14話:見つめる者
「旅路を見守る大いなる神、プロメス様。新たなる迷える子羊を導きください。この者ヒカリ=カゲハラにご加護を……」
またも手数料として50シルバーを支払い、ひかりはプロメスの信者となるための手続きを終えた。
わずかに輝きにひかりは包まれて、なんだか温かな気持ちと共に、少し身体が軽くなった。
「はい、これであなたは、プロメス様の使徒となりました。これはプロメス様の信仰の証のロザリオです。大切にしてくださいね」
シスターはそう言って、ひかりにロザリオを渡した。
ロザリオは三角形をしており、うねった道のような紋様が入っていた。
これが、プロメスのロザリオ、信仰の証らしい。
「よければ毎朝祈って、時々磨いてあげてください。もし無くしても、50シルバーで再発行できますので、ご安心を」
「はい、何から何までありがとうございます」
ひかりはペコリと礼をして、神殿を後にした。
神殿を出てすぐ、ひかりはメニューを開き、自身のステータスを確認した。
信仰によって、どれだけステータスが上がったか、確認するためだ。
(メニュー、と……)
周りには見えないらしいので、街中で堂々とメニュー画面を開いた。
ヒカリ=カゲハラ 『プレイヤー』0pt
ステータス:
生命100
筋力6(+1)
器用45(+4)
敏捷100(+10)
体力9(+1)
感覚100(+10)
知識10(+1)
精神10(+1)
魔力10(+1)
スキル:隠密999、薬学2
ギフト:《幸運の申し子》、《完全免疫》
スキルポイント:42
何やらステータスに補正がついていた。
多分これが、神の祝福なのだろう。
(思ってたよりも、高めだ!)
もっと実感の湧かない数値だと思っていたが、目に見えて上がっているステータスもある。
特に高い数値のステータスほど、上がり幅が大きいようだった。
あと、地味に体力のステータスと、薬学スキルが僅かに上がっていた。連日の薬草採取のおかげかもしれない。
「ロザリオ……大事にしよっと」
小さくつぶやいて、ひかりは、神殿を後にし、宿屋に向かった。
……。
……。
「いたなぁ」
宿に戻るひかりを、男がじっと見ていた。
そいつは、ひかりのステータスを、自身のウィンドウに表示していた。
「隠密999……? バカじゃねぇの、こいつ」
くっくっくと笑い、男はひかりのスキルを確認している。
「《幸運の申し子》はまあ厄介だが……。あとは《完全免疫》? 毒は効かないってことね、なるほど」
男は、ひかりのステータス、スキル、ギフトを吟味していた。
「ククク……予定通り、だな……」
男は、そう呟いて笑った。
腰に下げてた短剣をひと撫でし、ひかりが宿に入っていくのを見送った。
「さぁ、"初心者狩り“の時間だ……」
ヨウジ 『プレイヤー』668pt
ステータス:
生命100
筋力79
器用65
敏捷69
体力46
感覚44
知識31
精神46
魔力12
スキル:近接戦闘551、短剣256、隠密155(+50)、探知31、鍵開け52、窃盗52
ギフト:《鑑定》、《発情》、《遮断結界》、《形跡隠し》、《毒生成》、《空間歪曲》、《超見切り》、《食いしばり》
異名:“黒髪狩り”




