表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/80

13話:8級

「ヒカリちゃん、冒険者の8級に上がれるわよ」

「え、もうですか?」


 数日後。

 三度目のヒールベリー納品依頼をこなしてすぐ、ひかりは冒険者ギルドの受付嬢にそう声をかけられた。


「持ってきたヒールベリーの量が量だからね、もう8級に上げてもいいって、ギルド審査から許可が降りたのよー」

「おお……ありがとうございます」


 思ってた以上に、8級に上がるのは簡単であったようだ。


「これからは8級の依頼……モンスター退治も受けられるようになるわね。薬草採取なら今までと変わらない依頼しか受けられないけど……」

「なるほど……」


 8級からは、ゴブリンを始めとした、下級モンスターの討伐依頼が受けられるらしい。

 逆に、薬草採取だけしか受けないのであれば、特に受けられる依頼は増えないようだ。

 ヒールベリー以外の薬草も仕事で受けられないかと思っていたが、無理なようだった。

 と、いうわけで、8級になるメリットはそんなに大きくないようだ。


「7級になれば、安全な護衛依頼とか受けられるんだけどね。て、ヒカリちゃんにはまだ早いかしら」

「あはは、そうですね……」


 ひかりは笑って誤魔化す。

 ゴブリンも倒せない冒険者に、護衛が務まるわけがない。

 ここを克服しない限りは、7級以上に上がるのは難しそうだった。


(でもまぁ、今はこれでいいかも……)


 戦わずとも、なんとか生活できるぐらいには稼げている。

 隠密999と《幸運の申し子》のおかげだ。

 ひかりは、目立ちたくは無い。

 今はこれで、十分だった。


(あ、あと、神殿に行って、プロメス様を信仰しようっと)


 ひかりは、一人で神殿へと向かうことにした。



……。

……。



 サウスブランチの神殿は、街の南側にある。

 すでに一度、スキル確認のために神殿にやってきていたので、道に迷わずにやってこれた。


「プロメス様の信仰ってこの場所でいいのかな……」


 ひかりは神殿の中に入る。

 初めてきた時には気づかなかったが、周囲には大きな六つの神の像が並べられていた。

 それぞれ、六大神を表しているようだった。


(どれがどの神様だろう……)


 女神像が3体、男神像が3体。

 これが多分六大神だとして、どの像がどの神なのかは、ひかりには分からなかった。


「あら、この前の子、どうかなさいました?」

「!?」


 神殿に入ってきたひかりに、中にいたシスターがそう話しかけてきた。

 ひかりは隠密をオフにしている。

 しかし影の薄いはずのひかりを見つけて話しかけてきたことに、ひかりは驚いた。


「あら、びっくりさせちゃったかしら……」

「いっ、いえっ! ちょっと神様の像を見てただけで……!」


 ひかりは焦りながらそう返した。

 シスターは、ひかりににこやかに話しかける。


「六大神様にご興味がおありですか? それともすでに信仰しておられる神様が?」

「はい、ええと、プロメス様を信仰しようかなと考えてます。像を見ただけじゃ、どの神様がプロメス様なのか分からないですけど……」

「あら嬉しい。私もプロメス様を信仰しているんですよ〜。せっかくなので、ご紹介しますね」


 そう言って、シスターは神像の紹介を始める。


「まずあちらの煌びやかな服を着た女神像がプロメス様です。旅と自由の女神様ですよ」

「あちらが、なるほど……」


 緩いウェーブのロングヘアの、豪華な服を着た女神像。それがプロメスのようだ。


「次にあちらの身なりのいい男性像がシャサール様、狩猟と工芸の神様です」


 柔和な笑みを浮かべ、動物と共に並んでいる貴族のような男性が、シャサールらしい。


「次に鎧を着て槍を持ったあちらの神様が、戦の神アルム様です」


 説明の通り、全身鎧に槍を持った、勇ましい像が、アルムとのことだ。


「そしてあちらの、翼の生えた商人風の男性神が、富と商売の神、マルシャン様です」


 示された方には、翼の生えた紳士の像があった。これがマルシャンらしい。


「そしてあちらの、鎌を持った女神像が、癒しと対魔の女神、リチュエル様です」

「鎌を持ってるんですね」


 プロメスより質素なドレスのような衣服を着て、大きな鎌を持っているのが、リチュエルらしい。


「最後があちらの、少し変わった衣服を着た女神像が、知識と魔術の女神ヴィヴィ様です」


 ひかりから見た感じ、いかにもな民族衣装を着て、顔をヴェールで隠した女神像が、ヴィヴィらしい。


「そんなわけで六大神の紹介でした。と、プロメス様を信仰されるんでしたっけ?」

「あ、はい」


 思い出したように話すシスターに、ひかりは頷いて答えた。

 六大神の紹介をしてもらったら、後は目的であった、プロメスを信仰しにいくだけだ。


「わかりました、ではこちらへどうぞ。プロメス様の加護を授けますので」


 シスターに連れられて、ひかりは神殿の奥へと案内された。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ