15話:『プレイヤー』狩り
ヨウジという名前の『プレイヤー』がいた。
彼は死した後、異世界に転生できると聞いた時、大いに喜んだ。
せっかくなので冒険者として活躍してハーレムを作りたいと考え、近接戦闘に多くスキルを割り振り、ギフトは《鑑定》と《発情》を取った。
ギフト
《鑑定》
あなたは念じると、他人や物品の情報を表示することができる
《発情》
あなたまたは視界に入っている対象を、強制的に発情させる
この二つのギフトがあれば、快適なチートハーレム生活が送れると確信していた。
しかし、現実はそうではなかった。
『ゲーム』のルールが、後付けで知らされたのだ。
1.転生者を『プレイヤー』と呼称する
2.『プレイヤー』は「ゴブリン以上の"魂の外殻"を持つ生物」を殺害するたびに1ポイントを獲得できる
3.他の『プレイヤー』を殺害すると100ポイントを獲得できる
4.『プレイヤー』は100ポイント獲得ごとに、新規に「ギフト」を獲得できる
5.ポイントが10000に達した『プレイヤー』は元の世界に『転生』できる
『プレイヤー』を殺害すると100ポイント。100ポイントで新しいギフトが貰える。
つまり、これはデスゲームであり、自分も狙われる側でもあるという事であった。
こうなっては、ハーレムどころではない。ハーレムなんて作っていては、目立ってしまう。
目立って他の『プレイヤー』から命を狙われたら、万事休すだ。
ヨウジは、自身を転生させた存在を呪った。
しばらく身を隠しつつ、目立たない速度で6級冒険者として活動していた時、あることに気づく。
それは、ゴブリンを殺害すると1ポイント手に入るが、明らかにゴブリンより格上のモンスターを倒しても、1ポイントしか手に入らなかったのだ。
少なくともゴブリンの倍の大きさとステータスを持つモンスターを倒しても、1ポイントであった。
これでは、コツコツとゴブリンを狩っていた方がマシである。
ある名案が浮かんだ。
どの領も、繁殖力の高いゴブリンに頭を悩ませている。
そこで彼は、《発情》のギフトを使って、あらゆる領でゴブリンたちをさらに大繁殖させたのだ。
これで異常発生したゴブリンを倒して、ポイントを荒稼ぎする。
それが彼の最初の案だった。
もっといい案を思いついた。
何も、『プレイヤー』の全員が、『プレイヤー』を殺害したいわけでは無いだろう。
そうなると、ゴブリンなどを狩ってポイントを稼ぎ、ギフトを取って身を守ろうとするはずだ。
そんな初心者『プレイヤー』を、狩る。
ゴブリンを大量発生させ、ノコノコとやってきたルーキーを、不意打ちで殺害する。
異世界でやたら目立つ黒い髪が、転生者の目印だった。
ついた通り名は"黒髪狩り“
彼はすでに、6人の『プレイヤー』を、殺害していた。
(あの、ヒカリ=カゲハラという転生者。ポイント0だったな。まだ転生したてと見た)
ヨウジはそう分析していた。大当たりである。
ゴブリンとすら戦っていないので、戦闘スキルはオール1だ。
(幸い、5級の雑魚としかつるんでねぇ。殺すのは簡単だ)
彼の近接戦闘スキルは、551。元は500程だったが、鍛えてさらに上がった。
一流の戦士でさえ100なのだから、その5倍強い。
仮に3級以上の冒険者とつるんでいても、問題なく殺せる。
しかし彼は安全策を取っているため、そこまで強い相手とは戦わない。
戦闘向けの振り方をした転生者などもっての外。
スローライフを送ろうとしている、非戦闘向きの『プレイヤー』を狩る。
それが彼のスタンスだった。
「行くか」
ヨウジは、素顔がバレないように仮面を被り、宿へと足を運んだ。




