29話:約束
第二章(仮)です
ゴブリンの騒動から、はや2週間が過ぎた。
ひかりは、無事に7級冒険者に昇級した。
ゴブリンの残党を倒し、討伐依頼をこなして、昇格させてもらえたのだ。
もはやゴブリンを狩ることに抵抗感はないし、【アサシンダガー】を持った以上、ゴブリンには一切苦戦することもなかった。
「ヒカリちゃん、7級昇級おめでとう〜!」
「やっぱ早いな、俺もうかうかしてらんねぇ」
シーリーとイストからも祝いの言葉を貰い、照れ臭かった。
戦い方についても、少し教わった。
ヒカリ=カゲハラ 『プレイヤー』100pt
ステータス:
生命100
筋力13(+1)
器用57(+5)
敏捷123(+12)
体力29(+2)
感覚118(+11)
知識22(+2)
精神23(+2)
魔力24(+2)
スキル:隠密999、近接戦闘49、格闘7、短剣37、探知9、魔術21、薬学3、神聖魔法15、火魔法1、水魔法1、土魔法4、風魔法5
ギフト:《幸運の申し子》、《完全免疫》
スキルポイント:1
取得可能ギフト:1
イストから火、水、土、風魔法を。
シーリーから近接戦の手解きを。
ギースからは神聖魔法の鍛え方を。
それぞれ教わった。
イストは土、風魔法を重点的に覚えており、それを教わった。
土を巻き上げて、視界を塞ぐ。
風を起こして、相手の目を閉じさせる。
これができれば、隠密999で再度隠れ直すことができると考えた。
「魔術はいろんな使い方がある。例えばボヤが起きたとき、水を出せれば火は消せるよな? でも土を操って火を埋めてもいいし、風を操って空気自体を消し去ってもいい。そもそも火を操れるなら火災にはならない。どんな魔法にも、無数に使い道があるもんだ」
シーリーはとにかく近接戦に強く、繰り返し稽古をして、少し鍛えられた。
ひかりは元々は運動音痴な方だったが、転生者だからなのか、やたら上達が早かった。
体力不足もマシになったが、シーリーはとにかく体力バカだったので、できればもうやりたくないと思った。
「ヒカリちゃん筋いいよ! まだまだ伸び代あると思うから、また鍛えて欲しかったら言ってね!」
ギースは意外にも、この国の宗派である六大神についても詳しかった。
プロメス信者であるひかりに、プロメスの教義についてを聞かせてくれた。
「神聖魔法は、これといった鍛え方が存在しない。だが、神について理解するほど高まっていくとされている。教典は非売品だから、まめに神殿に通って教義について聞くといい」
こうして3人によって、ひかりは多少鍛えられた。
あとはゴブリンを100匹倒したことで、新しい『ギフト』を獲得できるようになった。
『ギフト』はメニューから確認できるが、とにかく種類が多い。ざっと100種類以上ある中から1つ、なかなか選ぶことができず、結局保留にした。
スキルポイントもいつの間にか1増えていた。こちらもまだ振っていない。
そんなわけで、ひかりの冒険者としての生活は、それなりに順調だった。
……。
……。
「開拓村?」
「ああ、ゴブリンがいなくなったんで、ゴブリンのせいで廃村になった村を再度開拓するらしい」
ひかりは、イストとシーリーにそんな話を聞いた。
この領が貧窮していた理由の一つが、大量のゴブリンだ。
ゴブリンが増え過ぎて多くの村が被害にあい、廃村になってしまったという。
しかし前の騒動でゴブリンが相当数を減らしたことで、村を再建させる余裕ができたらしい。
「そういう訳で開拓者たちの護衛の冒険者として、俺らが選ばれたわけだが」
「ヒカリちゃんも来る?」
ひかりも誘ってくれるようだ。
が、残念ながら、ひかりには用事がある。
「ごめんなさい、お仕事は先約がありまして……」
「ありゃー、そうだったの。残念〜」
「なんかあったら、開拓村に来いよ〜。サウスブランチからまっすぐ東に行ったとこにあるから」
「はい、ありがとうございます!」
二人と別れ、ひかりは目的地に向かう。
場所は冒険者ギルド。そちらに、先約の相手が待っていた。
「来たか」
「お待たせしました」
ギルドには、骸骨の兜を被った男、ギースが待っていた。
先約。
それはもちろん、以前にギースと交わした、『セキリュウソウの採取依頼』のことだ。
7級冒険者となった今、3級冒険者とパーティが組める。
ひかりは約束を果たすべく、ギースの依頼を受ける事にした。




