表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/80

34話:出会い

「セキリュウソウ、2本取ってきました!」

「うむ、確かに」


 後日。

 ひかりは迷わずギースの個人依頼を受け、秘密裏にセキリュウソウを採取する係を引き受けた。


「ゴーレム、やっぱり居ました! 群生地らしき場所に一体」

「やはり、群生地にゴーレムを置いて、採取を妨害するつもりだな」


 仮説が少し当たっていたようで、ギースは納得したように頷く。

 ひかりは、ゴーレムのいる場所では採取しないように言われていた。

 自爆されると群生地ごと焼き払われるし、何より危険だからだ。


「今のところ、沼地に怪しい人は見つかりませんでした」

「なるほど、わかった、帰ったら報酬を支払おう」


 ギースは渡されたセキリュウソウを皮袋に入れ、マジックバッグに仕舞う。

 彼のマジックバッグは、中に入れると、劣化しなくなる特別性らしい。

 綺麗な状態のセキリュウソウを、痛ませずに保管できるそうだ。


「これだけでも、多くの命が救われる。とても助かっている」

「まだまだ明日も獲りますよ!」

「いや……流石に俺の懐具合が心配になってきた。一度依頼は終了しよう」

「あ、はい。でもわたしもっと安く売っても全然いいんですけど……」


 1万シルバーが破格すぎるのであって、相場の5000シルバーでも全然儲かる。

 ひかりとしては、恩人であるギースにならもっと安く売ってもいいぐらいだった。


「ありがたい申し出だが、まずはセキリュウソウを1本、前話した医者の転生者の元に持っていきたい。少しあの街を離れて、別の領に行ってくる」

「な、なるほど」

「金もそっちで稼いでくる。俺が戻るまで、セキリュウソウの採取はやめた方がいいだろう」

「迷うからですか?」

「いや、ゴーレムの件だ」


 今回は泥まみれにならなかったので、普通に帰ることができた。

 帰路に付きながら、ギースは語る。


「セキリュウソウの流通を止めている輩がいるのだ。もしセキリュウソウを市場に流す冒険者がいたら、狙われるかもしれん」

「な、なるほど……」

「だから俺が高額で買い取っておく。ひとまずは、特効薬の開発だ」


 ひとまずは街に戻る二人。

 冒険者ギルドにて、セキリュウソウの報酬を受け取るひかり。

 きっちり2万シルバーを貰ってしまった。


「では俺はしばらく領を移動する。達者でな」

「はい、お気をつけて」


 そう言って、ギースと別れるひかり。


 手元には、セキリュウソウ3本分の報酬、3万と5000シルバーがある。

 しばらく、というか、1年ぐらいは、遊んで暮らせそうだ。

 一応命の危機はあったとはいえ、かなり楽に稼げてしまった。

 なんだか、5級の二人に申し訳なさすら感じる。


(これからどうしようかなあ)


 冒険者ギルドで一人になって、ひかりはそう考える。

 イストとシーリーのいる開拓村を見に行ってもいいし、7級の仕事をこなしてもいい。

 セキリュウソウの採取はギースには止められている……というか、そもそも5級以上の仕事なので、受けることはできなさそうだ。


(そもそもこれ以上階級を上げたら目立っちゃうかも……。お金ならいま沢山あるし……)


 ゴブリンロードを倒せたのだ。隠密999と【アサシンダガー】があれば、大抵の相手は狩れるだろう。

 5級冒険者になれば一人前。

 だが、5級以上の冒険者は、緊急時に招集がかかることがあると、先のゴブリン騒動で分かった。

 招集中に隠密999を使ったら、色々と面倒になるかもしれない。

 そこまで階級を上げる必要は今はないかなと、ひかりは考える。


(気になるのはセキリュウソウの一件だけど、そっちはギースさんが対処してくれそうだし……)


 どうしようか迷っているひかりに、不意に声がかかった。


「あの〜」

「!?」


 話しかけられて、びくっとするひかり。

 今は隠密をオフにしているが、それでも影が薄いぐらいの扱いで、知り合い以外には話しかけられたことはなかった。

 相手の方も、ひかりの反応にびっくりしていた。


「び、びっくりさせてごめんなさい〜」


 その相手は、女子高生だった。

 いや、そうとしか言いようがない。

 セーラー服を着た、多分16から18歳ぐらいの、かわいらしい少女。

 髪は栗色でふわふわのウェーブのかかった髪、黒い眼、その他として、ひかりと同じサイズのマジックバッグを持っていた。


「もしかして、転生者仲間かな〜、と思って」


 にこーっと笑って、その少女はそう言った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ