときついかもな」
そう聞くと、この依頼は難しいのかもしれない。
だが、イストは口を開いてこう言った。
「でもまだ変異種と決まったわけじゃないし、その冒険者たちも、ただの遭難ならギリ助かるかもしれん。他にちょうどいい依頼もないし、異論がなけりゃこの依頼、受けようと思うんだが……」
「あたしはいいよ!」
イストとシーリーが受ける事に前向きなので、ひかりも頷く事にした。
「じゃあ依頼受注ということで、イストさん、シーリーさん、ヒカリさんの3人パーティでよろしいですね」
「ああ、それで頼む」
こうして一同は、スケルトンナイト討伐および、冒険者3名の救出依頼を受けるのだった。
……。
……。
森への道のりは、乗り合い馬車を使用した。
ノースブランチから西の領へ移動する馬車に乗り、途中で降りて徒歩で森へ向かう。
森に着く前に夜になり、野営をして、朝になってから一同は森の探索を始める事にした。
西の森は、ゴブリンたちのいた森よりはずっと範囲は狭いが、それでも街1つをすっぽり覆い隠すほどの大きさはあるらしい。
「だから遭難する可能性は、まあある。魔術で方角を調べつつ、目印をつけながら進むのが妥当だ、が、これは……」
「目印?」
森の入り口。
入ってすぐの場所に、何か目立つものを見つけた。
それは、木の枝の目立つ位置に結ばれた、赤く塗られたロープだ。
それが、一定感覚で森の木々に結ばれており、奥まで続いていた。
「そんな古いもんでもないな。恐らくだが、最近誰かが目印代わりにつけていったものだろ」
「先に行った冒険者だ!」
「多分な」
どうやらすでに、目印が付いているらしい。
この後を追えば、この目印をつけた人たちの元まで辿り着けるだろう。
「では、行くか。こっからは気を抜くなよ」
イストの指示で、一行は森の中を進むこととなった。




