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5話:スキル

 翌朝。

 再びシーリーとイストと合流したひかりは、神殿へと案内された。

 隠密999のせいで、またもや二人に近づくまで気づかれず、驚かせてしまった。

 隠密を隠しているのは、限界があるのかもしれない。


「スキルの確認ですね、確かに50シルバー受け取りました。それでは、始めます」


 受付をしてくれたシスターの女性が、ひかりのスキルの確認のために、何か祈りを始める。


「旅路を見守る大いなる神、プロメス様。その祝福により、この者、カゲハラの力をお示しください」


 ぽうっと光が輝き、ひかりに吸い込まれる。

 そこで、ひかりの周りに、メニューウィンドウが開かれ、スキルが開示された。


「どうだ? 見えるか? それがお前のスキル一覧だ。もしギフトがあれば、ギフト欄に載っている」

「何か使えそうなスキルあるー?」

「あ、ご相談は神殿の外でお願いしますね。個人情報ですので」

「あいよ」


 一行は神殿の外に出て、改めてスキルを確認することにした。


(ていうかこれ、わたしのメニュー画面と同じだなぁ……。50シルバー無駄にしたかも)


 ひかりはメニューを開く事で、いつでもスキルを確認することができる。

 よって、神殿への寄進は意味がなかった。

 しかし、記憶喪失なのにスキルが分かっているというのは不自然かもしれないと思ったので、あえて50シルバーを支払って、スキルを見ることにしていた。


「それで、スキルはどんなもんだった?」


 外に出て、改めてイストがそう尋ねてくる。


 ひかりは出たままのスキルウィンドウを見て、悩む。

 隠密999は明かせないが、かといって何もありませんでしたというのも、また後々困るかもしれない。

 どう誤魔化したものか。

 ウィンドウを見つめたまま悩んでいると、イストが助け舟を出した。


「昨日も言ったが、言いたくないスキルやギフトがあったら、無理に言わんでもいいぞ」

「は、はい、ごめんなさい、読み込んじゃって……」


 とにかく誤魔化すが、なんと返せばいいのかわからない。

 とりあえず、はっきりしているものだけを伝えることにした。


「えと、ギフトは、《幸運の申し子》と、《完全免疫》、みたいです」


 そこだけ伝えると、イストとシーリーは目を向いて驚いた。


「ギフト2つ持ち!?」

「すごーい! 普通ギフトって、運が良くても1つしか貰えないのに!」


 さっそく規格外なのがバレそうになっている。

 ひかりは冷や汗をかいた。


「スキルはどう? 仕事に活かせそうなものあった?」

「ええっと、それは……」


 ひかりはまたしても言い淀む。

 そして苦し紛れに、質問をした。


「す、スキルって、だいたいどのぐらいあるのが普通なんでしょうか……?」


 ひかりの質問に、少し考えてから、イストが答えた。


「んー、スキルか。まぁ、ちょっと齧ったぐらいなら1、少しできるなら10、一人前なら50、プロなら100って感じだろうな。だいたいの目安だが」

「ちなみにあたしは槍術75! こう見えて強いんだよ!」


 大まかな指針を示してくれて、ひかりはほっとした。

 やはり隠密999は異常値だ。隠さねばならない。

 少し考えてから、ひかりはこう答えた。


「薬学が2で……。隠密が90みたいです」

「90!?」

「ベテランの斥候並みだぞ!」


 二人は驚いて声を上げた。

 実際は10分の1の過小評価なのだが、十分規格外だったようだ。


「あー、すまんな、大声出して。しかし90か……」

「あたしが近づくまで気づかれなかったのも、そのせいだろうねぇ」


 二人はそう言って、あれこれ思案しているようだ。


「戦闘関連のスキルはなかったか? 近接戦闘とか、短剣とかのスキルだ」

「ありましたけど、どれも1でした」

「てことは、暗殺者とかではないんだろうな。純粋な斥候か?」


 イストはあれこれ考えているようで、手を顎に当てて考え込んでいた。

 そして、何か閃いたように顔を上げる。


「まてよ、その黒い髪、高い隠密。もしかして、噂に聞く……」


 ひかりはびくりとした。

 転生者は40人以上いるのだ。

 他の転生者の立ち振る舞い次第では、黒髪というだけでも、その存在がバレるかもしれない。


 イストは、深刻な表情でこう言った。


「"ニンジャ”かもしれん」


「……へ?」


「遠い異国に、ニンジャって呼ばれる超強い隠密持ちの諜報がいるらしくってな〜! 隠密はもちろん、体術、剣術、魔術なんでもこなすって言う話よ! もしニンジャなら、伝説の再現になるよな〜!」

「あ、気にしないでね、イストの話、伝説と言う名のおとぎ話だから」

「は、はぁ……」


 かつての転生者に、ニンジャのファンでも居たのかなと、ひかりはこっそり思うのであった。


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